SAP ERPのクラウド運用でTCOを65%削減 健康関連の大手通販サイト(後編)
作成者:吉越 輝信 投稿日:2013年6月11日
こんにちは、SAPジャパンの吉越です。4月に開催された「クラウド徹底活用セミナー・SAPクラウド対応全面解禁! 対応力スピードアップとTCO“劇的”削減共存の秘密」のセミナーレポート。第3回の前編では、ケンコーコム株式会社様のSAP ERP on AWS導入背景についてご紹介しました。後編では、今回のシステム統合およびAWSの活用において得られた具体的なメリットをご紹介したいと思います。
前編はこちら:SAP ERPのクラウド運用でTCOを65%削減。健康関連の大手通販サイト(前編)
第2回:アマゾンのクラウドサービス(AWS)が選ばれる理由とは?
第1回:『Cloud first, Cloud fast』―。モバイル、SAP HANA、クラウドによるSAPの新たなイノベーション戦略
低コストかつ高品質なシステム構築とフレキシブルな運用が実現
今回のプロジェクトでSAP ERPによって統合されたのは、会計および在庫管理関連のシステムです。従来はカスタムメイドで稼働していた複数のオンプレミスのシステムを1つに統合し、発注や支払通知書をSAP ERPから仕入先へ自動連携させたり、在庫管理やロジスティクス関連の周辺システムとの連携を行っています。
今回のシステム統合およびAWSの活用においては、主に以下のようなメリットがもたらされました。
導入効果①:標準化による容易で高品質なシステム導入
AWSでは、技術もサービスもすべてが標準化されているため、他社事例で蓄積されたさまざまな構築や運用のノウハウが、AWSのコンサルタントによって共有されています。今回も、他の事例での成功体験を横展開した高品質なシステム構築が実現しました。
導入効果②:大幅なコスト削減効果
SAP ERP+AWSの初期導入費と5年間の運用費の合計額を、従来のオンプレミスのシステムと比較した場合、65%ものコスト削減効果があることが明らかになりました。
導入効果③:テスト期間の短縮によるスピード導入
AWSではテスト用の環境を複製して、複数のテストを並行して実施できるため、テスト期間が大幅に短縮します。開発の待ち状態も解消し、さらにサーバーを専有するタスクを別環境で実施することで、スケジュール全体の無駄を解消できました。
導入効果④:データ移行時の一時的サイズアップ
AWSでは、インスタンスサイズの一時的な変更が可能です。本番環境のSAPにデータを移行する際、非常にデータ量が多いため、数日間限定でインスタンスサイズを大きくして効率化を図りました。反対にインスタンスサイズを最小限に絞って、データ移行に伴う周囲のシステム停止を極小化し、日常業務への影響を抑えることも可能でした。
導入効果⑤:過剰なサイジングが不要になり省コスト効果が
AWSでは、インスタンスサイズをいつでも変更できます。このため、オンプレミスにおける物理サーバーのように、将来のビジネスの拡張を見越した過剰なサイジングは必要ありません。
クラウドは最適なITインフラ
新井氏は、SAP ERPとAWSを組み合わせた新システムのメリットについて、「人的リソースの限られた情報システム部門にとって、IaaSを利用することにより、自社の本来のビジネスにエネルギーを集中できる環境ができたメリットは非常に大きい」と強調します。
特にeコマースを支えるシステムを自社で運用する場合、日々の運用に多くの社員の労力が割かれることになります。しかし、インフラの運用は専門知識とノウハウを持ったサービスプロバイダに一任することができ、ユーザーはビジネスアプリケーションの運用管理に専念することができます。
最後に新井氏は「まだまだクラウド活用における問題は多くありますが、当社のようにビジネスの変化がダイナミックで、なおかつすべてを自社内で対応するのが容易でない中堅・中小規模の企業にとって、クラウドは非常に有効な選択肢であり、今後もますます活用を拡大させていくべきではないかと考えています」と力強く語り、セッションを締めくくりました。
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