SAP Industries Virtual Forum 2020 オンデマンド 産業用製造業―グローバルの産業用製造業の最新トレンドや技術革新を紹介


2020年3月に開催された産業用製造業向け SAP Industries Virtual Forum 2020。ここでは、セミナーで紹介された以下2つの内容についてご紹介してまいります。

  • 産業用製造業におけるインダストリー 4.0
  • 産業用製造業界におけるビジネスモデルの破壊を乗り越える

本セミナーの模様はオンデマンドでこちらからご覧いただけます。)


産業用製造業におけるインダストリー 4.0

本ビデオでは、SAP の産業用製造業界エキスパートとして北中米地域を担当しているサヤン・ボーズ (Sayan Bose) のインタビューから、インダストリー 4.0 がいかにサプライチェーン全体に影響を与え、産業用製造業における「ロットサイズ・オブ・ワン」製造をグローバル規模で提供することに役立つのかをご紹介します。

SAP Industries Virtual Forum 2020 産業用製造業におけるインダストリー 4.0今日、顧客はニーズに完全に適合した、パーソナライズされた製品を求めています。そしてその製品は、相応の規模で製造され、競争力のある価格で提供される必要があります。こうした「大量生産からカスタマイズへ」の流れは、販売、製品開発、製造、アフターサービスまで、あらゆるプロセスに影響を与えます。

これらの課題への対処に、インダストリー4.0のコンセプトはどのように役立つのでしょうか?業界のエキスパートであるSAPのサヤン・ボーズは、次のように解説します。
「製造業の世界は、顧客ニーズの変化とデジタルスキル、人材デジタルプロセスの出現などで大きく様変わりしました。予期せぬ競争、世界規模のリソースオーケストレーション、そして製造や資本などの制約により、将来に向けてビジネスを持続させることが難しくなっています。インダストリー4.0が注目を集めるのは、その中でビジネスを成功に導く重要な要素だからです。インダストリー4.0は製造の観点から、現場のショップフロアから経営者のいるトップフロアまで会社全体をつなぐ一連のテクノロジーの導入と、エンジニアリングからアフターサービスまで、エンドツーエンドのプロセスのつながりをもたらします。」

インダストリー4.0がこれらの重要な役割を果たすためには、エコシステム全体のコラボレーションを必要とします。SAPエグゼクティブボードメンバーのトーマス・ゾウアーエシッヒ(Thomas Saueressig)は、インダストリー4.0がすでに多くの顧客のデジタル変革戦略に欠かせない存在になっている理由と、SAPの展望について解説します。
「すでに多くの企業がインダストリー4.0をデジタル変革戦略の中核に据えています。もともと、インダストリー4.0は既存のテクノロジーやIoTを活用した、スマートファクトリーのコンセプトとして誕生しました。しかし現在は、インテリジェントでサステナブルな製品の設計と製造、さらに予測もしくは予測提案型のテクノロジーを活用した、マシンおよびセンサーからの製品データに基づく意思決定の自動化が行われています。センサーデータは、ビジネスプロセスの改善にも利用できます。高度にパーソナライズされた製品への需要が高まる中、企業は新たなビジネスモデルとサービスを提供する必要があります。企業は販売、エンジニアリング、製造、調達、ロジスティクス、財務、そしてサービスまでのあらゆるビジネスプロセスを考慮する必要があります。しかし、グローバルなビジネス環境下で、それは容易なことではありません。すでにSAPでは多くのテクノロジーやアプリケーションがインダストリー4.0に対応しており、それをさらに進化させることが次の目標となっています。SAPはデータドリブンなビジネスモデルやサプライチェーン、バリューチェーンを横断するエンドツーエンドのソリューションでそれを実現します。複雑に個別化された製品を管理するには、柔軟でシームレスな設計と製造のプロセスを、大規模に展開する必要があります。また、製造と在庫の業務を自動化されたライン供給により統合し、透明化を高め、生産性を高めなければなりません。スマートな生産設備から収集したデータにAIを活用することで、企業は常に先手を打ちながら設備のパフォーマンスを改善できます。また、製造とビジネスプロセスを結びつけることで、リアルタイムに洞察を獲得し、意思決定も改善できます。これにより、最終的には製造、ロジスティクス、販売、サービスがエッジからコアに、そして工場から上層部までがシームレスに連動するようになります。」

