データサイエンティストのノウハウを利用可能にした予見分析テクノロジーとは


SAPジャパンの瀬尾です。今回から3回にわたって、5月末に発表されたばかりのSAPの Predictive Analyticsソリューションをご紹介していきます。ビジネスユーザー自身がGUIベースで簡単に操作でき、しかもSAP HANAとつなげればこれまで想像もつかなかった大量明細データを元にした需要予測やセンサーデータを利用した機器故障の予防保全といった「これからどうなる?」といった予測も可能になる、まさにビッグデータ活用のための強力なアナリティクスソリューションです。

インメモリーテクノロジーがもたらした予見分析の劇的な進化

Operators in power station control room「予見分析ソフトウェア」というと聞き慣れないイメージを持たれるかもしれませんが、この領域自体はかなり以前から独立したコンピューティング分野として存在してきたものです。そこにあえてSAPが新たなソリューションで進出した背景には、インメモリーテクノロジーの飛躍的な進歩があります。

つい数年前まで、インメモリーデータベースのビジネスへの応用には疑問の声も少なくありませんでした。しかしSAP HANAの登場以降、急速にビジネスへの応用が進み、さまざまなアプリケーションも加わった現在、具体的な業務分析への利用が十分可能な環境が整いつつあります。

インメモリーデータベースの急速な進化は、予見分析の世界をも大きく変えました。以前は大量のデータを非常に短い時間で一度に処理するのが難しかったため、全体のわずか何パーセントかのデータをサンプリングし、分析モデルを構築・検証していくのが主流のアプローチでした。ここで課題になるのが分析モデルの信ぴょう性です。母数に対する抽出サンプルのパーセンテージが少なければ短期間に分析を何度もまわすことはできますが、当然のことながら信ぴょう性は低くなります。

SAPがそこにインメモリーテクノロジーを導入した結果、大量データの超高速分析が可能になり、分析モデルの信ぴょう性が大幅に向上しました。こうして予見分析の世界は、新たなステップに向けて踏み出したのです。

基幹システムとの連携で拡がる予見分析の適用領域

リアルタイムのデータ分析をどうビジネスの場で活用するのか、まだ具体的なイメージのわかない方も多いと思います。

Picture3

図1:SAP HANA+SAP Predictive Analysisの適用領域

一般的にリアルタイム分析というと、図1左上の「基幹業務プロセス行動化/各種レポート生成の高速化」のような、バッチ処理を不要にしたリアルタイム・オペレーショナル・レポーティングの実現といった利用法に注目が集まりがちです。しかし、実際には他の5つの領域のような、より現場の業務と密接に結びついた活用シーンの方が、はるかに大きな拡がりを持っているのです。

図1右上の「リアルタイムサービス最適化」にある「予防保全」などは、その典型です。たとえばビジネス側で蓄積されたERPのデータと、サービス現場で使われている機器のセンサーのデータとを組み合わせることで、「こういったセンサーの反応があった時は、ほぼ3カ月後に機械が故障する」といった故障の予見分析が可能になるのです。

これまでBIと言えば、すでにためられた過去の事象をダッシュボードやレポートという形で可視化して、その数値をもとに人間が判断や対応を行うというものでした。それがSAP Predictive Analysisでは、「判断=これから何が起きる」までをソフトウェアで分析できるようになったのです。さらにSAP Predictive Analysisは、SAP HANAだけでなくERPやCRMといったアプリケーションとも連携できるので、単にAnalyticsの世界にとざした予見分析をするだけでなく高度化された業務プロセスを実装することも可能です。このデータの蓄積、抽出、分析から現場単位の意思決定までをトータルで実現するソリューションは、ERPの世界で圧倒的な実績と技術力を持つSAPだけが実現できる領域といえます。

予見分析のもたらすメリットについて、さらに具体例を見ていきましょう。「予防保全」はお客様に納品した製品だけでなく、化学や鉄鋼プラントのような設備や施設の保全にも応用できます。

またeコマースの世界では、ショッピングサイトでお客様の購入履歴や閲覧行動を分析しておすすめ商品を表示する、いわゆるレコメンデーションが行われますが、SAP Predictive Analysisソリューションならば、リアルタイムでどんどん予測精度を高めながら、購買意欲をそそる商品をオファリングすることも可能です。

手にとれる商品だけではありません。たとえばソーシャルゲームの中で宇宙船を操縦するプレイヤーが敵の攻撃を受けた時に、次の行動として強力な武器を買うのか、それともさらに高性能な宇宙船を買うのかといったことを、プレイヤー自身の行動履歴からパターン分析して、攻撃の2秒後にはおすすめアイテムを表示するといったこともすでに実現しています。これからの予見分析では、この「リアルタイム性」がビジネスのパフォーマンスを向上させるための重要なポイントなのです。

