コロナウィルス感染拡大で浮き彫りになる決算・監査のDX実態
作成者:SAP Japan SolEx 編集部 投稿日:2020年8月18日
決算が締まらないリスク
これまで働き方改革や効率化の中で緩やかに進められていたDXが、コロナウィルス感染症の到来で突如必須の変革として各企業、各個人に求められるようになりました。そんな中、DXの対応が後回しになりがちであった経理部門において、「決算が締まらない」という形で決算業務に潜む問題が顕在化しました。
コロナウィルスの決算への業務影響
東京証券取引所の発表によると、国内上場企業の決算所要日数は昨年と比較して1週間の遅れが生じていました。また特に注目すべき点として、昨年96.2%の企業が業績予想を開示していましたが今年は「開示あり」が43.6%と、半数を超える企業がコロナ禍で業績予想までを準備できなかったということです。決算において過去の数字を締めることは重要ですが、その上で今後どのようにビジネスの意思決定を行うかがさらに重要になってきますので、これは大きな課題です。この背景としては、不安定な状況下で予想を出すのが困難ということ、またグループ内の情報収集に時間がかかりそれを精査する時間がなかったという点も考えられます。
日本CFO協会が行った調査によると以下のような原因で決算業務に影響が実際のお現場で懸念されていました。
- 海外子会社が営業停止や外出規制でデータ収集ができない
- 監査企業が、在宅勤務になり往査が進まず決算スケジュールが遅れている。
- 監査企業とのコミュニケーションがリモートになり認識の齟齬が出てしまう。
- リモート対応で全ての決算処理ができない。
※一般社団法人日本CFO協会「新型コロナウイルスによる日本企業の経理財務業務への影響」
また、実際に完全にリモート対応を実施できた企業は上場企業のうち僅か6%でした。やはり94%の経理部門の方が、紙の請求書・証跡の確認や、捺印、銀行対応、等のために出社をする必要が発生しており、他部門では進んでいるペーパレス化や海外を含むグループ全体の業務のクラウド化の必要性が浮き彫りになったと言えます。
感染症の到来で進む新常識、『リモート決算』
SAPが提供している決算業務ソリューション、BlackLineの顧客の中には、経理業務のデジタル化を既に実現しており、今回初めて感染防止のため経理部門の全員がリモートで決算業務を実施している企業もあります。この企業では、BlackLineを活用して、システム間の残高照合を自動化し、これまでメールで行っていた社内のコミュニケーションや監査人との質疑応答をすべてブラックラインのプラットフォーム上に集約していました。また、膨大な紙の証跡もデータで一元化することを完了しており「むしろ決算はリモートのほうがいい」という実感をもったと言います。
同企業の経理部門担当者は「決算業務はやることが多くもはや体力勝負。毎日の通勤時間も節約して決算作業に没頭するのが、一番効率的」と言います。また、決算業務を自動化しておくことで単純作業が削減され、締めを待たずに出来る作業から業務を進めることができ、負荷の平準化が可能となります。(※図参照)
監査人も助かる決算・監査のデジタル化
経理部門では経理人材不足が深刻な課題となっており、さらに働き方改革で業務時間の短縮が求められています。一方で、決算早期化と、ガバナンス強化を経営陣に求められています。この労働生産性、スピード、ガバナンスの課題は監査法人にも共通しています。監査法人にとっても、人材不足の中、品質の高い提案・スピーディな分析は必要となっており決算・監査のデジタル化はこれらの問題を解決することができます。
例えば、経理部門と同様に、締めを待たずに出来るものから監査人も確認作業を進める(継続監査)ことで、決算期の負荷を平準化でき、処理の履歴や証跡がクラウドに一元化されていば、わざわざ質疑内容をメールでまとめて、回答を待つという時間も削減されます。さらに往査の期間も短縮されます。
この機会に経理部門のDXを検討してみてはいかがでしょうか。BlackLineを活用した経理のDX事例について以下から事例をご確認いただけます。
https://www.blackline.jp/customers/
また、SAPジャパンやブラックライン、日本CFO協会など10社1団体が賛同した「リモート決算推進共同宣言」ではリモート決算の実現を支援する特別キャンペーンを行っているのでぜひ、詳細はお問合せください。