再生可能エネルギー発電ビジネスを可能にするデータインテリジェンス


2015年にパリ協定における世界共通の長期目標として

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

の2つが挙げられました。

温室効果ガスの排出量削減問題

日本をはじめとする各国で温室効果ガスの排出量を削減するための中期目標を掲げ、そのために「エネルギー供給の低炭素化」と「省エネルギー」に取り組んでいます。
その中で「エネルギー供給の低炭素化」では非化石電源、つまり原子力や再生可能エネルギーによる発電の比率を上げていくことが取り組まれています。将来、原子力発電に頼る戦略は想像し難く、再生可能エネルギー、特に太陽光発電や風力発電などグリーンエネルギーと呼ばれる自然エネルギー源の発電に期待がかかります。
しかし、自然エネルギー源ということは気象状況などに大きく左右され需要に対し供給不足となるリスクの伴う発電源でもあるため、化石燃料発電とのバランスが重要です。

再生可能エネルギー発電 IoT データプラットフォーム

電源ポートフォリオについては、最近まで太陽光発電や風力発電で足りない分は、火力発電などで賄うというのが常識でした。しかし蓄電技術が進み発電したら即使用から大量の電気をためることが可能となりつつあること、また、再生可能エネルギーの財務的つまり収益をあげること、技術的つまり発電量や設備保全の観点でも能力を最大限引き出すことができれば、今までの常識を覆し、再生可能エネルギーの可能性は大きく広がります。

こういったリスクを最小限に抑え、効率的な再生可能エネルギー発電への投資を促進するためにドイツの再生可能エネルギー発電運用サービスプロバイダーであるカイザーウェッター社は SAP と協力してソーラーパネルや風力発電機の IoT データプラットフォームを SAP のプラットフォーム技術で開発しました。
IoT 技術を使いセンサーデータの取得、設備に関する技術情報、気象情報、また売電や設備保全コストなどの財務的情報も取り込んでいます。
そして世界中の膨大なデータからスマートデータ分析、予測分析、機械学習機能を駆使して故障の可能性予測や各機器のパフォーマンス予測などの発電に関わる運用の最大化と故障や設備検査による停止などのリスクの最小化を定義しています。
これにより発電事業者は一目で、どの資産が技術的または財務的パフォーマンスの低下を示しているか、将来障害が発生する可能性があるかを特定し、対処することができます。

図1具体的には、風力発電の故障予測分析については過去の技術データと機械学習アルゴリズムを使用して、特定の風力発電設備の各風力タービンの通常の運転条件のモデルを構築しモデルの結果を、各風力タービンのリアルタイムデータの現在の設備運用パフォーマンスと比較します。
具体的には風速、ピッチ角、周囲温度、ローター速度、ナセル位置のリアルタイムデータを取得して、ギアボックスの温度をシミュレートし、恒久的に測定されたギアボックスの温度と比較します。つまり、設置されたタービンを継続的に監視し、異常を特定し、ユニットのパフォーマンス低下や故障につながる可能性のある潜在的な障害を検出するのです。これにより、故障時のダウンタイムのリスクを最小限に抑え、発電事業者の収益を最大化できます。

再生可能エネルギーへのシフト

エネルギー白書 2020 によると日本の風力発電導入量は、2017年末時点で世界第19位です。諸外国に比べて平地が少なく地形も複雑なことあり決して風力発電が盛んな国ではありません。しかしなおさら再生可能エネルギーへのシフトが求められる現在では、データによって高効率かつリスクを低減できるソリューションの存在は重要になってるのではないでしょうか。

※ なおこの取組は本年度のSAP Innovation Awards 2020を受賞されました。ご興味のある方は、Data Intelligence Combats Climate Change」 Innovation Awards 2020 詳細資料も合わせてご覧ください。

本稿は公開情報に基づき筆者が構成したもので、カイザーウェッター社のレビューを受けたものではありません。