ESG活動を価値に変えるABeam Digital ESGサービス


本記事は、2020年10月3日に、著者が行ったインタビューを元にしたものです。文中にある(S)は著者の発言です。

(S)今回はSAPのパートナーのABeam Consulting社(以下ABeam社)から、Digital ESGサービスを事例交えて紹介してもらいます。本日はどうぞよろしくお願いします。

ABeam社 Digital ESGサービスリーダー今野愛実氏

Digital ESGサービスリーダー今野愛美氏

 

「こちらこそよろしくお願いします。Digital ESGサービスをリードしております、今野です。」

 

DXの時代に浮き彫りになる、日本企業の「もったいない」現状

(S)近年多くの企業がESGやSDGsへの関心を高めているようで、関連するニュースやイベントがとても増えていますよね。
従来こうした領域を扱う部署はCSR部門が主でしたが、今は経営企画やIRなども見られ、事業戦略としてESGを組み込もうという動きが活発になっている点にも、いかに企業が重要視しているのかをうかがい知ります。
では前置きはこのあたりにしまして、早速ですが、こちらのサービスを立ち上げた背景から教えていただけますか?

「はい。Digital ESGのコンセプトの源泉は、近年のDX(デジタル改革)の潮流と、古くから日本企業に根付く経営精神の大きく2点です。

まず前者からご説明しますと、DXの加速に伴い企業が扱うべき経営管理の範囲が拡大しています。言い換えれば、これまで企業責任や経営課題として扱われていなかった事象が表出してきて、可視化・定量化されるようになってきました。そしてその新たな経営管理の範囲とされている内容の多くに、非財務資本(ESG)と称される要素が含まれています。

しかし、非財務資本の可視化・定量化には多くの企業が取り組めていない現状があります。
一方で、日本には古くから「論語と算盤」「三方よし」という言葉があります。ESGやSDGsが注目されるずっと昔から、日本企業は、短期的な利益追求だけでなく、企業としての社会的意義を重視した経営を実践してきたのです。
しかし、世の中の評価は必ずしもこの考え方とは一致しておらず、とても「もったいない」現状だと考えています。弊社のDigital ESGはこういった現状にアプローチすべく、数年前より構想を立て、2019年よりサービス提供を開始しました。」

 

非財務資本の「ストーリー」を語れるか、それが現状打破の一手だ

(S)なるほど、DXの時代にこそ、この「もったいない」現状を変えていこうとしているのですね。大変興味深いです。では、具体的にどういった課題を解決できるサービスなのでしょうか?

「一言で申し上げると、「非財務資本(ESG)のもつ見えない価値を顕在化し、企業価値との関係性を明らかにする」サービスです。
日本企業には、財務評価ではランキング上位でも非財務情報を組み込むとその評価が下がるということがよくあります。
企業活動の基本は資本の投下→事業活動→アウトプットからの資本拡大のルーティンの実践です。財務資本はこの流れに則った管理がされており、費用対効果を確認し、次の投資対象枠を定めていますよね。
一方で、非財務資本はこの管理がされていないのが実情です。経営資源のうちどのESG項目にどれだけ投資し、その結果社内外でどのような成果を生み、企業価値に繋がるのかという「ストーリー」を説明できない企業が多い、この点を課題だと考えます。
先述の通り、本来日本企業にはESG経営の考え方が根付いており、素晴らしい活動をしてきました。この日本企業のもつ価値を、弊社のDXを駆使し構築したサービスによって顕在化し経営管理をサポートしていきたい、そんな弊社の想いに共感していただき、お声を掛けていただく企業様が最近増えてきております。
AB ESG2この課題を解決することは、投資家らの要求でもあります。近年、国内外問わず多くの投資家が「企業価値の測定には、非財務資本が織り込まれるべき」との見解を表明しています。」

(S)なるほど、それは日本の企業の皆様にとっては価値がありそうですね。ただ、コロナ禍ではその動きが若干とまっているということはないですか?

「実は、むしろ以前よりもご相談をいただく機会が増えたように感じます。その背景には、コロナ禍において「外部変化に素早く適応し、企業価値を維持すること」を重要視する傾向が高まっていることが挙げられます。
例えばこの緊急事態に対応して、テレワーク等の対策によって従業員・各種資本を保護できているかという点や、安定的なサプライチェーンを維持できるかという点ですね。その中で、Digital ESGサービスの内容にニーズを見出していただいているためだと考えられます。

具体的にDigital ESGサービスの内容をご紹介させていただくと、下図のように大きく3つのコアコンテンツからなります。
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まずはESGデータを収集する「Data Connection」、ESG×企業パフォーマンスをデータから分析する「Data Analytics」、ESGデータと分析結果を確認できる「Cockpit」です。一例ですが、下図のような画面イメージをもとに、お客様の要件に応じて設計しています。詳細についてはこちらで紹介動画も公開しておりますので、もっと知りたい方はぜひ参照頂ければと思います。」

AB ESG4

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(S)ありがとうございます。こちらのサービスにはSAP Analytics Cloudを活用していただいているのですよね。とても魅力的なメニューですが、既に適用なさったお客様はいますか?

「はい。例えば、製薬・食品・情報通信・人材業界などでの推進事例があります。そのいずれにおいても、非財務情報(ESG)と企業価値との関連性が解き明かされており、その結果を踏まえ、IRとしての開示、企業活動における判断などをサポートしております。
また、お客様と本サービスの将来像について対話をすることもあります。今後は、継続的に社内外に散らばる様々な情報を収集・分析し、迅速かつ高度な経営判断を可能にする…さらには経営層だけでなく現場社員も対象とした全社的な企業活動をサポートするサービスへと進化させていきたいと考えています。
この進化は、企業価値創造の「ストーリー」が効果的にステークホルダーにも訴求され、今日の「もったいない」状況から脱却=称賛される・評価される企業への変革、を加速させる鍵となります。」

 

(S)なるほど、経営管理に非財務情報が組み込まれることはそう遠くない未来だと感じます。今後が非常に楽しみです。そしてESG経営とは、経営者だけでなく、現場にも落とし込まれてこそ実現するのですね。

「そうですね。ESGと聞くと環境や社会的活動というイメージを持ち、敷居が高いと思われる方もいるかもしれませんが、実際にお付き合いする方々はIRや経営企画部門だけでなく、IT系やDX推進部門の方も少なからずいます。
要は企業にとって有用なデータを可視化する、そのための種類がESGの分類に属するということですので、その観点であまり考えすぎずにお気軽に弊社までご相談いただければと思います。」

 

(S)いわれてみるとそうですね。基本に立ち返るとデータ活用ですよね。ちなみにABeam社ではESGだけでなく、データ活用を専門にしたチームもあるのでしょうか?

「はい。弊社には、ビジネス視点からのデータ活用を専門とするチーム、加えて、より高度な解析へ対応するAIのチームもございます。専門とする領域や手段は違っても、どのチームも顧客価値を最優先にという価値観を共にし、お客様の状況に応じて最適なプロジェクト体制を編成します。ですので、一緒にプロジェクトに取り組むことも多いです。
弊社およびDigital ESGチームの願いは、「もったいない」現状を克服し、社会的意義に確り取り組む企業、そして、強く生き残る日本企業が数多く存在する未来が訪れることです。我々はお客様のReal Partnerとして、共にその未来を実現してまいります。」

 

(S)なるほど、とても心強いです。本日はどうもありがとうございました。

 

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