SAP Industries Virtual Forum 2020 産業用製造業におけるインダストリー 4.0

SAP Industries Virtual Forum 2020: SAP トーマス・ゾウアーエシッヒ(Thomas Saueressig)

続いてサヤンは「多くの製造業者は受注設計生産(ETO)から、顧客のニーズに応じて製品が構成される、いわゆる受注仕様生産(CTO)へと移行しつつある」と述べ、そのために「ロットサイズ・オブ・ワン」への対応が重要であると解説します。「ロットサイズ・オブ・ワンに対応するには、サプライチェーンに重点を置き、即応性の高い計画プロセスが必要です。半製品に組み付けられるさまざまなバリアントや構成品目に対して、製造ラインへの適切な部品供給を行うことが求められるからです。製品以外では顧客に対して状況に応じたマーケティングや、パーソナライズされたセールスエクスペリエンスが必要です。これにより、顧客ニーズに基づいた的確な製品提供が可能となるでしょう。エンドツーエンドの個別化されたカスタマーサービス、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを実現するためには、顧客からの個別の注文をダイレクトに製造に伝達する仕組みと高度なサプライチェーン、製造現場と経営をインテリジェントにつなぐ仕組み、さらにはダイナミックな製造プロセスの実行に欠かせない異なるマシン間の接続と、設備内部で何が起きているのかを監視する仕組みが必要です。」

テトラパック社 インダストリー4.0/デジタル バイスプレジデント ヨハン・ニコルソン(Johan M Nilsson)氏は、ロットサイズ・オブ・ワンのコンセプトが与えたビジネスインパクトとして「製造サイズの縮小をもたらし、生産計画の重要性が飛躍的に高まる」と語ります。

SAP Industries Virtual Forum 2020: テトラパック社 Johan M Nilsson氏

SAP Industries Virtual Forum 2020: テトラパック社 Johan M Nilsson氏

これを受けて、再びサヤンがロットサイズ・オブ・ワンに対応するためのSAPのソリューションについて、次のように述べました。
「SAPではエクスペリエンス エコノミーを推進する、インテリジェント エンタープライズ フレームワークを活用しています。設計から運用まで(D2O)、リードから入金まで(L2C)、仕入れ先選定から支払いまで(S2P)、そして許容可能なコスト管理など、顧客のコアプロセスを連携させる機能を提供します。コアとなるのは新世代ERPである SAP S/4HANA です。これは自社のコア製造プロセス全体管理を支援します。そしてそれに併せて、製造のオペレーションに役立つSAP Digital Manufacturing Suite Solutionsを提供します。サプライチェーンの最大活用と工場のパフォーマンス把握には、SAP Digital Manufacturing for Insights が有効です。顧客のフィードバックの収集には、SAP Qualtricsが活用できます。インテリジェントな製品設計プロセスには、SAP Extended Production Engineering and Operations をご活用ください。」

SAP Industries Virtual Forum 2020: SAP サヤン・ボーズ (Sayan Bose)

SAP Industries Virtual Forum 2020: SAP サヤン・ボーズ (Sayan Bose)

本セミナーの模様はオンデマンドでこちらからご覧いただけます。)


産業用製造業界におけるビジネスモデルの破壊を乗り越える

本ビデオでは、SAP のマーカス・クラベル (Markus Krabel) へのインタビューから、産業用製造業者がどのようにデジタルによるビジネスモデルの破壊を乗り越え、データ資産の収益化、顧客の優先事項やエクスペリエンスに重点を置いた成果ベースモデルの提供など、さまざまな機会を掴んでいるのかを探ります。

SAP Industries Virtual Forum 2020 産業用製造業界におけるビジネスモデルの破壊を乗り越える2025年までに産業用製造の全収益の半分以上が、これまでとは異なるサービスからもたらされると予想されています。企業は利益率を向上し、顧客との親密度を高めるために、これまでの単なる製品の販売から、包括的なソリューションの提供、成果に対する請求、データ資産の収益化に移行して行きます。

