Intelligent Enterprise概論① : 目指す姿と期待価値


SAPを利用する検討する企業にとって、SAPの製品戦略を理解しておくことは有益であろう。
1020年と使い続ける基幹業務システム、それがどのような方向に発展していくのか、それは企業のパフォーマンスにも影響を与え得る。

SAPは年次の全社イベントSAPPHIRE NOWにて最新の戦略を発表する。近くは2020年5月に行われたSAPPHIRE NOWだ。そこで発表された最新の戦略がIntelligent Enterprise
CEOのChristian Klein、製品開発責任者 Thomas Saueressig、技術責任者 Juergen Muellerの主要責任者がこの戦略について語った。

SAPはドイツ生まれの企業である。そのステレオタイプに違わず生真面目な企業文化を持つ。Keep Promisesは全社員が持つ価値観だ。この戦略に沿って現場の業務は変わるし、発表した内容をしっかりと実現する。今回の発表は一部大きな方向の転換を含むが数年かけて粛々と実現されるのだろう。

 

Intelligent Enterpriseとは

Intelligent Enterpriseは、
企業が、最新の技術を使いこなしつつ、より機敏に、そして社内や社外との連携を高めることで、収益性だけでなく、有事の際の回復性や、社会への貢献を高めるものである。

SAPは、企業がIntelligent Enterpriseを実現するために、企業の業務遂行を支える、統合された業務アプリケーションと、それを支えるプラットフォーム、社外との連携性を高めるビジネスネットワークを提供し、それらは連携性、革新性、機敏性を備える。

IE全体像

 

Intelligent Enterpriseが目指す姿と、期待できる価値

企業が高い①収益力だけでなく、不測の事態の際からの②回復力、そして③持続可能な社会に貢献を実現していくには、デジタルの力を遺憾なく発揮する必要がある。それを実現するのがIntelligent Enterpriseだ。

①収益力へのデジタルの価値

働いている人々が日々改善を繰り返して効率化されてきた業務がある中で、さらに収益力を高めるにはデジタル活用が可能性の高い選択肢である。

  • AIやRPAによる事務的業務自動化と、ロボットやセンサーによる作業的業務自動化
  • データを起点とした、より精度の高い意思決定と、データそのものを活用した新規ビジネス
  • Uberやairbnbのようなデジタル全開の新しいビジネスモデル

②回復力へのデジタルの価値

通常の企業活動が分断されるような不測の事態が発生したときには、迅速な状況把握と対策の検討と実施が必要であり、デジタルの力が発揮される。

  • 企業活動のデジタルツインを通じて不測の事態による影響をいち早く把握する
  • 代替策をより迅速にシミュレートし計画する。例えば既存のサプライヤーからの調達が困難な際は、電子商取引市場で新たなサプライヤーを即座に探す。生産計画に変更が必要であれば複数の需要ケースにもとづきシミュレーションする
  • 場所と時間を問わない形での協業を実現する。例えば同じシステムを使うことにより効率的なリモートワーク環境を実現する

③持続可能性へのデジタルの価値

CO2やプラスティックなど直接的な地球への影響、SDGsのような広範な社会への影響、企業活動の中で様々な場面で影響を与えている。これらに影響を与える活動やその影響を把握するには、デジタルの力が必要である。

  • 持続可能性に影響を与える企業活動の把握。例えばGHGプロトコルをもとに企業活動と温室効果の影響を把握する
  • それらのビジネスへの影響把握。例えば人材の多様性と利益の相関をAIで把握する
  • ものごとを選択する際に持続可能性への影響を考慮できる。例えば調達先のISO14001準拠状況を選定基準に加える

 

 

デジタルの力で人々の日常は変わった。企業の日常は

思えば、人々の生活は、スマートフォンや検索エンジン、電子商取引市場、個別推奨によって変わった。企業の中での変化はそれに比べると緩やかだ。人々の生活と比較することで、企業システムの改善の余地を考えてみる。

他者とのつながり : Business Network

欲しいものがあればAmazonやメルカリで、仕事を探すときはLinkedInで、友達の近況を知りたければFacebookで、同じ趣味の人と話したければTwitterで、つながれる。

現在の企業は、社外とのやり取りが固定的か散発的であり、より柔軟で緊密なつながりをデジタルの力でできる。

連携されたアプリ : Suite Applications

スマートフォン上のアプリは、いろいろな企業が作ったアプリがある。しかし、誰が作ったアプリかを意識することはない。スマホのカメラで撮った写真がクラウド上に保存され、その写真はメールやFacebookに数回タッチすれば共有できる。
現在の企業は、それぞれのアプリが独立しており連携していない。Excelのバケツリレーのようなことが起きている。アプリの連携性を高めることで、より効率的で創造的な仕事ができる。

プラットフォーム : Business Technology Platform

顔認証や指紋認証などの新技術が出てくると、プラットフォームとしてその技術が使えるようになる。起動時の認証だけでなく、アプリを買う際の認証、クレジットカード支払いの認証と様々な場面で新技術が使える。それに加え前出のアプリ連携も共通化されたプラットフォーム上だからこそできることだ。

現在の企業は、それぞれのアプリがバラバラなプラットフォームの上にあり、新技術の適用や連携性に課題がある。

デジタルの力によって人々の日常は変わった。Intelligent Enterpriseが企業の日常を変える。

 

今回のブログはIntelligent Enterpriseのコンセプト概要まで。次回はその中身を紐解く