SAP APJがコロナ禍の中で実践する、明確なパーパスに基づく新たなBtoBマーケティングの手法と営業改革

作成者:SAP Japan イベント投稿日:2021年8月24日

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7月12日から16日にかけてオンラインで開催された「SAPPHIRE NOW Japan」。7月14日のセッションではBtoBマーケティングをテーマに、コロナ禍によって変化する市場環境の中でSAPジャパンが自ら実践するマーケティング手法と、それを受けた営業改革の取り組みが紹介されました。本ブログでは、SAPジャパンの常務執行役員 アジア・太平洋地域・日本 マーケティング統括の青木桂子と、バイスプレジデント SAP Customer Experience 事業本部長の富田裕史の対談形式で行われたセッションの模様をお伝えします。

SAPPHIRE NOW Japan 2021における対談

SAP APJが取り組む新たなマーケティング戦略「ASIA NOW」

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大は、あらゆるビジネスと業務領域に大きな影響を与え、デジタル化の流れを加速しました。このことはマーケティングの領域も例外ではありません。SAPでは2020年から2021年にかけて、マーケティングのデジタル化に舵を切り、試行錯誤を繰り返しながら新たな施策を打ち出してきました。
その一環として2021年から取り組んでいるのが、「ASIA NOW」をスローガンに冠した新たな戦略です。SAPのアジア・パシフィック・ジャパン(SAP APJ)全体で進められているこの戦略では、今すぐ取り組まなければならない変革課題として、「正しいブランド認知」「新規需要喚起」「Go-Live後のエンゲージメント」の3つを掲げ、それを5カ国のマーケティングユニットのメンバーである「PEOPLE」が下支えしています。

2021 SAP APJ マーケティング戦略

まず「正しいブランド認知」については、「ERPのベンダー」「製品が高額」「大企業向け」といったSAPに対する根強い固定観念から脱却するため、「デジタル改革の頼れるパートナー」としてのメッセージを積極的に発信。特に2021年からは企業の存在意義を明確に打ち出す「パーパスブランディング」を念頭し、SAPの企業理念である「世界の人々を幸せにする」をあらためて掲げ、この理念の実現に向けたアクティビティを追求しています。

次に「新規需要喚起」は、SAP APJがASIA NOW戦略の中で最も注力している領域です。ここでは「デジタルエンジンの強化」を旗印に、コーポレートサイトであるSap.comのローカライズ手法の改善、SEO対策の強化、データドリブンマーケティグの実践といった課題に取り組んでいます。
Sap.comのローカライズでは、従来のように本国のサイトをそのまま翻訳するのではなく、APJ各国の文化を踏まえた馴染みやすいデザインのもと、それぞれの市場のニーズに適したオリジナルコンテンツ、顧客事例などを掲載しています。例えば、日本ならアニメの手法を採り入れる、シンガポールなら地域をイメージさせる写真を使うなど、各国の顧客にビジネスパートナーとしての親近感を感じてもらえるサイトを目指しています。

デジタル DG デザイン強化 1.ホームページのローカライズ

SEO対策の強化では、インターネットの自然検索において、SAPという社名だけでなく、ERP、クラウド、アナリティクスといった一般的なキーワードで検索すれば、SAPがランキングの上位に表示される「ノンブランデットサーチ」にチャレンジしています。
「たとえばGoogleの検索順位が80位なら、8枚のページをめくらなければ、SAPの情報にたどり着けません。そこで検索結果を10位以内に上げるために、検索ボリュームの大きなキーワードをピックアップして、それに関連したブログやコンテンツの制作に注力しています。たしかにお金を払えばサーチの結果を買うこともできますが、あくまで自然検索の順位を高めるために、各国のマーケティング担当がコンテンツを改善する努力を重ねています」(青木)

データに基づくマーケティングの最適化

デジタルエンジンの強化において、3つめのポイントであるデータドリブンマーケティングもSAP APJがチャレンジしている新たな領域です。SAPが現在直面しているマーケティング課題として、マーケティングが画一的で個々の顧客ニーズに寄り添えていないこと、各ソリューション担当が個別に行うマーケティングによってブランディングが統一されてないことの2つがあり、このことが無駄な予算の支出にもつながっていました。

この課題の解決に向けて、SAP APJでは個々の顧客を正確にプロファイリングし、それぞれのコンテキストに即したブランドエクスペリエンスを提供する方針を掲げました。同時に、顧客のアクティビティを踏まえた新たな施策の立案、コンテンツの提供を目的として、SAPのマーケティングオートメーション(MA)ツールを導入。これにより、メール配信に対するリアクションをもとに顧客をスコアリングし、データに基づいてコンタクト先の優先順位付けを行う「ナーチャリング」のステップを踏んで、営業担当に「マーケティングリード」を渡すことができるようになっています。

