SAPPHIRE NOW 2021でSAP CEOが語ったビジネスの新機軸とは? グローバルキーノート解説

作成者:SAP Japan イベント投稿日:2021年7月1日

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2021年6月より、SAPは年次イベントSAPPHIRE NOW 2021を世界中の各国でオンライン開催しています。日本では7月から開催されるSAPPHIRE NOW Japanに先駆け、CEOのクリスチャン・クラインが登壇したグローバルキーノートについて、6月10日に日本の視聴者向けのハイライト解説をオンライン配信しました。
ゲストスピーカーに株式会社PlantStream 代表取締役 CEOの愛徳誓太郎氏とトラスコ中山株式会社 デジタル戦略本部 情報システム部 部長の木村隆之氏を迎え、SAPジャパンからは織田新一と竹内登桃子が登壇。パネルディスカッション形式によりSAP以外の他社視点も取り入れてグローバルキーノートを解説した模様をお伝えします。

株式会社 PlantStream 代表取締役 CEO 愛徳 誓太郎 氏

株式会社 PlantStream 代表取締役 CEO 愛徳 誓太郎 氏

トラスコ中山株式会社 デジタル戦略本部 情報システム部 部長 木村 隆之 氏

トラスコ中山株式会社 デジタル戦略本部 情報システム部 部長 木村 隆之 氏

SAPジャパン株式会社 織田 新一と竹内 登桃子

SAPジャパン株式会社 バイスプレジデント
インダストリー&カスタマーアドバイザリー統括本部長 織田 新一(左)
インダストリー&カスタマーアドバイザリー統括本部 イノベーションオフィス
カスタマーイノベーションプリンシパル 竹内 登桃子(右)


 

つながる世界全体の進化に必要な「コミュニティ」の考え方

今回のグローバルキーノートで強調されたキーワードは「コミュニティ」です。世界的な新型コロナウイルス感染拡大に直面し、SAP CEOのクリスチャン・クラインが日々お客様と接する中で痛感したのは、企業が1社単位でデジタル化や変革を進行させるのではなく、つながっている世界全体で進化していかなければならないということでした。

その前提に立ち、クリスチャン・クラインは3つのトピックを取り上げました。1つ目は、RISE with SAPという新しい製品提供形態を活用したインテリジェントエンタープライズの実現、2つ目はAriba Network、Logistics Business Network、Asset Intelligent Network(設備保全)を統合した新しいビジネスネットワークの価値、そして3つ目に、サステナビリティを取り入れ長期的な成長を目指すビジネスモデルの重要性です。


 

1.インテリジェントエンタープライズを実現するための道筋:RISE with SAP


ここでは、世の中が大きな変化を遂げていく中で、対応力や回復力を高めるための1つの姿として示されたインテリジェントエンタープライズ、ビジネスで行う業務の端から端までエンドツーエンドの連携を実現し、その業務プロセスがデータ活用やAIによりインテリジェント化へと向かう道筋として提示されたRISE with SAPを紹介しました。

今回は、まず現状の業務プロセスとその課題を把握し、新しい技術を利用することで得られる効果を試算、SAP S/4HANAにスムーズに移行いただくツールとサービスを活用して、インテリジェントエンタープライズへ近づいていく道筋をRISE with SAPとして説明。その上で、新しいオファリングとして「RISE with SAP for Modular Cloud ERP」、「RISE with SAP for HXM(Human Experience Management)」、「RISE with SAP for Industries」のソリューションが発表されました。

RISE with SAP for Modular Cloud ERPでは、人事、購買調達、データ活用、権限管理をSAP S/4HANAと連携させて利用できるようになりました。
また、RISE with SAP for HXMとSAP S/4HANAを連携させることで、ビジネス予測に基づいた最適な人員配置や人材育成計画の立案だけでなく、重要な意思決定を迅速に行うことが可能であり、従業員のエンゲージメント強化や生産性向上によって企業変革を実現できるようになります。

RISE with SAP for Industriesは、自動車、消費財、産業機械、小売などの業界ごとのプロセスを網羅的にパッケージ提供します。
例えば、偽造薬品の被害が多発していた米国では、2013年に医薬品サプライチェーン安全保障法が制定され、医薬品の受け渡しを段階的に厳しくする措置が取られるようになりました。そこでSAPは、医薬品メーカー12社と共同で医薬品をトレースする仕組み(SAP Advanced Track and Trace for Pharmaceuticalsと SAP Information Collaboration Hub for Life Sciences)を開発。医薬品サプライチェーンの安全性を向上させ、医薬品の再販を支援し、社会全体のサステナビリティ向上に貢献しています。ポイントは1社完結ではなく、多くの医薬品メーカーから物流業者、お客様まですべてのプロセスをつないで共同開発したところです。