関連記事:秒5,000件(!)のイベントを処理、超リアルタイム・オファーで収益を最大化するBigpoint

ビジネスユーザー自身によるデータ分析がGUIベースで簡単に実現

ここからはSAP Predictive Analysisの、より細かな特長や機能などをご紹介していきましょう。まず、SAP Predictive Analysisの最大の特長は、SAP HANAとネイティブに接続して大量のデータを高速分析可能な点です。

Picture1

図2:SAP Predictive Analysisの価値

従来からSAP HANAにはPredictive Analysis Library(PAL)と呼ばれる、統計分析を実行するための独自のライブラリが実装されており、それを用いた大量かつリアルタイムの予見分析を可能にしています。加えてオープンソースの統計分析ソフトウェアである「R」とも連携するため、オープンソースで提供されている数百を超えるRのアルゴリズムとSAP HANA独自のアルゴリズムを併用することが可能です。これに加え、一般のデータベースにも接続できるなど、もともとSAP HANAの予見分析には他のデータベースに見られない拡張性が備わっているのが大きな特長でした。

このたびSAPのPredictive AnalyticsソリューションにSAP Predictive Analysisが加わったことにより、こうした従来からのSAP HANAの特長に、ビジネスユーザーの視点に立ってさまざまなメリットが加わりました。

1つ目は、ビジネスのステージに合わせて予見分析システム導入・運用のスモールスタートが可能となり、将来的に大規模インメモリーデータベースへの移行が容易になったことです。最初のうちはコストや人手をかけずに既存の環境の中で検証したいのであれば、小規模のデータを使ってSAP Predictive Analysis単体での分析を実施。そして、将来的に規模が拡大し、またリアルタイム性を求められるようになった段階で、SAP HANAにデータを移行して高速かつ大量の分析を行うこともできます。

その他の主な特長としては、以下のような項目が挙げられます。操作はすべてGUIベースで行うことができ、分析結果なども図3にような多彩なグラフで視覚的・直感的に理解することが可能です。

また、機能設定も独自の言語や仕様が不要なので、従来のようにわざわざIT部門に依頼してコーディングをしてもらうといった手間が一切不要となり、ビジネスユーザーにとっても予見分析はより身近なものになっています。

SAP Predictive Analysisの主な特長

  • 洗練されたUIとユーザーエクスペリエンスにより、敷居の高かったデータマイニング領域をビジネスユーザーに開放
  • 分析結果への洞察力を高める完備された可視化ツール
  • イン・データベースマイニング、およびオープンソースRの利用が可能。市場で使われている代表的なアルゴリズムをサポート(コーディングは一切不要)
  • SAP HANA連携による大量データの高速オン・データベースマイニングを実現
  • 分析結果をPMMLとしてエクスポート。他マイニングアプリケーションとの連携が可能
PA

図3:SAP Predictive Analysisのクラスタ分析グラフ

このようにビジネスユーザー自らの手で予見分析を行えるということには、非常に大きな価値があります。データの抽出・収集から加工、予見分析までの一連の作業を、ビジネスユーザー自ら行えるため、データ活用のスピード化が実現し、業務全体のアジリティが向上します。

また実際のビジネスを一番よく知っているのは各現場のビジネスユーザーです。そのユーザー自身が分析を行うことで、よりビジネスに即した的確なデータ活用に大きな期待が持てます。さらに、各人の経験値や勘に基づくロジックをインメモリーデータベースに入力して蓄積していけば、将来的には自動検知も可能になっていきます。成果の共有という点でも、SAP Predictive AnalysisはPMML(予測モデルマークアップ言語)という共通言語をサポートしているので、ここで作ったロジックをPMML形式でエクスポートして、他社のツールでも活用できるというメリットもあります。

Picture2

図4:SAP Predictive Analysisの多彩なチャート

やや駆け足になりましたが、SAP Predictive Analysisの登場の背景や特長、そしてエンタープライズデータ活用における可能性などを、少しはご理解いただけたでしょうか。次回からは、SAP Predictive Analysisソリューションを導入して、実際にビジネスの現場で予見分析を活用されているお客様の中から、特に注目したい成功事例をいくつかご紹介していきたいと思います。

SAP Predictive Analysisの無料試用版を公開中!

予見分析を身近にするSAP Predictive Analysisのパフォーマンスを、以下のサイトから無料試用版をダウンロードして体験いただけます。ぜひご利用ください。

https://www.sap.com/campaign/ne/free_trial/predictive_analysis/index.epx?kNtBzmUK9zU

ご質問はチャットWebからも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

●お問い合わせ先
チャットで質問する
Web問い合わせフォーム
電話: 0120-554-881(受付時間:平日 9:00~18:00)