経理は「経営の羅針盤」- 何のための生産性向上か -

作成者:SAP Japan SolEx 編集部投稿日:2021年8月3日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

“テクノロジスト”という言葉をご存じでしょうか。現代経営学の生みの親と言われるドラッカーが“ナレッジワークに重心を置きながら、マニュアルワークも行う人”を指す言葉として1990年代の著作の中で紹介しています。

経理という職種は会計の専門知識と経理の実務能力が求められるので、この“テクノロジスト”に該当します。なぜこんな話から始めたかと言うと、テクノロジストである経理の生産性向上を実現させる上で、ナレッジワークとマニュアルワークとを関連付けて考える必要があるからです。

■ナレッジワークとマニュアルワークの生産性向上の違い

ナレッジワークとマニュアルワークとでは生産性を計る方法も生産性を向上させるポイントも異なり、経理の生産性向上の取り組みは作業効率だけでなく、ナレッジワークにおける生産性の観点での施策や評価も重要です。

一般にマニュアルワークの生産性は量によって計ることができます。例えばPCの生産工場では一台あたりの生産にかかる時間が生産性を計るひとつの指標になります。一方、ナレッジワークは量ではなく質によって、そのアウトプットが評価されます。

したがって、マニュアルワークは機械やコンピューターの導入が生産性の向上に直結する場合が多く、工場への組み立てロボットの導入による生産量の増加などはその顕著な例です。しかし、この場合も単にある工程にロボットを導入するだけではなく、前後の工程の生産能力のバランスを考慮した生産手順をデザインすることによって、ライン全体、工場全体の生産効率を高めることはナレッジワークであり、デザインの良し悪し(質)が生産性の向上に大きく影響します。

そして、決算業務でもこの考え方は当てはまります。

■決算業務におけるナレッジワークの生産性向上と期待される効果

決算の業務プロセスにSAPが提供している決算業務ソリューションのBlackLineの適用範囲と該当するモジュールを示すと下図のようになります。

勘定照合というタスクを例にすると、ERPや会計システムの勘定残高を、
・第三者が発行した書面(例:銀行の残高証明書)や
・他のシステムから出力した帳票(例:固定資産台帳)
・Excelで作成した管理表(例:保証金の管理表)
などと照合し、一致不一致を確認する作業はマニュアルワークです。
一方、不一致となった場合の調査や修正、一致した場合の取引の内容に対する勘定科目の妥当性の判断(例.修繕費 or 資本的支出)が必要で、それらは経理の専門的な知識や経験、ノウハウを必要とするナレッジワークです。

勘定照合においてSAP Account Substantiation and Automation by BlackLineは照合作業の自動化によってマニュアルワークとしての生産性の向上を実現し、一元化によって決算担当者が調査に必要な情報へのアクセシビリティを高め、自動化と一元化の両方で“人”による判断に必要な時間を十分に確保することによって、ナレッジワークとしての生産性の向上(質の向上)に貢献します。

さらに決算の業務プロセス全体について言えば、抜け漏れのない、かつ開示日程をキープできる手順書の作成や担当者の配置、そして決算の進捗状況や負荷状況の管理はナレッジワークであり、BlackLineでは以下に例示のポイントで決算業務全体の生産性の向上に貢献します。

  1. 決算プロセスの進捗や負荷状況の可視化
  2. 決算の各タスクの実行の履歴、関連するドキュメントやデータファイルなど決算業務に関連する情報の一元管理
  3. BlackLineを介した社内や社外(監査人等)とのコミュニケーション

この場合の生産性向上の成果としては
・決算プロセスの中でのボトルネックの解消による決算の早期化
・業務負荷の平準化による残業時間の削減
・決算プロセスの可視化、標準化によるガバナンスの強化
・BCP対策の強化(リモート決算、リモート監査の促進、標準化による業務の属人化の抑制)
などが期待されます。

■経理業務の本来の価値

経理業務で生産性向上を議論する際、効果として真っ先に焦点が当たるのが経理業務の工数削減です。工数削減はマニュアルワークの自動化によって実現可能ですが、一般に自動化のためのツールの導入コストを賄えるほど、その金額的な効果は大きくありません。

経営者が経理財務部門に最も期待するのは業務の工数削減ではないことは、様々な調査機関によるサーベイの結果を見ても明らかなのに、なぜか具体的なシステム導入の話になると、直接的な定量効果を求めがちです。

