『Cloud first, Cloud fast』―。モバイル、SAP HANA、クラウドによるSAPの新たなイノベーション戦略

作成者:吉越 輝信投稿日:2013年5月23日

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Clouds, Heavenこんにちは、SAPジャパンの吉越です。去る4月25日に東京・半蔵門で開催された「クラウド徹底活用セミナー SAPクラウド対応全面解禁! 対応力スピードアップとTCO“劇的”削減共存の秘密」は、おかげさまで大盛況のうちに終了することができました。このブログでは今回から3回にわたって、当日ご参加いただけなかった読者の皆様に向けて、本セミナーの主な内容をレポートしていきたいと思います。

第2回:アマゾンのクラウドサービス(AWS)が選ばれる理由とは?
第3回:SAP ERPのクラウド運用でTCOを65%削減。健康関連の大手通販サイト(前編)
第3回:SAP ERPのクラウド運用でTCOを65%削減。健康関連の大手通販サイト(後編)

連載の第1回では、SAPジャパン リアルタイムコンピューティング事業本部の本部長を務める馬場渉による基調講演のあらまし。続く第2回、第3回では、このところ大きな注目を集めているアマゾン データ サービスジャパン株式会社のクラウドサービスのご紹介「アマゾン ウェブ サービスで実現する最新・最適・最速SAP実装術」と、このサービスを使って大きな成果を上げているケンコーコム株式会社の事例セッション「ビジネススピードアップへの最適解 SAP ERP on AWS導入事例」の内容をレポートします。

2013年はSAPの新たなクラウド事業創生の年

セミナーの冒頭、まずSAPジャパンの馬場からは「『Cloud first, Cloud fast』というスローガンの下で、2013年はSAPの新たなクラウド事業創生の年と位置付けています」というビジョンが紹介されました。これはSAPが掲げるグローバル共通の指針であり、その中でSAPジャパンは世界に先駆けて、2013年4月にクラウド事業の専任組織となるクラウドファースト事業本部を立ち上げました。

この背景には、クラウド分野におけるビジネスの急激な成長があります。SAPでは、モバイルとSAP HANA、クラウドの3つを中心に既存の事業をリニューアルするイノベーション戦略を推進し、グローバルで13期連続、日本でも8期連続の2桁成長を実現しています。なかでもクラウドビジネスは大きな伸びを見せ、わずか3年前はまったくのゼロだった事業は現在、年間1,000億円のサブスクリプション売上を達成しました。

同様に日本国内での伸びもめざましく、SAPが提供するクラウドサービスのユーザーは70社を超え、現在も増え続けています。

こうした急激な成長を、馬場は「創業以来、ERPで実現してきたリアルタイムコンピューティングというテーマを、今後はモバイル+クラウド+SAP HANAでリニューアルしていくのが我々のミッションであり、国内における新組織の立ち上げもその意思表明と受け止めていただきたい」と強調します。

「イノベーションクラウド」を軸に独自のクラウド戦略を展開

SAPが推進するクラウド事業の基本的な考え方として、馬場は「いわゆるSaaS、PaaS、IaaSという一般的な分類ではなく、『基幹系クラウドかイノベーションクラウドか』といったSAP独自の視点でとらえている」と説明。とりわけSAPでは、イノベーションクラウドにより重点を置いた取り組みを行っています。

イノベーションクラウドとは、ビジネスの要求やマーケットの変化といった直近の検討課題に対してシステムを立ち上げる際、クラウドならではのスピード感やオペレーションのシンプルさを生かしていく考え方です。イノベーションクラウドは、よりビジネスに対してオンデマンドなサービスを提供するという点で、システム統合や仮想化の延長線上にある基幹系クラウドとは、大きく異なる文化を持っているといえるでしょう。

