SAP HR Connect Autumn 2020 DAY1|ニューノーマル時代の人事・人材育成の取り組み

作成者:SAP Japan イベント投稿日:2020年11月13日

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2020年10月26日~30日の5日間、オンラインで開催された「SAP HR Connect Autumn 2020」。
本稿ではDAY1(10月26日)に行われた日本電信電話株式会社 総務部門 人事・人材開発担当 担当部長 小田 晃弘 氏による「ニューノーマル時代の人事・人材育成の取り組み」をご紹介します。中期経営戦略『Your Value Partner 2025』を掲げ、デジタル・ICT技術を活用した社会的課題の解決、スマートワールドの実現に向け取り組むNTTグループ。2020年9月29日にはNTTドコモの完全子会社化を発表し、さらなる総合的なICT企業への進化を目指す姿が示されました。同社は2020年4月、自己変革を加速する人材づくりに向けて新たなタレントマネジメント基盤を導入。今回はその導入プロジェクトの経緯に加え、今後のニューノーマル時代の人事・育成のあり方、取り組みについてご紹介します。

日本電信電話株式会社 総務部門 人事・人材開発担当 担当部長 小田 晃弘 氏

日本電信電話株式会社 総務部門 人事・人材開発担当 担当部長 小田 晃弘 氏

冒頭、小田氏は「Your Value Partner」をビジョンに掲げ、持続可能なスマートな社会=スマートワールド実現を目指す同社の取り組みを紹介。三菱商事やトヨタ自動車との業務提携、エネルギー、メディカルサイエンスといった新たな事業などを紹介しました。

多様化・高度化する人材戦略の実現に向け、新たなタレントマネジメントシステム導入を目指す

NTTグループでは、「Connect(つなぐ)」「Trust(信頼)」「Integrity(誠実)」を共有価値として技術、サービス、インテリジェンスで業界をリードする世界最高水準の人材を目指す取り組みが行われています。小田氏はその中での人事、人材育成上の課題として「急速に多様化する事業への対応(グローバル化/新事業特化技術の獲得・蓄積)」、「競争力強化に向けた人材の育成と確保(AI等デジタル人材)」、そして「タレント情報の見える化と効果的な人材配置」の3点を挙げました。

これらの課題解消を目指す同社は、タレントマネジメントシステムの導入を検討しました。小田氏は従来のHRシステムでの課題を「経営判断に必要な人材(タレント)情報をタイムリーに把握、提供することができない。個別のシステムを利用するため一気通貫した人材マネジメントが行えず、さらにグループ各社が独自システムのEOL対応や機能強化を予定するなど高コスト、非効率でもありました。」と語ります。

同社は新たなシステムを策定するにあたり、

  1. NTTグループ全社員がその雇用形態に関わらず、キャリア形成・スキル向上を図れる環境を整備する。
  2. 導入は段階的に進める。第一段階として、人事コア導入済みのグループ会社から利用を開始する。
  3. 業務インパクト、アドオンの柔軟性、データ流通、コスト、セキュリティ等を総合的に鑑み、クラウドサービスをベースとしたシステムを構築する。
  4. クラウドサービスに合わせた業務フローへの見直し等の標準化、高付加価値化を促進する。
  5. 利用料金は、利用状況にあわせた受益者負担とする。

の5項目を「方針」として定めました。そして、「新たなタレントマネジメントシステムの目指すべき姿」として、経営、社員、人事育成部門、管理者の4つのステークホルダーに対する提供価値と具体的な機能を、次のようにまとめました(図1)。

図1:タレントマネジメントシステムの目指すべき姿

図1:タレントマネジメントシステムの目指すべき姿

小田氏は「当社が新たなHRシステムで目指すところは、データドリブンな人事・人材開発です。」と述べます。まず、人事領域でのチャレンジはデジタル技術を活用した社員の最適配置への提言。AIを活用した社員のスキル把握とポスト情報とのマッチング分析により、最適な配置を目指す試みです。次に育成の領域では、社員の自律的なキャリアデザインとスキルアップの促進。社員のキャリア希望を吸い上げ、そのために不足するスキルや資格、経験などを把握して研修プログラムのレコメンドを行うことを目指します。評価においては、評価情報の一元管理と業務の効率化。一元化された被評価者情報を基に、経歴、スキル、キャリアを考慮した配置育成計画の作成を目標としています。そして、これらを通じた全体のデータサイクルの流れを作り、人事、人材育成をデータドリブンで実行すること―これらが、目標として設定されました。

SAP SuccessFactorsによる新タレントマネジメントサービス

こうした検討を踏まえ、同社が選定したのがSAP SuccessFactorsです。小田氏はその選定理由を、「まずはグローバルでの高いシェアと導入実績。モジュール単位での利用が可能なことに加えて、当社の初期業務フィット率が90%であり、アドオンも可能。こうしたことを総合的に鑑みて、採用を決めました。」と語ります。導入プロジェクト体制はグループ各社の人事、育成、開発の専門会社が主体となり、約90社の利用会社メンバーも仕様検討に加わり約1年間の期間をかけて進められ、2020年4月から利用が開始されました(図2)。

図2:NTTグループの新タレントマネジメントサービス

図2:NTTグループの新タレントマネジメントサービス

導入時の検討において、最も重要だったのが仕様検討とのこと。その際の方針を「作り過ぎない」「As-Isに固執しない」と語る小田氏は、狙いを次のように説明します。「SAP SuccessFactorsはアドオンがいくらでも可能な自由度があるものの、“作り過ぎ”はコスト高を招きます。そのため、アドオンは徹底的に審議を重ねました。As-Isではなく今後どうするのかを主眼に置き、標準機能で運用すると何ができず、どう困るのかを、グループ各社とも細かく詰めていきました。その際は、同業種、同規模の他社はどうしているのか、他社と同じ対応を取れない自社の特殊性があるのかなども調べ、可能な限り標準化することを重視しました。」

