【徹底ガイド】企業の情報管理を成功させるための5ステップ


Female doctor looking at chartsこんにちは、SAPジャパンの奥野です。今回は“情報系システムを活用して企業における情報管理を実現するための具体的なステップ”についてご紹介しましょう。ここでは、2013年5月30~31日の2日間、海外からエキスパートを招聘して開催された、SAPのお客様およびパートナー向けイベント「インフォメーション マネジメントワークショップ」の資料をもとにご説明していきます。

情報管理で考慮すべき5つの側面

まず、「情報管理を実践するにあたって、何をポイントとすればよいか」について考えてみましょう。下の図にあるように、情報管理では、5つの側面が密接に関係しています。

  1. ポリシーと標準:データモデルやデータの語彙と意味の定義およびガバナンスポリシー、リテンションポリシーなど
  2. 人と組織:誰がオーナーとしてデータに責任を持つのか? 誰がどのような形でデータにアクセスするのか?
  3. プロセス:どのようにデータが作られ、変更され、廃棄されるのか? またどのように配信されるのか?
  4. メトリクス:どのような基準で測定するのか? それをどのようにレポートするのか?
  5. 上記の4つを支えるITどのようなテクノロジーを採用するのか? どのようなアーキテクチャーにするのか?
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図1:情報管理を実現するために考慮すべきポイント

これだけみると、「なんだ、ごく常識的なことばかりじゃないか」と思う方がいらっしゃるかもしれません。しかしご存知の通り、企業や組織におけるマネージメントでは、こうした項目以上にそれらを実行していく環境をいかに作り上げるかが重要です。

もちろん、情報管理も例外ではなく、ITそのものよりも、むしろそれ以外の側面が大きく関係してきます。つまり、組織をどのように統率し、かつメンバーを啓蒙し意識づけ、最終目標に誘導していくかが成功の鍵となるのです。

情報管理を成功に導く5つのステップ

具体的には、情報管理の成否は、エグゼクティブによるスポンサーシップに大きく依存しています。トップダウンによる指導と経営陣およびマネージャー層の総意に基づいて、必然的なステップを確実に推進していくことが必要なのです。SAPでは、情報管理を実現するために、以下のようなステップを推奨しています。

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図2:情報管理実現のための5つのステップ

① 現状の把握と目標の設定:まず自社の状況を正しく認識・把握する

自分たちの会社が現在どのような状況に置かれているかを正しく認識・把握することは、どんな場合にももっとも重要です。これには、ガートナー社が提唱する成熟度モデルなどが役立ちます。このモデルは企業の情報管理の成熟度を5つに分類し、それぞれのステージで達成すべき目標を「ビジョン」「戦略」「メトリクス」「ガバナンス」「組織」「プロセス」「テクノロジー」の7つに分類および定義しています。これらの分類は、前章でご紹介した「5つの側面」とは少し区分が異なっていますが、基本的には同じです。

ガートナー社は、その7つのメトリクスに基づいて、企業の情報管理の成熟度を「Aware」「Reactive」「Proactive」「Managed」「Optimized」に分類しており、現在ほとんどの企業は「Reactive」の成熟度のステージに位置していると分析しています。マネージメントが必要な課題や問題に対して、「そのことが起こってから対応する」という状況にとどまっているのです。

「Reactive」のステージにおける、それぞれの項目の“達成度”は、以下の通りです。

  • ビジョン:ボトムアップ
  • 戦略:事後対応
  • メトリクス:不備がある
  • ガバナンス:IT主導
  • 組織:スチュワードシップ文化を育成中
  • プロセス:データライフサイクルを検討中
  • テクノロジー:データ品質に関するツールはあるがデータ管理のためのツールはない

つまり、「経営層から発信されるビジョンはまだなく、全社で共有された戦略もそれを具体化する基準もない。課題や問題に対しても、場当たり的な対応。また責任所在やリーダーシップのあり方が曖昧であり、ITは利用してはいるが、それらを側面から管理するソリューションなどはない」といった、いささか残念な状況です。

しかしガートナー社は、これらのステージは段階的に達成していくべきであり、それぞれの成熟度を満たさないままステップを飛ばして先へ進もうとすると、失敗するリスクが大きいと指摘しています。ひるがえってみれば、それは自社の成熟度を正確に知ることができれば、自ずと進むべき次の目標が明確化されていくことを示唆しています。

