企業間を横断した物流ネットワークで高度な可視化とトラッキングを実現するSAPとHacobuの新たなロジスティクス構想

作成者:SAP Japan イベント投稿日:2021年9月8日

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2021年7月14日に開催されたオンラインイベント「SAPPHIRE NOW Japan」のSCMセッションでは、SAPのスタートアップ向けプログラム「SAP.iO Foundry Tokyo」の支援企業である株式会社Hacobuの代表取締役社長 CEOを務める佐々木太郎氏と、SAPジャパン デジタルサプライチェーン事業部長の中西圭一郎が対談。ロジスティクスクラウドソリューションを展開するHacobuの創業の経緯から、日本の物流企業が抱える課題、さらにSAP とHacobuが共同で進める国内物流と海外物流の統合による新たなビジネスネットワーク構想についても意見が交わされました。本ブログでは、このセッションの模様をお伝えします。

株式会社Hacobu 代表取締役社長 CEO 佐々木太郎氏(右)、SAPジャパン デジタルサプライチェーン事業部長 中西圭一郎(左)

株式会社Hacobu 代表取締役社長 CEO 佐々木太郎氏(右)
SAPジャパン デジタルサプライチェーン事業部長 中西圭一郎(左)

企業物流における可視性とコラボレーション不足の課題

Hacobuは、ロジスティクスの変革に向けて「運ぶを最適化する」をミッションに2015年6月に設立されたスタートアップです。同社では現在、デジタルテクノロジーを活用して物流全体を最適化するロジスティクスクラウド「MOVO(ムーボ)」を幅広い業界に向けて展開しています。
「ロジスティクスの世界では、現在でもさまざまなことがアナログの情報でやりとりされています。Hacobuが目指すのは、この状況をデジタルテクノロジーで変革し、さらに蓄積されたデータを活用してサプライチェーン全体を最適化することです。そのために物流現場の課題を解決するさまざまなアプリケーションを1つのプラットフォーム上で提供しています」(佐々木氏)

メーカー、小売・流通、3PLまで幅広い企業で導入が進んでいるMOVOは現在、約6,000の物流拠点で利用されています。SAPとの協業は「SAP.iO Foundry Tokyo」に参画した2020年からスタートし、すでにMOVOは外部アプリケーションとしてSAP S/4HANAとも連携しています。具体的には、SAP S/4HANAに入ってきた受注情報から在庫が引き当てられ、出荷指示が出るとAPIを介して物流プラットフォームに引き渡し、MOVOのトラック予約受付、配送案件管理、配車表、動態管理などのアプリと連携する仕組みです。

ロジスティクスクラウド「MOVO」

佐々木氏がHacobuを創業したきっかけは、コンサルティング企業に在籍していた時に携わった卸売事業者の経営改革プロジェクトにありました。このプロジェクトで、アナログな商習慣に依存した企業間物流の世界を目の当たりにした佐々木氏は、デジタルテクノロジーによる大きな変革の可能性を感じたといいます。

Hacobuと同様、企業を横断した物流の可視化とコラボレーションが大きな課題であることを認識していたSAPも、次なるビジョンとしてグローバル全体での物流のイノベーションに着目していました。
「SAPが提供してきたERPは、これまで企業内部の最適化には貢献してきましたが、今後は企業間を横断してあらゆる情報をつなぎ、最適化することが求められていきます。BtoCの世界でAmazonの物流ネットワークが当たり前となっている今、BtoBの領域でも企業間ネットワーク化がさらに拡大していくと考えています」(中西)

企業が今日直面している課題

企業間を横断した「SAP Business Network」でDXを支援

SAPでは、すでに企業間を横断した新たなネットワーク構想として「SAP Business Network」の構築に着手しています。この構想は、組織の壁を越えてシステムを拡張し、取引先とのネットワークを実現することで、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するものです。ここでは、サプライヤーとのコラボレーション、物流業者とのコラボレーション、さらに保守保全領域でのコラボレーションの3つが大きなポイントになるといいます。