「実はSAPがクラウドへの取り組みを最初に宣言したのは2007年ですが、このときはこうしたクラウドの本質を理解できていなかったことから、成果が出せませんでした。この反省を踏まえてクラウドネイティブカンパニーに生まれ変わるためのチャレンジを進めてきました。そのキーワードが『イノベーションクラウド』なのです」

この過程では、2011年12月にクラウドベースの人材管理(HCM)システムを提供するSuccessFactors社を買収。また2012年5月には、企業向けオンラインマーケットプレイスを運営するAriba社を傘下に収め、イノベーションクラウドの推進基盤を強化しています。

クラウド戦略の強固な共通基盤となるSAP HANA Cloud Platform

また馬場は、2013年以降のSAPジャパンのクラウド事業の具体的な指針を以下のように示します。「まず4つのアプリケーション領域、すなわちCustomers、People、Money、Suppliersの分野のクラウド化を積極的に推進していきたいと考えています。そして、これらの共通基盤となるのがSAP HANA Cloud Platformです」

わずか2年前まではピュアなデータベースとして情報系のみに利用されていたSAP HANAは現在、SAP ERPの稼働データベースにもなっており、さらにミドルウェア機能も同梱されています。こうしてアプリケーションプラットフォームとして劇的な進化を遂げたSAP HANAは、すべてのクラウド基盤としての役割を担うことになったのです。またクラウド基盤としてのSAP HANAには、大きく以下の3つの役割があると馬場は説明します。

  1. クラウドとオンプレミスの橋渡し
  2. 複数のSaaSのインテグレーション基盤
  3. カスタム開発や拡張開発の基盤

「このようにSAP HANAがクラウドの共通基盤として位置付けられたことは、非常に大きなニュースです。さらに2012年12月からは、クラウド上でSAP HANAを利用するための『SAP HANA Oneプラットフォーム』が、初めてアマゾン ウェブ サービス上での本番業務運用の認定を受け、提供が開始されました」

すべてのSAPソフトウェア製品がアマゾン ウェブ サービス上で稼働可能に

273834_l_srgb_s_glSAP & アマゾン ウェブ サービスによるクラウドサービスの試みは、この1年間で早くも大きな実績を挙げています。

「2012年5月から、中堅向けERPやCRM、SCMなどをパッケージにしてテンプレート型で導入する『SAP Business All-in-One』が、アマゾン ウェブ サービスの本番稼働環境で使えるようになりました。同時にSAP HANAの開発環境の無償提供も開始され、現時点でアマゾン ウェブ サービスは唯一SAPがサポート認定したIaaSパブリッククラウド基盤となっています」

さらに2012年8月には、ケンコーコム株式会社によるSAP Business All-in-One版のアマゾン ウェブ サービス本番環境が稼働を開始。2012年10月には、クラウドの本番環境におけるSAP HANAの稼働が解禁になりました。

「私自身も試してみましたが、ボタンを押せば5分でAmazonのアカウントが取得でき、3分でSAP HANAのインスタンスが立ち上がりました。これがライセンス込みで1時間わずか数百円で提供されるのです。すでに国内でも、複数の本稼働事例が報告されています」

2012年11月には、SAP Business Suiteソフトウェアがアマゾン ウェブ サービス上の本番環境で実装可能になり、2013年5月現在、実質的にSAPの全製品がアマゾン ウェブ サービス上で稼働可能になっています。

最後に馬場は、「SAPは、これまでのエンタープライズITでの経験則をもとに、Consumerization of ITという大きな潮流をとらえ、新たなクラウド文化を創出できる本格的なサービスを提供していきたいと考えています。そうした中で、クラウドネイティブ カルチャーの代表格であるアマゾン ウェブ サービスとの協業関係も、ますます緊密なものになっていくと確信しています」と語り、基調講演を締めくくりました。

次回は、アマゾン データ サービスジャパン株式会社によるクラウドサービス紹介「アマゾン ウェブ サービスで実現する最新・最適・最速SAP実装術」をご紹介します。

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