SAP S/4HANAの価値を享受する 第2回:SAP Fiori導入の考慮事項

作成者:内藤 崇投稿日:2021年11月24日

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SAP S/4HANAのUser Experienceを提供するSAP Fioriについて2回に分けてブログで紹介して参ります。
第1回:DXのスタートポイントとしてのSAP Fiori
第2回:SAP Fiori導入の考慮事項
本ブログの内容は2021年7月の技術情報に基づくものであり、将来変更となる可能性があります。


エントリポイントをSAP Fiori Launchpadに統一

SAP Fioriの導入にあたって、その価値を生かせる形で導入することが大切です。そのためのポイントとして、1点目はユーザからのエントリポイントをSAP Fiori Launchpadに統一すること、2点目は業務ロールベースで有効化・評価を行うことを推奨しています。

Fiori UX, Target Design, Fiori Launchpad

1点目のユーザからのエントリポイントですが、SAP Fioriの場合Webブラウザーを立ち上げURLをクリックしてSAP Fiori Launchpadというトップ画面に入ります。この Launchpad 上には「タイル」が用意されていて、タイルをクリックすると各アプリにナビゲーションをしていきます。

アプリの種類はSAPUI5と呼ばれるSAP Fiori用に開発されたアプリもありますし、WebDynproや WebGUI(Dynpro)など Classic UI旧来のSAP ECCトランザクションをブラウザベースでアクセスできるようにしたものもあります。いずれもSAP Fiori Launchpadを起点としたブラウザベースでのアクセスが可能です。重要なのはClassic UIの場合はSAP GUI (SAP Logon)、SAPUI5の場合はSAP Fiori Launchpadと分けてしまわないことです。Dynpro の場合は SAPGUI と方針を定めて入り口を分けると、ユーザ業務は煩雑になる上、SAPUI5 アプリ画面上の値をそのまま引き継ぎながら WebGUI で Dynpro画面へ遷移し、必要な情報にドリルダウンし掘り下げていくことができるという Fiori の強みを活用することができなくなります。導入時点でユーザからのエントリポイントをSAP Fiori Launchpadに統一することはSAP Fioriの強みを生かす上で非常に重要なポイントになります。

SAP Fiori as UX of SAP S/4HANA

また、SAP Fiori Launchpad自体にも多様な機能があります。タイルはナビゲーションメニューとして使用できるだけでなく、個々のアプリの情報を数値や予め定義した閾値をもとにミニチャートで表示ができるようになっています。また、アプリ内で指定するフィルタ条件やレイアウト情報をバリアントとして保存し、バリアント付きタイルとして起動することもできます。他にもSAP Fiori Search (アプリケーション名や非構造化されたビジネスデータに対する検索)、通知、AppFinder(権限を保持しているアプリ一覧)、パーソナライゼーションなどがあり、ユーザがより効率的に業務ができるようサポートする機能が備わっています。

Fiori Launchpad

SAP Fioriを導入される際には、SAP Fiori Launchpadをエントリポイントとして統一することを是非ご検討ください。

 

ビジネスロールベースでの有効化と標準Fiori評価
SAP Fioriでは480以上の標準のビジネスロール(例:債権管理担当者、販売責任者等)を用意してロールごとに複数のSAPUI5やClassic UIアプリを紐づけており、標準のビジネスロールを調整することでクイックスタートできるよう工夫されています。また、ビジネスロール内もしくはビジネスロール間でアプリを行き来することで業務をスムーズに行う設計になっており、個別アプリのみ有効化してしまうと、この利点を生かすことができません。
そのため、個別の機能ごと有効化や評価を行うのではなく、まずはビジネスロール単位でSAP Fioriアプリの有効化を行い、ロールベースで標準アプリを評価頂くアプローチを推奨しています。

追加情報: Understanding SAP Business Roles, How SAP Business Roles simplify deploying SAP User Experience

よくある誤ったアプローチとして旧来のSAP ECCトランザクションとSAP Fiori(SAPUI5)アプリを1 対 1前提で比較評価を行うことがありますが、SAP Fioriアプリは従来のトランザクションを業務ロールに合わせて分化し、マネージャ向けには分析レポートをライトユーザ向けにはシンプル化した UI という様に再構成されていたり、SAP ECCで複数トランザクション操作が一つのアプリに統合されていたりと設計が変わっているので、その比較方法は妥当ではない点はご注意ください。

追加情報: SAP Fiori for SAP S/4HANA – Recommendations for transitioning users from SAP GUI to SAP Fiori | SAP Blogs

技術面の考慮事項
その他、SAP Fioriの技術面からSAP Fiori初期設定段階で検討すべきポイントとして下記が挙げられます。

  • クライアントツールの選定(ウェブブラウザのみ、SAP Business Client、両方)
  • メニュー設計方針
  • 拡張、およびカスタムアプリ開発における開発技術の選定方針
  • ID管理をどのように行うか
  • Singe Sign on (SSO)設定の要件があるか

拡張およびカスタムアプリ開発時の技術選定にあたっては、SAP S/4HANA には大きく2種類の拡張方式があるという点を理解しておく必要があります。同一システム上にランタイムをもつIn-App 拡張と、SAP Business Technology Platform (BTP) にランタイムをもつたSide-by-Side 拡張 があります。In-App拡張は従来の拡張方式に加え、 Web UI より 画面レイアウトの編集、項目追加、各種レポートやフォームの作成などが可能なキーユーザ拡張ツールを使った拡張ツールやコードレスで開発可能なレポート作成ツール(List Reportや概要ページなどの SAP Fiori Element) 等が標準で用意されています。帳票要件に対しては、レポートペインタではなく List Report での開発を優先とするなど、拡張、開発に当たってどの方式を採用するかを導入の初期段階で検討しておく必要があります。

In-App or Side-by-Side for Custom Applications

SAP Fiori導入を支援するSAPサービス

SAP Fiori導入にあたってはSAPサービスでご支援しています。例えば、UX導入設計支援としてスタートポイントとしてのスコーピングから基本設定、有効化まで支援することができますし、さらに次のステップとして、標準の拡張・In-App/Side-by-Side開発や分析トピックについてご支援することも可能です。

PE Service, UX deployment support (UX Activation and Design: UAD)

また、プロジェクト全体の包括的なEnd to Endでのご支援モデルとしてSAP Premium Engagementsとして継続的にご支援することも可能なので、ご興味ございましたらSAP営業担当にコンタクトいただければと思います。

前回のブログ投稿:

第1回:DXのスタートポイントとしてのSAP Fiori

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