SAP S/4HANAの与信管理とは?

作成者:増田 千秋投稿日:2021年12月20日

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顧客ごとの与信管理や債権の回収業務は、代金回収が進まないことによる損失を防ぐための重要な業務です。取引先がきちんと代金を支払ってくれるのか、取引先に対しての与信評価は適切であるのか、色々な要素を考慮し、業務を行う必要があります。一方で、経理部門、営業部門、与信管理部門など、様々な部署の担当者が関わるので、部署間の連携や情報共有の効率化、与信管理ルールの統一等は重要なテーマではないでしょうか?今回のブログでは、SAPソリューションで実現する与信管理の仕組みについてご紹介します。

どんなソリューションなの?

SAP S/4HANA for receivables managementは、債権管理責任者、営業担当、債権回収担当のそれぞれが債権管理におけるリスクを軽減するためにご活用いただける債権管理の高度化ソリューションです。SAP S/4HANA for receivables managementは大きく3つに分かれており、与信管理回収管理クレーム管理からなります。今回は与信管理にフォーカスを当て、システムの画面イメージも併せてご紹介していきます。

与信管理

与信管理における課題には以下の観点が挙げられるのではないでしょうか?

  1. 受注などを無理に急がせるあまり、設定された与信限度額がないがしろにされ、与信評価の手順が不適切になる
  2. 与信審査の例外承認を認めている場合、会社全体としてどれくらいのリスクが各部門にあるのかが把握しにくくなっている
  3. 全顧客対象のタイムリーな与信限度額の確認・分析が出来ず、限定的な調査にとどまってしまう

SAP S/4HANAの与信管理では上記の様な課題を解決するため、ERPとしての強みを活かした仕組みをご提供しています。例えば、販売プロセスの受注・出荷時における与信チェックやブロックを行うことにより、SAP S/4HANAの業務プロセスに与信チェックプロセスを融合させることが可能です。また、顧客全体での与信限度額を把握するだけでなく、部署や部門の与信限度額を設定し、それぞれの与信限度額を分析することも可能です。上記で挙げた 3 点の課題に関してそれぞれ SAPソリューションの機能をご紹介します。

1. 販売プロセスと統合された与信管理

販売管理プロセスの受注・出荷・請求を下のように簡略的に図示しました。

与信限度額を予め顧客ごとに設定しておくことで、営業担当者によって受注が登録されると毎回与信チェックを自動で行うことが出来ます。与信限度額以下であれば、そのまま後続処理である出荷指示を行えます。もし、与信限度額を超過していると、受注や出荷はブロックされます。ブロックされた取引は得意先マスタに紐づけられ一覧で確認することが出来、例外承認を行えば、受注の登録も可能です。このように、システムにより予め統制をかけておくことで、運用ルールがないがしろにされ、与信限度額が無視されるといったリスクを未然に防ぐことができます。


受注伝票がブロックされると与信ケースデータと呼ばれるものが登録され、これにより後続の処理やステータスを管理できるようになります。取引がブロックされた際、受注伝票を再チェックし、受注の例外承認や拒否といった判断が可能です。また、メモや与信チェックのログを残すことも可能です。すべてのログとして与信ケースデータを受注伝票と紐づけて残せますので、与信の承認プロセスを文書化し、詳細な証跡の保存が行えます。与信管理担当者によって、受注伝票のリリース(承認)処理を行いますと、出荷指示が可能になります。与信のチェックから承認までのプロセスをシステム上で完結することで、与信チェックに要する時間を短縮できます。

2. 全社での一貫性のある与信審査

顧客に対して与信管理を行う際、会社詳細や外部信用機関情報、現在までの取引実績等を考慮し、一貫性を持った与信審査を行うことが大切です。また、顧客の経営状況が変化した際も、与信審査を行い適切な信用枠や評価等を、即座に変更することが必要です。昨今のように、市場の変動幅が拡大し、その影響を強く受けるような取引先とのビジネスを行っている場合には、常に取引先の経営状況に目を光らせ、自社側の与信管理も機動的に対応していく必要があります。
SAP S/4HANAでは自社固有のルールを設定することで、そのルールに基づいた顧客の格付けや与信限度額を自動で計算することができます。また帝国データバンクなどの外部の信用情報機関と連携し、企業の格付け情報を取得し、それらを独自ルールに組み込み、信用状況に反映出来ます。全社で決めた独自の与信評価ルールを各顧客に反映することで、与信担当者個人の与信評価時の負担を軽減し、一貫性のある与信評価を行うことが可能です。


また、顧客情報や信用情報機関の格付け情報などの外部情報に加え、これまでの取引における資金の回収状況や資金の回収時のおける担当者のメモ等も確認できます。加えて、これまでの取引での実績に関しても、受注伝票や出荷伝票、請求書、仕訳等を明細レベルで確認できます。顧客に関するデータは、システム内で一元的に管理することができるので、自社の与信審査担当者の経験や勘に依存しない、合理的な判断を行うことができます。また、顧客との取引状況を鑑みて、取引先の信用額を変更する場合、変更依頼を登録すると、自動でワークフローを作成し、承認プロセスを経ることができます。SAPソリューションでは、与信審査の全社での一貫性を保ち、変更の必要があれば即座に対応できる仕組みをご提供しています。

3. 顧客全体の与信限度額の確認・分析

顧客毎に与信管理をする際、各部門で与信管理をしている場合、得意先全体での与信限度額や取引額を可視化することが課題である企業も多いのではないでしょうか?SAP S/4HANAでは、自社の営業組織ごとに、顧客の与信額を管理することも可能ですし、本社経理部による顧客全体での与信額を確認・分析することも可能です。以下のグラフは得意先ごとの与信限度額と取引額を示しています。このように、取引データに基づいたレポートをリアルタイムに照会することが出来、報告用にダウンロードすることも可能です。

加えて、顧客ごとに設定している評価クラス別、国別、事業部別での分析も可能です。上記でご紹介している分析画面は、SAP S/4HANA の SAP Fiori というユーザインターフェースです。業務ユーザが業務を効率よく行うことができる様、様々なソリューションで分析画面をご提供しております。

まとめ

さて、今回のブログでは、SAP S/4HANA for receivables managementにフォーカスし、与信管理機能の深堀をさせて頂きました。今後は、債権管理ソリューションの回収管理機能等をご紹介していく予定です。何か記事に関して、ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。最後まで、お付き合いくださいましてありがとうございました。

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