マーケティングオートメーション | プロセス

顧客のスコアリングは、アクションの新しさ(Recency)、頻度(Frequency)、エンゲージメント(Engagement)の3点で計算。その後のコンタクトについても、MAツールのスコアリング結果、顧客側からの問い合わせ(ハンドレイザー)、スコアリングの結果にかかわらず優先すべき優良顧客(ファストトラック)の3つのラインで、重要なターゲットを見逃さない仕組みを構築しています。

コンタクトスコアリング | スコアリングプロセスはどう機能するか

マーケティングリードを確実に活かす営業戦略

一方、営業側ではここから生まれるマーケティングリードを確実に活かすために、CRM/SFAの画面上にキャンペーンコードを付与。営業担当はそのキャンペーンコードをもとに見込み顧客に対してアクションを起こすことができます。マネジメント層は、デマンドマネジメントダッシュボード(DMD)という専用のダッシュボード上で、マーケティングから渡されたリード情報を確認。DMDのLead Awaiting(待機中)の項目を見ることで、営業担当のコンタクト状況を把握することができます。

この仕組みについて、営業の現場をよく知る富田は「マーケティングの施策を無駄にしない仕組みが構築できるのも、すべてはSAPのアーキテクチャの基本としてマスターが統一され、シングルプラットフォームでシステムを管理しているからです。顧客ID、従業員IDすべてが統一されていることはオペレーションにとって非常に重要です。また、このことはASIA NOW戦略の3つめの変革課題である『Go-Live後のエンゲージメント』においても重要なポイントです」と話します。

マーケティングリードを確実に営業につなぐ

すべての社員が「パーパス」を見つけるために

青木はASIA NOW戦略の重要なポイントとして、戦略全体を下支えする「PEOPLE」についても言及しました。PEOPLEとは、SAPの社員、つまりマーケティング部門で働くメンバーを意味しています。COVID-19の影響によって、マーケティング部門に限らず多くの社員はFace to Faceのコミュニケーションができなくなり、少なからず心身にダメージを負っています。こうした中でモチベーションを維持するための施策として、SAPではいくつかのプログラムを用意しています。

その1つが「APJレジリエンス プロジェクト」です。これは従業員にとってストレスは大きな脅威という考えのもと、メンタルヘルスのチェックアプリ「meQuilibrium(ミー・クイリブリアム)」を使って、レジリエンス(回復力)を高めるためのアドバイスを送るプログラムです。複数の質問を使ってユーザーの性格、思考、習慣、ライフスタイルなどを判断し、ストレス解消に向けた行動を示唆してくれます。
「meQuilibrium社は、SAPがグローバルで展開するスタートアップ支援プログラムに2019年に参画した企業です。数人のメンバーで創業した当時からSAPが支援し、meQuilibriumのアプリはSAPのプラットフォーム上でも動いています」(青木)

APJ レジリエンスプロジェクトmeQuilibrium

もう1つ、SAPジャパンがスタートさせた施策として、パーパス探索プログラム「Fukushima Workshop」があります。これはSAPの社員が東日本大震災で被災した福島県の南相馬・会津の企業のリーダーたちと対話し、復興への支援を検討する中で、自身にとってのありたい社会や仕事を考えるワークショップです。当初は日本のメンバーだけでスタートしましたが、2021年からはグローバルのメンバーも参加できるようになっています。言葉の壁や文化の違いへの不安はあったものの、参加者はそれぞれ深い感銘を受け、自らのパーパスを見つめ直す機会となりました。

Purpose Finding Project | Fukushima workshop

マーケティング部門を対象としたプログラムとしては、SAP APJの約120名のマーケターが集まって開催される「Tea and Snack」があります。これは各国のチームが持ち回りで月に1回実施するもので、企画の内容は自由。お国自慢から、ゲーム、クイズ、ダンスやヨガ教室など、ビジネスとは離れた話題ということもあり、参加メンバーからは好評だといいます。

SAP APJにおける2021年のマーケティング戦略「ASIA NOW」について一通り紹介した後、青木は次のように話し、セッションを締めくくりました。
「SAP APJの5カ国を見ていると、COVID-19の感染状況に応じて差が生まれつつあります。パンデミックからの脱却の兆しが見えてきた国ではフィジカルなイベントが復活しつつあり、デジタルの参加率が低下しています。日本もワクチンが行き渡ればいずれはフィジカルに戻ってくるでしょう。この振り子の動きを見ながら、フィジカルとデジタルの着地点をどこに定めるか。私たちのマーケティング活動、営業活動においても、こうした変化を慎重に見極めながら、お客様のニーズに応えていく必要があります」

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