様々な企業が、経理財務部門が果たすべき役割として「経営の羅針盤」と言う言葉を使用しています。それは、“会計の専門的な知識”と“経験”と“情報”を活用し、経営層や事業ラインとのコミュニケーションを重ねることで初めて実現することです。

経理財務部門がその役割を果たす上で重要なのはナレッジワークの生産性の向上です。多くの企業においてマニュアルワークの生産性向上は早急に実現すべきことですが、それはナレッジワークの生産性向上のための必要条件にすぎません。

SAPが決算プロセスに焦点を当てる理由

SAP Account Substantiation and Automation by BlackLineはSAPが提供する決算プロセスのデジタル化のためのソリューションです。決算業務におけるマニュアルワークの自動化を促進し、ナレッジワークの生産性を高めるために、
・必要な情報と人へのアクセスを容易にし、
・暗黙知を形式知に変え(標準化・見える化)、
・グループ全体の最適な決算プロセスの実現を支援し、
決算に携わる人が、その人が持つ専門性を十二分に発揮することで、経理財務部門が持つ経営への貢献のポテンシャルの最大化を支援することを狙いとしています。

そして、企業経理の根幹である「決算」が、時間に追われながら大量のタスクをこなす修行のような場から、決算のルールや手続きを習得しながら創造性を発揮できる成長の場へとシフトすることができれば、その会社の“経理“はとても魅力的なものになるに違いありません。

“全ての経理財務が経営の羅針盤となるために“

SAPはSAP Account Substantiation and Automation by BlackLineで経理財務の変革を決算から支えます。

■BeyondTheBlack TOKYO2021■ 

来る2021年8月18日(水)19日(木)にBeyondTheBlack TOKYO2021を開催します。SAPからは、18日15:55-16:10に、「変化対応力のあるグローバルビジネス基盤整備と本社役割の変化‐ SAPにおける実践事例のご紹介」と題し、セッションを行います。SAP自身の変革実践事例を通したグローバルビジネス基盤整備のポイント、本社の備えるべき能力についてご紹介させて頂きます。是非、ご参加ください!!

参加登録(無料)・詳細はこちら
ブラックライン株式会社|BeyondTheBlack TOKYO 2021 (blackline.jp)

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連記事

  • 三井金属鉱業「匠の技」のデジタル化により習熟期間を大幅に短縮

    1874年の創業以来、非鉄金属素材分野で世界をリードし続ける三井金属鉱業株式会社。同社では中期経営計画「19中計」において、「ありたい姿を実現する成長基盤の変革」を掲げ、全社的に生産性向上、デジタルトランスフォーメーション(DX)、スマートファクトリー化等のICT改革に取り組んでいます。その中でも、同社の主力を担う銅箔事業部での「スマート・ファクトリー・プロジェクト」は、日本の製造業全体が抱える属人化の問題を解決し、工場運営の高度化を実現するものでした。SAP Japan Customer Awardで「Innovation」部門でアワードを獲得した同社でのSAP Cloud Platformを使った取り組みや今後の展望を伺いました。

    続きを見る

  • SAP S/4HANA時代に求められる製造管理システムとは?

    これからの製造現場では、製造実績の可視化や製造履歴のトレーサビリティなどの現場管理の要素に加え、基幹システムとの連携が重要です。本ブログでは次世代ERPのSAP S/4HANAとの連携を解説します。

    続きを見る

  • 川崎重工業がSAP S/4HANA PEO本稼働によりデジタル変革を加速

    「世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する“Global Kawasaki”」をグループミッションに、航空機および航空機用エンジンなどの開発・製造や生産プロジェクトを手がけ、日本の航空宇宙産業をリードする川崎重工業航空宇宙システムカンパニー。SAP Japan Customer Award 2020で「Japan Industry 4.0」部門を受賞した同社では、複雑な生産工程や厳格な安全性基準といった航空宇宙業界特有の課題に、世界に先駆けてSAP S/4HANA PEOを導入、デジタル変革を推進してきました。2020年12月に本稼働を迎え、さらなる加速が見込まれる同社のデジタル変革の全容を伺いました。

    続きを見る

SAPからのご案内

SAPジャパンブログ通信

ブログ記事の最新情報をメール配信しています。

以下のフォームより情報を入力し登録すると、メール配信が開始されます。

登録はこちら