マーカスは顧客が期待することの変化を、次のように解説します。「これまでは製品の信頼性と、品質が高いことが重要でした。しかしこれからは、デジタル化がさらに進み製品が相互に対話するようになり、効率的にライフサイクル全体の運用状況に順応して連動するという『約束』が求められます。これこそが、産業用製造業者が日々のビジネスにおいて直面している破壊的要素です。単に製品を出荷するだけでなく、顧客の用途を正しく把握し、そこで何が起きるかを予測してサービスを提供しなければなりません。」

テトラパック社 インダストリー4.0/デジタル バイスプレジデント ヨハン・ニコルソン氏は、こうしたサービタイゼーションを「顧客に問題解決を保証すること。」と定義し、「収益は、いかにうまくその問題を解決したかに比例します。今、弊社を含むあらゆる企業がこの方向に向かって進んでいます。」と語ります。

続いてマーカスは、新たなビジネスモデルへの移行で注意すべきことを、次のように解説します。
「これまでは販売時点で最良の製品を設計、生産することが一般的でした。しかしこれからは、長期使用を想定した運用上の課題に対応し、産業用IoTテクノロジーを活用してデータを取得するように設計できます。これには、稼働中の製品がどのように動作しているかも含まれます。不具合を予測する能力の強化が求められるのです。予測機能の設計はエンジニアリング部門と顧客のマインドセットに大きな変化をもたらします。」

マーカスはこの新しいサービスベースのモデルが販売方法にもたらす変化について「1回販売したら次の顧客に目を向ける従来のやり方から、新しい能力が求められるようになる」と語り、その手法について次のように解説します。「まず事業計画を策定して会社を深く理解し、新たなサービスモデルや、またはEquipment as a Serviceなどの新しいビジネスモデルをどの事業に導入するのか判断します。特にターゲットとする業界において最善の提供方法は何かなど、正しい選択を行うために出発点を理解し、そこから成長させていく必要があります。そのためには事業計画の担当者がターゲットとなる市場を把握することが大切です。」

そしてマーカスは提供形態の変化について「これまでのようにA社がB社にサービスを提供する形ではなく、両社が専門知識と技術を持ち寄り、ダウンタイムの少ない、信頼性の高い方法で提供するようになるでしょう。それにより、将来新たなサービス事業を行うことができるようになります。そしてその際は、収益性の確保にも留意すべきです。顧客が信頼性に不満がある場合はサービス契約を見直し、長期にわたるビジネス関係を構築できるようにします。デジタルではアフターマーケットにおいてもデータ活用によりプロセス改善と信頼性を高めることが可能であり、それが産業用製造業者が獲得できる、新たな強みです。」と語り、この変革を実現するために必要なこととして、「今のビジネスから転換する、企業の起業家精神が試されている」と語ります。

本ビデオでは、ホルビガー社の業務のデジタル化による抗口圧縮ポンプの遠隔監視および保守の事例についても紹介しています。

SAP Industries Virtual Forum 2020: ホルビガー社 Thomas Kriechbaum 氏

SAP Industries Virtual Forum 2020: ホルビガー社 Thomas Kriechbaum 氏

これを受けてマーカスは、SAPソリューションがどのように役立つかを解説しました。「サイロ化、複雑化したレガシーシステムを統合するインテリジェントコアとしてのSAP S/4HANAは、収益性分析も提供します。強力な管理ソリューションで長期にわたる製品とサービスの販売活動の支援にはSAP Customer Experienceがあり、製造においてはSAP Digital Manufacturing Cloudソリューションと、デジタルツインを可能にするSAP Asset Intelligence Networkが、エンジニアリング、製造からサービスまでの大局的な視野を提供します。」

本セミナーの模様はオンデマンドでこちらからご覧いただけます。)

SAP Industries Virtual Forum 2020: SAP マーカス・クラベル (Markus Krabel)

SAP Industries Virtual Forum 2020: SAP マーカス・クラベル (Markus Krabel)