【SAPイノベーションフィールド福島の挑戦】第1回:社会課題解決に向けた新たな形

作成者:SAP イノベーションフィールド福島 投稿日:2021年10月13日

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地球規模で人類の未来に大きな影響を与える社会課題。日本でも高齢化問題、地球温暖化、地域の過疎化、教育格差など数多くの社会課題が顕在化し、今すぐ手を打たないと間に合わない段階にきています。こういった社会課題は、我々が次世代の日本、地球のために今すぐ立ち向かわなければいけない課題であり、皆さんの多くがそう感じているのではないでしょうか。
しかし、このような課題は、個人はおろか、一企業や一行政が単独で行動しても解決できるものではありません。個人、企業、行政が協力しあって解決しなければならない課題です。コトの時代やモノの時代が終わり、今はヒトの時代だといわれています。業界や職種を越えて、ヒトが協力し合って社会課題に立ち向かうことに大きな意味があるのです。

 

” SAPイノベーションフィールド福島”の挑戦

SAPジャパンでは社会課題を「持続的に」「他企業や地域と連携して」「ビジネスから切り離さない方法で」解決しようと試みています。本ブログではSAPジャパンにインターンシップで活動する大学生が編集者となり、SAPイノベーションフィールド福島の挑戦を取材します。SAPイノベーションフィールド所長の吉元や、福島で奮闘する地域の方々への取材を通して、社会課題を現場から見つめ直すとともに、社会課題解決と未来の企業の在り方を考えながら取材を進めます。単なる活動紹介ではなく、SAPジャパンが日本を課題解決先進国にするという目標に対して、そのアプローチの方法やノウハウ、そして個々の熱い志を紹介していきます。これらの記事を読んで、SAPが取り組む社会課題解決に関心がある方がいらっしゃいましたら、是非一緒に取り組んで参りましょう。

福島という地で社会課題の解決を目指す

SAPイノベーションフィールド福島は、2019年に福島県会津若松市に開設されました。この背景には「会津若松市は、日本国内で最もスマートシティが進んでいる地域であるから」と所長の吉元は語ります。会津若松市では「スマートシティ会津若松」を掲げ、医療、教育、防災、エネルギー、観光、交通といった生活を取り巻く様々な分野でICTを活用したまちづくりを進めています。

会津若松市では、20%超の住民が「会津若松プラス」という市のポータルサイトを利用しています。これは日本の各自治体のホームページ利用率が数%程度であることに比べると、極めて高いことがわかります。この背景には、同サイトが住民一人ひとりに必要な情報をタイムリーに収集できるようにパーソナライズされていることが挙げられます。例えば、会津若松プラスを通じて提供されるアプリの一つである「除雪ナビ」は、自分の住む地域に除雪車が来るタイミングを知らせてくれます。これは除雪を行う民間業者のデータと住民の個人データを組み合わせることで、一人ひとりの住民にパーソナライズされた形で情報を提供することができるからです。会津若松市では、こうして集められた住民のデータを活用した新しい街づくりに取り組んでいます。自分のデータが自分自身だけではなく地域の役に立つとわかり、住民もデータを提供してくれるようになる、それらのデータを活用した新たな住民サービスを提供していく、理想の連鎖といえるでしょう。

2019年に「スマートシティAiCT」というオフィスビルが会津若松市にオープンし、SAPジャパンはここにオフィスを構え、他企業や地域と連携しながら新しい街づくりへの貢献と社会課題解決に挑戦しています。他の入居企業においても同様にスマートシティ会津若松を推進するとともに、スマートシティを通じた新たなビジネスの創出にチャレンジしています。

「スマートシティAiCTのオープン当初はIT系の企業が大半を占めていましたが、最近はIT以外の事業会社の入居が急激に増えています。これはIT以外の事業会社においてもデジタルを活用した新しいビジネス創出に取り組んでいる中で、入居企業とのオープンイノベーションプロジェクトやスマートシティ会津若松における実証実験に期待が高まっている証と言えるでしょう。」(吉元)

 