プラント業界特化型のSaaS「PlantStream」を展開するゲストスピーカーの愛徳氏も、業界全体による取り組みの重要性を強調。設計から調達、建設(業界の上流から下流)までつなぐプラットフォームができてはじめて、データ連携による生産性向上を図れると語りました。

 

2.「ビジネスネットワーク」ですべてのプロセスを可視化

多くの企業がネットワーク化されたソリューション/プロセスを必要としていますが、いまだに企業間取引の可視化やコラボレーションを前提としていない、企業内に閉じたシステムを使っています。そこでSAPは、細分化されたサプライチェーンを「統合された協調的でインテリジェントなネットワーク」に変換し、世界最大級のビジネスネットワークを提供することを表明しました。

これによって、製品委託を行っているパートナーとの計画の共有、部材の調達、サプライヤー検索、契約交渉、出荷・輸送、販売、支払、保守などのプロセスを、さまざまな会社が連携しながら同一プラットフォーム上で進めることが可能となります。また、あらゆるプロセスを連携させて可視化できるだけでなく、カーボンニュートラルなオペレーションのためにCO2排出量を確認することも可能となっています。

製造業向けプロツールを「MROストッカー」から供給し、究極のクイックデリバリーを実現しているトラスコ中山の木村氏もこのようなビジネスネットワークに注目しており、Ariba Networkの調達・発注との連携でさらに利便性を高めていきたいと語りました。

SAP Business Network


 

3. サステナビリティの観点からビジネスモデルを変革

さらに、サステナビリティという新しいビジネス尺度を取り入れ、短期的な経済利益だけでなく長期的な価値をバランスよく目指す「新しいビジネスモデル」の必要性が示されました。これらの新たなビジネス尺度やビジネスモデルを従来からのビジネスプロセスに統合することが重要であるため、SAPはこれまでの知見をもとに、ビジネスのコアプロセスに活用できる仕組みを提供していきます。

今回のSAPPHIRE NOWでは、サステナビリティに関わる4つの新製品が発表されました。
まず、CO2排出量をビジネスプロセスとして収集/評価する「SAP Product Footprint Management」、商品化の過程で発生する原材料調達経路やパッケージ包装の経路を可視化することで生産者の責任を明確にする「SAP Responsible Design and Production」、プロセスで管理したデータを最終的に社内外で価値として報告するためのレポート基盤となる「Sustainability Reporting and Performance Management」がSAP S/4HANAと連携して、ダッシュボードで横断的に環境や社会に関するデータを可視化できるようになります。また、自社の商材で使われている材料を調達する過程やデータ品質を確認できるブロックチェーン技術を搭載した「Green Token」という新製品を活用すると、複雑な製造・流通経路によりバリューチェーン内での過程が見えにくい場合も、企業間のトレーサビリティに利用することができます。
サステナビリティも1社で実現するには限界があるため、SAPは企業や業界全体で取り組めるような仕組みを提供して支援していきます。

 

SAPのBPIがもたらす意義

CEOのキーノートの後には、SAP創業者のハッソ・プラットナーと最高マーケティングソリューション責任者(CMO)のジュリア・ホワイトが対談を行いました。
ハッソはプロセスの可視化と維持の難しさ、そしてSAPのBPI(Business Process Intelligence)の意義について語りました。BPIはインテリジェントエンタープライズの第一歩であり、一度きりのプロジェクトではなく継続的に繰り返し行うことが重要です。
また、インテリジェントエンタープライズが目指す姿の1つであるエンドツーエンドのプロセスを、お客様や従業員の声を聞いて世の中の変化に合わせられるように、SAPが持つビジネスプロセスを使って成功へと導くような世界観も示されました。

最後に、ゲストスピーカーの木村氏と愛徳氏は、次のように感想を述べています。
「SAPが提供するデジタルツールを使っていくことは非常に重要ですが、中小零細企業が支える日本の産業構造では、標準的にデジタルツールを使ってエンドツーエンドのプロセスを実現するために、規模感やリテラシーの違いを克服するサービスが重要です」(木村氏)

「これからは、業界特化型サービスと基幹システムがつながっていくことで、本当の意味での全体最適を改めて目指していきたいと感じました」(愛徳氏)

7 月 12 日(月)から 16 日(金)の 5 日間、SAPPHIRE NOW Japan では、世界各地で開催されるイベントプログラムの中から選りすぐりのトピックと日本独自のコンテンツを交え、日本のお客様に最新かつ最適な情報をお届けします。お客様のビジネスにとって重要なトピックに焦点を当てた「見逃せない瞬間」が満載のイベント体験をお届けする予定です。
(当イベントは終了いたしました。たくさんのご参加ありがとうございました。)

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