また、同社では4月からの運用をスムーズに行うために、初期段階での実機トライアルを実施。小田氏は「実際に実機を触ってもらいながらのワークショップ、約2,000名の担当者が参加する研修などを重ねて、業務上の不安を払しょく、新システムへの信頼感を醸成する取り組みを行いました。」と説明しました。

同社が今回、SAP SuccessFactorsによる新しい「タレントマネジメントサービス」で実現した機能は、以下の通りとなります。社員ごとのプロファイル情報の一元管理から多面的な分析、目標管理、評価の登録、面談管理、人材配置の登録及び検討、そしてキャリア形成のための研修申し込みと受講管理、スキル診断、学習レコメンドなど、多岐にわたる項目が、一連の流れで実現されました(図3)。

図3:タレントマネジメントサービスで実現した項目

図3:タレントマネジメントサービスで実現した項目

小田氏は今回のプロジェクトを総括して、次のように述べました。「システムの開発と約90社に上るグループ各社で国内約20万人が利用する従来システムからの切り替えを、約1年間という短期間で実現しました。Fit to Standardを目指して仕様を調整し、アドオン開発を最小化したことで、従来のシステムコストと比較して30%の削減に成功しました。」ちょうどシステム切り替えの時期に新型コロナウイルス感染拡大が発生、その対応にも追われたとのことですが、業務のリモート体制を取り、安全管理を実施しながら無事、プロジェクトが完遂したとのことです。

こうして運用が開始された新しいタレントマネジメントサービス。小田氏は「ようやく第一段階が完了したと捉えています。今後、SAP SuccessFactorsの豊富な機能を、いかに使い倒すか。そのためにはデータをしっかりと入れて、データドリブンなサイクルを確立しなければなりません。同時に、社員目線のインタフェースの向上を行いながらグローバル各社にも展開することで、NTTグループ全体でのタレントの見える化を進めて行きます。」と語り、更なる発展を目指す今後の方向性として、下図を挙げました(図4)。

図4:HR Business Capability~Principle and Issues~

図4:HR Business Capability~Principle and Issues~

ニューノーマル時代向けた人事の取り組み

ここからは、本プロジェクト実施中に起きた新型コロナウイルス感染拡大への対応についての解説です。小田氏によれば、人事部門のNTTグループ全体での在宅勤務実施状況は約60%。リモートワークの満足度については通勤、移動時間の負担軽減、ワークライフバランスの促進、仕事の集中力向上、会議の効率化に加えて、アイデアが沸きやすい、自己研鑽時間が創出できるなどのポジティブな意見が寄せられた一方、チームで行う業務がやりづらい、意思疎通が取りづらいといったネガティブな声も寄せられたとのこと。しかし、今後の働き方については約7割の社員が在宅勤務の継続を希望しているとのことです。

これを受けて同社では「New Work Style委員会」を発足。小田氏は「場所や時間に捉われない働き方の実現を生産性向上と効率化、イノベーションの創出、働き方のグローバル化を実現するための取り組みと位置づけ、それに向けてソフト面(制度・業務ルールなど)、ハード面(IT環境改善、オフィスなど)の両面から、環境を改善していく」と、その目的を語りました。

本委員会での人事・人材育成上の取り組みをまとめたのが以下(図5)です。働き方、厚生、育成の観点から、リモートワーカー支援やメンタルヘルス対策をはじめとした6つのテーマを決めて、検討が進められているとのことです。

図5:New Work Style委員会の検討項目

図5:New Work Style委員会の検討項目

リモートワーク中心の働き方では、これまで以上に業務の見える化や、上司と部下のコミュニケーション促進の工夫が必要になります。小田氏は「中でもマネージャーの意識改革や行動の変容およびサポートが重要」との見方を示しました。加えて、「これまで当社はメンバーシップ型が主体でしたが、リモートワーク中心の働き方ではジョブ型のメリットは看過できず、従来型との併用の可能性、どの業務、人を対象とするかの検討が進んでいます。」と述べました。

リモート環境下の研修については、一般社員への集合研修は100%リモート化の検討が完了した一方で、新入社員の入社式、研修などは集合での実施案も検討。さらに、社内資格の認定試験や現地でのスキル習得訓練などは業務のDX化を進めて工夫を継続しながら、検討が続いています。

職場におけるOJT育成の可視化の仕組みも自律的な行動を促す文化を創出すべく、高頻度の1on1ミーティング開催、エクスペリエンスマネジメントなどでHR Techの活用検討が進められています(図6)。

図6:HR Techを活用したタッチポイントの高頻度化

図6:HR Techを活用したタッチポイントの高頻度化

さらに社員の心情や困りごとを把握し、上司からの日常的なフォローと支援、人事施策の立案、実行へとつなげる「EXマネジメントサイクル」の確立に向けた検討も行われています(図7)。

図7:エクスペリエンスマネジメント

図7:エクスペリエンスマネジメント

最後に

この状況の変化を同社では社員のエンゲージメントを高め、自律的な行動への変革、文化醸成や多様な働き方の共存を実現するための「ピンチはチャンス」と前向きにとらえている、と小田氏は語りました。そして、「そのためにSAP SuccessFactorsをはじめとしたデジタル技術を活用したデータドリブンな世界を実現し、リモートの中でいかにして変革やイノベーションを生み出すためのコミュニケーションを実現するかの検討を続けていきたい。」と結びました。

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