SAPイノベーションフィールド福島が取り組む3つの領域

SAPイノベーションフィールド福島では「ものづくり」「教育」「イノベーション」の3つの領域で取り組みを行っています。

デジタルを活用した「ものづくり」企業の生産性向上


ものづくりは日本を代表する産業ですが、特に日本の99.7%を占める中小企業がこの国の製造業を支えてきたと言っても過言ではないでしょう。SAPジャパンは、こういった中小ものづくり企業の力になりたいと考えています。SAPの本社があるドイツでも同様に製造業が国を支え、SAPもインダストリー4.0の取り組みをドイツ政府とともに推進するなど製造業に貢献してきました。日本でもそのノウハウを生かし、日本の製造業を盛り上げていきたいと考えています。
具体的には、会津地域の中小企業70社以上が参加する会津産業ネットワークフォーラム(ANF)と共にAizu Connected Industriesプロジェクトを立ち上げ、会津地域の中小企業の生産性向上や競争力強化に取り組んでいます。特に生産性向上のためには中小企業においてもデジタル活用が必須ですが、リソースが限られる中で中小企業のデジタル化は残念ながら遅れてしまっています。そこで地域の中小企業が共通で利用できる業務プラットフォームを構築・展開することで地域全体の生産性向上を目指します。

地域の子どもへの「教育」プログラムとその仕組み作り


経済産業省によると2030年には79万人のIT人材不足に陥るといわれています。大学の授業でもIT関連の授業が増えていたり、語学など以外にもIT関連資格の重要性が高まっていたり、大学生の我々も日々ITスキルの重要性を感じています。一方で、IT教育においては地域間や世代間の格差が顕著であり、行政だけに依存しない仕組み作りを始める必要があると感じています。
SAPジャパンでは、小中学校生を対象にしたプログラミング教室、高校生・大学生を対象にした経営シミュレーションゲームやグローバル企業体験などの教育プログラムを実施しています。特に会津地域においては地元のNPOと連携して地域の人による地域の人のための教育活動として行うことで、1回きりで終わらない持続可能な仕組みを構築しています。このように地域の人による地域の人のための仕組みづくりを支援することで教育格差の解消にチャレンジしています。

「イノベーション」を通じた社会課題の解決


イノベーション領域では主に環境問題に挑戦しています。日本のCO2排出量は12億トンで、これを2050年までにゼロにしなければなりませんが、こういった目標を達成するためには企業が具体的に行動に移す必要があります。企業はCO2削減や環境問題に対する対応をCSRとしてボランティア的に行うのではなく、ビジネスを回しながらサステナブルに環境問題の解決に取り組んでいく必要があります。

SAPイノベーションフィールド福島はスマートシティ会津若松において再生可能エネルギー廃棄物削減の取り組みを進めています。SAPが持つグローバルの事例や知見、またSAP自身が提供するソリューションを活用することで、環境問題に大きく貢献できるものだと考えています。さらにはSAPジャパンが独自で持つビジネス変革者のコミュニティ「Business Innovators Network」に参画する様々なステークホルダーや、SAPジャパンのユーザー会「JSUG」の参加企業とともに、社会課題の解決を推進しています。

 

社会課題解決にチャレンジする想い

全5回にわたってSAPイノベーションフィールド福島の取り組みを所長の吉元や地域の方とのインタビューを通じて紹介するとともに、日本の社会課題解決に対する私たちの思いを共有します。

SAP Innovation Field Fukushima所長 吉元宣裕

SAP Innovation Field Fukushima 所長 吉元宣裕

「SAPという会社の力を使ってSDGsの実現に貢献する」と、吉元は自らの志を口にします。「自分のやりたいことが社会貢献につながり、それが会社の事業につながる。これが21世紀の新しい働き方です。ありたい自分、ありたい社会、ありたい会社、この3つの交点を常に意識しながら仕事に取り組むことで自分価値、社会価値、企業価値を同時に上げるチャレンジをしています。」

「個人や企業がありたい志やビジョンを持つこと。SAPではこれをPurpose(パーパス)と呼んでいます。社会課題解決が新しいビジネスを生み出す今の時代だからこそ、SAPイノベーションフィールド福島では個人や企業のPurposeに基づいた持続的な社会課題解決を目指します。SAPジャパンの活動はあくまで一例ですが、ここからアイデアや新規事業、さらには21世紀型の経営モデルを生み出せればと考えています。」

今後の記事では各分野で社会課題解決に向けて奮闘される現場の方々とのインタビューから、私たちの想いを伝えていきますので、お楽しみに。

 


