ドイツとSAPの脱炭素に向けた取り組み

作成者:福岡 浩二投稿日:2021年5月18日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

本インタビュー記事は、SAP内で2021年4月に行われたSustainabilityに関するオンライン勉強会を基に構成しています。
現在ドイツにある本社リエゾンとして現地に滞在している魚崎さんから、現地の生活者体験を交えて、ドイツ国家及びSAP本社での脱炭素への取り組みについてご紹介します。

SAP福岡(以下福岡):今日はよろしくお願いします。ドイツに赴任して1年半ほどですかね?やはり環境に関する意識は日本と違いますか?

Uosaki

 

SAP魚崎(以下魚崎):こちらこそよろしくお願いします。主にリエゾンとしてSAP本社で勤務しています。2020年から赴任してますので、確かにそれぐらいになりますね。
あと、ドイツの環境に対する意識については、やはり赴任前から噂を聞いてはいましたが、SAP内での勤務時だけでなく、住居や買い物といった日常の生活でも違いを感じますね。
今日はそのあたりについて、少しでも日本の皆さんにも現地の感覚をお届け出来ればと思います。
よろしくお願いします。

 

ドイツの脱炭素に向けた国家戦略

まず、ドイツという国全体から触れますと、2007年には2020年までに、ドイツのCO2の排出量を1990年に比べて40%減らすという目標を掲げ、2019年には2050年にカーボンニュートラルの実現すると発表しましたが、下図のとおり今までのところ順調に推移しています。

ドイツのGHG推移

ドイツのGHG推移

その方針はご存じの方も多いと思いますが、最終的には原子力発電を撤廃し、化石燃料を減らし、再生可能エネルギー(以下再エネ)中心の経済シフトを目指しています。

ドイツにおけるエネルギー内訳の推移

ドイツにおけるエネルギー内訳の推移

上図が1990年からの再エネ含めた消費推移ですが、2002年に再エネ比率4%だったのが、2020年には42.6%にまで増加しています。

福岡:この再エネへのシフトは圧巻ですね・・・。ちなみに周辺国からの輸入に依存している、ということではないのでしょうか?

魚崎:結構これはよくドイツの誤解として持たれている話ですが、結論から言えばドイツはむしろエネルギー輸出国の1つです。EU内でも最大の輸出国であるフランスに対しても輸出超過の状況が続いています。
EUは地続きの国が多いため、一国の環境問題でも国際問題に発展します。従って、エネルギー調整も以前より国家間で対応が協議されており、ドイツも周辺国と輸出入を行っています。特に再エネは生産コントロールが困難ですので、より周辺国と密接に連携をとる必要があります。

 

生活者視点で見た環境への取り組み

魚崎:次に視点を変えて生活の視点ですが、実はドイツに住んでびっくりしたのが、ほとんどエアコンを使わないことだったんです。

福岡:どういうことですか?

魚崎:先ほど触れたドイツの国家戦略の1つがエネルギーの高効率な利用です。以前の調査で、ドイツでのエネルギー消費量のうち3割が建物の暖房との結果が出たため、建物の熱消費の削減がアクションプランの1つとなりました。
ハイゼルベルグ2高性能で省エネルギーな建物を目指し、省エネルギー基準を満たしていると認定したパッシブハウスを国として推進してきたんです。特に私が住むハイデルベルグでは、パッシブハウスを使用した大規模な街づくりを実現しており、私の住む建物はその注力エリアに含まれています。(上図)
私自身の体感で言うと、冬でも太陽の光で部屋はポカポカで、夏は朝に涼しい風を取り入れて締めきれば快適に終日過ごせますね。
今後は住宅だけでなく、小学校、幼稚園、そして映画館やオフィス施設など全てがパッシブハウスで作られる計画で、電気と熱は全て再生可能エネルギーで供給される省エネ最先端エリアです。昨年にはパッシブハウスのホテルもオープンしました。公園や幼稚園も多く、歩道も広く整備されているため、小さい子供のいる若い家族、そしてドイツ以外から来た人達が多く住んでいますね。

 

SAPの脱炭素への取り組み

魚崎:ここからは、SAPの取り組みについてお話します。まず、SAPは元々2025年にカーボンニュートラル宣言していましたが、2023年に目標を前倒ししました。
元々は、自社運営のデータセンターで発生する電力由来のGHGが多かったのですが、2014年に100%再エネ調達に切り替えました。その後は出張移動に伴うGHGが最大となり、それが2020年のコロナ禍で大幅削減したため、目標と計画を冒頭のとおり練り直したという経緯です。

SAPの脱炭素への取り組み

SAPの脱炭素への取り組み

上図が対外的に発信している方針とイニシアティブとなります。SBT(Science Based Target)認証もドイツで初の取得を取り、社内でも使い捨てプラスチックの利用を段階的に配信することを進めています。
日々の通勤でも、EVシャトルバスを運行していますが、社員のEV購入補助制度や、EV優先の専用駐車場を設けたりして、個々の社員でもエネルギー問題を意識する制度がありますね。実は社員同士の相乗りを実現するWebサービスを社員有志が開発して運用してたりもします。
そして何より一番驚いたのが、2017年に自社構内にバイオマス発電所を建設して運用を開始したことです。下が実際の画像ですが、社内食堂などで発生した有機廃棄物をエネルギー資源に置き換えて出来る限り自前で賄えるようにしています。
Vaiomass他にも省エネを追求したハイテクビル建設を進めていますが、いずれにせよそのような動きがここにいると当たり前のように受け入れられているのは、冷静に考えると凄いことだなと思いますよ。

福岡:最後のバイオマス発電所は特にすごいですね。ありがとうございます。自社のことでもまだ知らないことが多く、非常に勉強になりました。ぜひ今後とも現地からの声を届けて下さい。

魚崎:こちらこそよい学びとなりました。もし読者の方々で直接お聞きになりたい方がいればぜひお声がけください。貴重な機会を頂きありがとうございます。

 

2021年5月27日に、Sustainability Summit Japanが行われ、日本国内外の先進企業の取り組みを中心にご紹介します。(下記より登録可能)→満員御礼につき登録受付は終了しました。(5/25 追記)

Banner

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連記事

SAPからのご案内

SAPジャパンブログ通信

ブログ記事の最新情報をメール配信しています。

以下のフォームより情報を入力し登録すると、メール配信が開始されます。

登録はこちら