SAPとHacobuの共同ビジョン

物流に限ってみても、日本ではメーカー、卸、小売、3PL、実運送を含めたやりとりの多くがアナログで行われているがために、情報が分断され、さまざまな非効率が生まれています。
「最大の問題は、共有できるデータがないことによって、異なるステークホルダー間で建設的な議論ができないことです。3PLや運送事業者が運賃や倉庫費の値上げを訴えても、水掛け論になることが多く、荷主側は対応できません。本来であればデータをもとに改善すべきところが、それがないために現状から脱却することができないのです」(佐々木氏)

こうした課題の解決に向けて、SAPでは物流の可視化がこれまで以上に重要になるアフターコロナの世界を視野に、「SAP Logistics Business Network」を全世界で立ち上げようとしています。中西は「ネットワークは1社が独占するものではなく、志を同じくするもの同士が相互に結びつくことが、すべてのプレイヤーのベネフィットになると考えています」と語ります。

世界を見れば、サプライチェーンの可視化で世界をリードするproject44社のほか、国内でも多くの競合企業が物流ネットワークを提供しています。これらがつながることで、日本にいながらにして世界のロジスティクスの動きを見ることが可能になり、イノベーションのさらなる加速が期待されます。

国内物流と海外物流の統合を目指すSAPとHacobuの新たなビジョン

こうした中、SAPとHacobuはSAP Logistics Business NetworkとMOVOの相互接続によって国内物流と海外物流の統合し、シームレスな手配とトラッキングを実現する共同ビジョンを検討しています。これにより、国内物流はMOVOを介して最適な業者を手配することができ、海外物流はSAP Logistics Business Networkを介してさまざまなプレイヤーとの取引が可能になります。さらに2つのネットワークを行き来するデータを可視化、分析することで、日本の商習慣に最適な物流ネットワークが実現する可能性も生まれます。

「このネットワークを拡大していくことで、荷主企業はリードタイムの短縮やコストダウンを実現することができます。また物流プレイヤーにとっても、新たなビジネスチャンスをつかむことができる場となるだけに、多くのステークホルダーのメリットにつながるはずです」(中西)

SAPとHacobuの共同ビジョン

一方、こうしたビジョンを実現していく上で、今後は商流側との情報連携が課題になると佐々木氏は指摘します。ロジスティクスの課題は、物流側だけでなく商流側にあることも多く、両者の情報が可視化できれば課題解決が一気に進むと見られています。
「HacobuがSAPとの協業を決めた理由は、まさにここにあります。商流とロジスティクスをつなげて物流の原価が把握できれば、管理会計の考え方も変わり、物流コストまで加味した利益が見えてきます」(佐々木氏)

特にSCP(Supply Chain Planning:サプライチェーンプランニング)におけるロジスティクスデータの活用は重要なポイントとなるといいます。ロジスティクスがさまざまな計画の制約条件になることを考慮すると、SCPにおいてロジスティクスのデータは欠かせません。
「企業の中には、事業計画のほかにも生産計画、物流計画といったさまざまな計画がありますが、それぞれが部門単位でサイロ化しているケースが多く見られます。これをトータルなプランニングの中で一元的に管理できれば、多くの課題を解決することができます。こうしたことから、SAPでは『シンクロナイズドプランニング(同期化された計画)』というコンセプトで新たな製品開発も進めています」(中西)

ロジスティクスの未来に関する先進的なビジョンを示した後、最後に佐々木氏は次のようなメッセージを送り、セッションを締めくくりました。
「ロジスティクスは今や、優先的な経営アジェンダの1つに数えられる重要なファンクションです。ロジスティクスは外部の協力会社に委託すればいいという時代はすでに終わりを迎えました。これらを可視化し、自らコントロールすることで、新たなイノベーションの可能性も見えてくるはずです。HacobuとSAPが目指すビジョンの実現は決して簡単ではありませんが、一緒にトライして、イノベーションを実現してみたいとお考えの方は、ぜひ私どもにお声かけください」

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