本連載「SAPイノベーションフィールド福島の挑戦」編集者の想い

千田遼太郎

SAPインターン生の千田遼太郎と申します。世界中で多くの社会課題が顕在化しており、自身が社会人として成し遂げたい数個のテーマの半分も社会課題の解決にあります。日本も先進国ならではの社会課題を数多く抱えており、日本全国で、企業、自治体、個人が社会課題の解決に危機感を持ち、今すぐアクションを起こす必要があると感じています。また、それぞれが個別に動くだけでなく、企業の垣根を越えてヒトがつながり、社会課題の解決をビジネスを通した形で実現する必要があるのではないかと感じています。本シリーズから、SAPのデジタルによる社会課題の可能性を感じていただき、是非皆様と一緒に一つでも多くの社会課題解決に挑戦していくきっかけにして頂きたいと感じております。

 

若林美南

SAPインターン生の若林美南と申します。私は幼少期アメリカに住んでおり、日本に帰国した際にごみの分別を生まれて初めてやらなければならない際に小学生ながら衝撃を受けました。とても小さな出来事ですが、「社会の在り方」は人の意識に対して長期的に大きな影響を及ぼすと思います。だからこそ、企業経営者、行政、そして福島の子供たちをも巻き込んだSAPイノベーションフィールド福島の挑戦はまさに社会の在り方そのものにアプローチしており、社会課題解決に向け大きな可能性があると感じます。私もこの活動を通じて「社会貢献をよりビジネスとつなげて考えること」を皆様と共に学んでいけたらと思います。

 

植村勇斗

SAPインターン生の植村勇斗と申します。旅行で訪れたベトナムで小さな子が物乞いの姿を見て衝撃を受けた経験から社会課題に関心を持つようになりました。現在、世界中で地球規模の問題が注目され様々な取り組みがされています。日本国内でも、高齢化や過疎化、教育格差など様々な問題がありますが、このような社会課題は誰か一人の力で解決できるものではありません。だからこそ行政、企業、地域の人々と連携して社会課題の解決に挑戦するSAPイノベーションフィールド福島の取り組みに興味を持ち、この活動に参加させていただきました。本シリーズの活動を通じてビジネスとつながる持続可能な社会課題の解決について学ぶとともに、社会課題について考えるきっかけを読者の皆様に届けられたら幸いです。

 

木村優希

SAPインターン生の木村優希と申します。私が社会課題について意識するようになったのはイギリスへ留学中に目の当たりにした同じ学生の社会問題に対する意識の高さに驚いてからだと思います。日常生活の会話の中で教育格差やエシカル消費などの話題が飛び交う中、私自身もっと生活する上で意識せねばとある種の覚悟を持ったのを覚えています。身近にない限りまだまだ自分ごと化して考えにくいテーマではあるからこそ、このブログを通して読者の皆様と社会課題に対する知見を広げながら「自分だったら何ができるだろう」「ビジネスとどのように繋げることができるのだろう」と共に考えていきたいと思っております。

 
 

角口友菜

SAPインターン生の角口友菜と申します。私は最近、社会問題や環境問題への理解・関心は、企業と人々の間にギャップがあると感じています。例えば、私はカフェでアルバイトをしており、会社の方針でプラスティックカップを一部廃止し、紙カップにシフトすることになったのですが、お客様からご理解をいただけないことが度々あります。環境に配慮し脱プラを進めるという会社の方針がお客様に伝わっていない、お客様が環境に配慮した行動を選択する機会が少ないなどの理由があると感じました。本記事でSAPの社会問題への取り組みを背景や関係者の思いも含めてご紹介することで、読者の方がSAPの取り組みを身近に感じていただき、持続可能な社会について考え、行動するきっかけとなれば嬉しいです。

 

秋山直登

SAPインターン生の秋山直登と申します。私がSDGsについて関心をいだいたきっかけは、ファッションです。ファッションは「世界2位の環境汚染産業」といわれるように、大きな環境問題を引き起こしています。この事実を知ったことで、もっとSDGsについて知りたい、自分に何かできないのかと思うようになりました。SDGsと聞くと敷居が高いように感じてしまいますが、自分の場合がファッションであったように、趣味や日常生活など身近なところにきっかけは溢れています。このブログも、企業の地方でのSDGsの取り組みの一例として、SDGsを考えるきっかけになればと思います。

 

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