サステナビリティと気候変動対策CLIMATE21について


2020年6月に行われたSAPのグローバル最大イベントSAPPHIRE NOWでは、「回復力(Resiliency)」「収益力(Profitability)」「サステナビリティ(Sustainability):持続可能性」をキーワードに、多くの新しい発表を行いました。

その中で今回は、気候変動抑止目的の新プログラム”CLIMATE21”の紹介を通じて、日本でもSDGsなどで改めて注目されている「サステナビリティ」について考えてみたいと思います。Sustainability01

 

 

企業におけるサステナビリティとは?

まず、企業は資金調達先の投融資機関や商材を提供する顧客や取引先だけでなく、その一連の活動を通じて様々な関係者と直接・間接的に短期・中長期的に関わります。
企業でのサステナビリティの実現には、多様なステークホルダーの利害を踏まえて、戦略/戦術を判断し行動していくことが求められます。

特に影響が強くなっているのは、政治・経済・社会・技術革新だけでなく、地球規模での疫病や気候変動といったテーマ及びそれに関わるステークホルダーです。
例えば、今回のSAPPHIREではWWF(世界自然保護基金)の講演もありました。このようなNGO(非政府組織)との関係も上記テーマを通じてより深くなっています。

気候変動では「地球温暖化」が主なテーマとなっています。そして温暖化の主な原因とされているのがCO2を中心としたGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)で、その排出量削減が国際的に叫ばれているのは多くの方がご存じかと思います。

なかでも世界で注目されているのが2015年に採択されたパリ協定で、2020年から本格的に運用がはじまっています。

パリ協定の概要と主要国の削減目標(エネルギー白書2020)

パリ協定の概要と主要国の削減目標(エネルギー白書2020)

パリ協定を通じて、脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーにシフトする動きが各国で起こっています。(こちらのBlogでも触れています)
勿論日本でも、パリ協定で掲げた目標を実現するために、化石燃料への過渡な依存から脱却すべく議論を進めています。

では、企業は国のエネルギー政策に従うだけでよいのでしょうか?

日本のCO2排出量内訳は、電気・ガス事業者などエネルギー転換部門(5.4億トン)に次いで「産業」(3.6億トン)が占めており(エネルギー白書2020における2013年実績)、公益系以外の業界でも取り組むべき課題と言えるでしょう。
また、企業活動はグローバル化が進んでいるため、国別に集計してもその実態が測りにくいという問題もあります。

従って、企業は国の政策と連携するだけでなく、主体的に自社のビジネスプロセスを通じてCO2 Footprint(その発生源まで突き止めること)を明らかにすることも重要になっています。

企業としての事例として、SAP社での気候変動を中心としたサステナビリティに関する取り組みを紹介します。

 

SAPでのサステナビリティの位置づけと気候変動への取り組み

SAPでは、10年以上前からサステナビリティを重視する経営方針を打ち出し、今ではCFO(Chief Financial Officer)配下にCSO(Chief Sustainability Officer)及びその担当者を配置するなど、企業の財務業績に組み込んだ形でサステナビリティを位置付けています。

2019年に、SAPはサステナビリティへの取り組みに関する10年の軌跡を発表しました。(こちら)
そのうち、CO2排出に関わるトピックを抽出して以下に箇条書きで載せています。

~2009 : 外部有力団体に加入し、sustainability report発行開始
2009 : 二酸化炭素排出量の削減目標の設定. 社内Sustainability有識者Network化
2010 : LEED Platinum”の認定を北米本社にて取得 “LEED Platinum”
2011 : 外部アドバイザリ導入と“持続可能な企業戦略”へのコミットメント
2012 : ISO14001 (“環境マネジメントシステム”) 認定取得
2013 : Carbon Techへの投資と社内で“サステナビリティ・ダッシュボード”を導入
2014 : CFOルカ・ムチッチがサステナビリティの取締役会スポンサー
   財務指標と非財務指標の関連性を示す“質的関係性”を発行
2015 : データセンター・サステナビリティ・アワード受賞
2016 : 2025年に向けた“カーボン・ニュートラル目標”を設定
2017 : 2020年のCO2削減を前倒し達成し、2050年に向けた 科学的根拠に基づく目標’ を設定
2018 : “循環型経済(Circular Economy)”での“ゴミゼロ(Zero Waste)”運動の立ち上げ
   ダウジョーンズのSustainable Indexでソフトウェア企業部門で第1位の評価

全体像については統合報告書(2019年度版はこちら。下記は気候変動部を抜粋)を通じて、SDGsとの対応も明確にして非財務活動に関わる情報開示を進めています。SAP統合報告書2019

SAP統合報告書2019

その他にも例えば、TCFD (気候関連財務情報開示タスクフォース( :Task Force on Climate-related Financial Disclosures))についても賛同し、気候変動がもたらす影響について積極的に開示しています。

こういった社内の取り組みも踏まえて、社外のステークホルダーと共に気候変動対策をより本格的に支援するCLIMATE21を発表することになりました。

 

CLIMATE21とは?

改めて、2020年6月にSAPPHIRE NOWで発表した”CLIMATE21”は、企業活動で発生するCO2削減を支援することで気候変動対策Sustainability02.pngに貢献することを目指したプログラムです。

最初の導入企業となったドイツ大手食品会社Döhler社の事例発表(こちらでも記載)とともに、 SAP Product Carbon Footprint Analytics (SAP PCFA)という第一弾製品も併せてリリースしました。Sustainability03.png

SAP PCFAは、クラウド上のアナリティクス製品にデータを集めて可視化することに主眼を置いていますが、今後はSAPの様々な業務アプリケーションとの連携をより深めて、企業活動の中に組み込まれた製品とサービスが登場する予定です。

気候変動は、もはや未来の備えでなく今起こっている危機といっても過言ではありません。
そしてこのテーマに立ち向かうためには、株主だけではなく、多様なステークホルダーを重視したサステナビリティを重視した舵取りが求められます。

読者の皆さまで、CLIMATE21にご関心のある方は、ぜひお気軽に問い合わせください。