自社の成熟度の把握を支援する「ラピットデータヘルスアセスメント」

最近、SAPはパートナーと共同で、企業が自社の情報管理に関する成熟度を知る上で役立つサービスとして、「ラピットデータヘルスアセスメント」を提供しています。
現在は主に英語でのサービスとなりますが、日本でも同様のプログラムの立ち上げに向けて現在準備を進めています。このプログラムを使ってみたいというお客様や、ぜひサービス提供会社としてこのプログラムの立ち上げに参加されたいというパートナー様は、どうぞお気軽にご連絡ください。

ちなみにSAPの情報管理ソリューションを採用されているお客様の中で、特に優れた事例として知られているサムスン様などは、すでに「Managed」ステージから最終段階の「Optimized」ステージへと移行している最中であり、その先進的なビジョンには私たちもしばしば驚かされます。こうした先進的な取り組みにご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

② ドライバーとなるビジネスニーズの特定:獲得目標があれば取り組みは前進する

「情報管理を成功に導く5つのステップ」の2つ目は、「情報管理を推進するための強力な動機づけとなる、ビジネスニーズを特定すること」です。一例としてガートナー社が現在のほとんどの企業が位置するという「Reactive」ステージから、次の「Proactive」ステージへの移行について考えてみましょう。

「Reactive」ステージの企業における、情報管理への主な要請は法令遵守などです。つまり財務報告や決算、データ保護に関する法令など、「これだけはやっておかないといけない決まりごと」はこなせていますが、情報管理をより前向きな情報ガバナンスやビジネス支援に活かすには、まだまだ足りません。

このように「Reactive」ステージから「Proactive」ステージへステップアップするためには、何らかの強力な目標や動機付けが必要です。そうしたビジネスニーズとしては、たとえば「TCOの削減」や「ROIの向上」などが挙げられます。そして、こうしたビジネスニーズを満たすために検討すべきビジネス上のアクションとしては、「ITランドスケープの統合」、「グローバルデータセンターの設立」、「分析用データウエアハウスの導入」、「企業買収」などがあります。このようなアクションは、データ移行やクレンジングツール、そしてMDM(マスターデータ管理)の導入を進めるための強力なドライバーとなり、それまでの机上の議論を一気にリアルなITツールの導入へと推し進める効果があります。

さらに「Proactive」ステージへ完全に移行するための望ましいビジネスニーズとしては、競合上の優位性の確保が挙げられます。このようなビジネスニーズはSAP HANAによるリアルタイム分析やビッグデータの活用といった、高度な情報管理を必要とするため、必然的に社内のIT整備を加速度的に充実させていくからです。

③ ソリューションの選定:達成目標が決まったら、“使える道具”を探そう

3つ目のステップは「ソリューションの選定」です。ステップ2で決めた達成目標を、具体的な製品へマッピングしていく段階に入ります。

SAPでは、情報管理に関心のある、あらゆる成熟度ステージにいる企業に対して、次のステージへ進む上で必要なソリューションを提供しています。図3はSAPの情報管理ソリューションを機能・用途分野別に分類したもの、図4は各成熟度のステージにあわせてマッピングしたものです。自社で導入すべきソリューションのご参考になさってください。

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図3:SAP情報管理ソリューションの機能・用途分野別分類

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図4:SAP情報管理ソリューションの成熟度別対応マップ

④ 効果の算出:目標達成で期待できる効果はどれくらいか?

4つ目のステップは「効果の算出」です。設定して取り組んできた目標がいよいよ達成されたとしたらどれだけの効果が期待できるのかを、可能な限り定量的に算出し、望まれる投資回収期間を考慮した上で、最終的なプロジェクトの予算と期間を決定するのです。

SAPではこの効果の算出を支援するチームが提供する「デザイン トゥ バリュー(D2V)ワークショップ」というサービスをはじめ、無償で利用いただけるサービスを各種提供しており、多くのお客様にご活用いただいてます。

⑤ ロードマップの作成:どの取り組みをどの順番で実施してゆくか?

最後のステップは「ロードマップの作成」です。それぞれのアクションの優先順位とプロジェクト予算を考慮し、最終的なロードマップを作成します。

SAPでは先に述べた「デザイン トゥ バリュー(D2V)ワークショップ」なども活用しつつ、ステップ②~⑤を効率的に実施する支援も行っています。図6はD2Vワークショップの進め方の例です。

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図5:デザイン トゥ バリュー(D2V)ワークショップを利用した進め方例

以上、駈け足ではありますが、企業における情報管理の実践に際しての留意ポイントと、その具体的な進め方のステップについてご紹介してきました。もちろん、これらはごく基本的な事柄に限定したものであり、自社導入にあたっては、その企業および業界、業種固有の条件や環境、目標といったさまざまな項目について精査しながら、実践プランを立てていく必要があります。現在、自社での取り組みを考えておられる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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