グリーフケアの概要と活用事例〜遺族に寄り添う仕組みづくりとは ー 金融機関向けオンラインセミナー


2月24日(水)金融機関向けオンラインセミナー『グリーフケアの概要と活用事例 ~ 遺族に寄り添う仕組みづくり』がSAP Experience Center Tokyo(大手町ビル)よりオンライン配信形式で開催されました。

年間 130 万人以上の方が亡くなる多死社会の到来を迎え、相続や事業承継の重要性が増す中、「グリーフケア」を導入する金融機関が増えています。相続人は、相続人である以前に大切な家族を亡くしたばかりの遺族で、遺族は独特の心理状態にあります。グリーフケアは遺族心理を理解するために欠かせない知識です。

政府主導で行政デジタル化の一環として、相続手続きの簡素化なども視野には入ってきていますが、行政と金融機関の間にはまだ解決すべき課題が残ったままです。その中、グリーフケアの概要を分かり易く解説すると共に金融機関における取り組みを紹介。さらに金融機関がお客様(家族)と永続的かつ良好な関係を如何にして築くことができるのか、その仕組みづくりを考察し、最後にパネル対談を実施しました。

金融機関におけるグリーフケア普及活動  − グリーフケアとは何か

まず、一般社団法人日本グリーフケアギフト協会 代表理事 加藤 美千代氏より、日本の金融機関へのグリーフケア推進活動から得られた知見と共に非常に示唆に富んだ内容が紹介されました。

本格的に遺族心理を伝える活動を開始したのは2016年、「今ではグリーフケア研修は郵便局・銀行・信用金庫・生命保険会社などに対し、累計で30社92回、約7500人の受講者になりました」と加藤氏。また、2019年には書籍を出版。2020年には株式会社きんざい から通信教育 ”<<マンガで学ぶ>>遺族の心に寄り添うグリーフケア実践講座”の提供開始、「今年は遂にグリーフケア・プレゼンター認定資格も開始しました」(加藤氏)

イギリスでは国家的なグリーフサポート組織が存在すること、アメリカではホスピスにおけるグリーフケアは一般的で、遺族ケアもグリーフカウンセリングも日常的な状況に比べ、「高齢化先進国となる日本では、グリーフケア認知度の低さが招く接遇時の遺族(相続人)への負の体験・体感を可能な限り極小化させたい」と加藤氏は語りました。

最後に、「遺族に寄り添う仕組みづくりのために、金融業界で働く誰もがグリーフケアを認知し、遺族心理に配慮した接遇が行われ、さらに行政や関連業界との連携がなされ、本当の意味で死亡・相続のワンストップサービス化、遺族に負担をかけない社会基盤の構築を目指し、『グリーフケアを社会常識にし、遺族が悲しみに浸れる社会』のために、さらにグリーフケア普及活動に邁進します」と加藤氏は強調しました。

おくやみジャーニー、遺族に寄り添うための仕組みづくり

SAPジャパン前園からは、「SAP Japan 2023 Beyondで目指す私たちの家族が生きていく未来SAPがなぜ社会貢献、社会課題解決に向けて取り組んでいるのか」を解説。そして、社内外に向けてグリーフケアの理解(”遺族の悲しみ、遺族の思いを理解し、遺族に寄り添う社会の実現”)を普及させるために作成した金融機関が取り組むグリーフケアと死亡・相続ワンストップサービス』アニメーション動画:図1を投影し、参加者にも遺族(相続人)側からみた喪失感から、将来ワンストップサービスが提供された世界観をイメージ頂きました。さらに、セミナー開催前に実施したSAPジャパンにおける「グリーフケア認知度、遺族・相続体験、及び相続時の金融機関窓口での体験(体感)」などに関するアンケート調査結果も紹介しました。

(図1)スクリーンショット 2021-02-26 2.29.55

 

後半では、遺族(相続人)への接遇シーンにおけるお互いの気持ちをなるべく負荷・負担なく計測し、即座に分析、そこで何か問題が発覚した場合には即アクション(対応)をとるための仕組みとして、『Qualtrics(クアルトリクス)』のXM(エクスペリエンス管理)に関して活用事例を紹介。具体的に「””(金融機関の人材育成・学習・研修)と”仕組み”(最適なタイミングでのフィードバックを得るため)のモデル作りで、少しでも遺族(相続人)と金融機関の役に立ちたい」と語りました。

 

スクリーンショット 2021-02-26 2.50.13

グリーフケアの取り組み状況 − 住友生命保険相互会社

そして、住友生命保険相互会社 代理店事業部 代理店業務スキル開発室 佐藤 亜矢子氏より、遺族への対応マナー向上や保険金請求時手続き事務の習熟を図るため、2014年から取り組まれている営業職員チャネル現場で活用を開始しているという『グリーフケアブック』の紹介がありました。2019年には加藤氏による研修を実施。「2021年には日本グリーフケアギフト協会の再監修で『グリーフケアブック』の改訂と、常にバージョンアップをし続けています」(佐藤氏)

直近では、「金融機関・募集人との接点がもちづらくなっているが、グリーフケアの必要性を感じていただけた金融機関からは研修の実施依頼をいただいています。コロナ禍においては2020年7月より、ZoomやWebexを活用したオンライン研修も展開中です」(佐藤氏)。また、研修後の金融機関からのアンケート結果なども共有されました。

最後に、「ご遺族に更なる安心を届けるために、認知症になった場合でもご家族が代わりに手続きできるという『ご家族アシストプラスという新しいサービス・制度も開始し、早い段階から関係を築く取り組みを進めています」と締めくくられました。

パネル対談

講演の後のパネル対談では、モデレーターにSAPジャパン 人事本部 HRビジネスパートナー・リード 石山 恵里子を迎え、日本グリーフケアギフト協会 加藤氏、住友生命 佐藤氏の3名で、以下のテーマに関して議論しました。

①「遺族に寄り添う」ために行政や金融機関が連携するにあたり、​その連携を阻むものがあるとすればそれは何でしょうか

​ ②グリーフケアが、より広く認識・認知向上されるために、​どのようなことを実践されていますでしょうか​

③グリーフケア研修を導入するにあたり、受講者の働き甲斐 (モチベーション)​や働き方(ビヘイビア)への影響を具体的にお聞きかせ下さい

加藤氏、佐藤氏からは実際に現場で対応されている日頃の様々な経験(体験・体感)をもとに、最後まで熱のこもった議論が交わされました。

photo1

当日、ご参加いただけなかった方にも、当日の資料の一部を以下よりダウンロード頂けます。

(#1)第一部 一般社団法人日本グリーフケアギフト協会の講演資料はこちら

(#2)第二部 SAPジャパンの講演資料はこちら