MHP — 自動車メーカーコンサルティング部隊の劇的進化と社会への貢献

作成者:山﨑 秀一投稿日:2021年11月26日

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自動車産業の企業変革をリード

MHP社は1996年に創業。自動車産業に特化した経営およびITコンサルティングの事業を開始しました。業界に長けたコンサルティング能力と実績が高く評価され、1999年にはドイツ自動車メーカーのポルシェから出資を受け、2002年にはポルシェの子会社となりました。当時ポルシェでは大規模な業務改革プロジェクトの企画が進められており、MHP社は経営とITの両面をリードするコンサルタントとして参画しました。2006年6月のフランス パリで開催されたSAPPHIREでは、MHP社はポルシェでのプロジェクト事例について講演しています。

ポルシェのプロジェクトはエンドユーザーの目線でのビジネスモデルを改革を目指しました。お客様一人ひとりのマスカスタマイゼーションオーダーと、工場の生産能力を考慮に入れた生産枠を自動引当して自動納期回答を行う、喩えるならば「航空機の座席予約システム」です。この新しい業務プロセスのバックボーンには、販売店から工場、さらにはサプライヤまでがつながるITの採用が不可欠でした。

マスカスタマイゼーション オーダー・生産枠引当管理の全体像と特徴

  • マスカスタマイゼーションによるエンドユーザーの求めるクルマの提供
  • 販売店からの受注情報に対して、人手を介さない工場からの納期回答
  • 日別の生産能力を考慮した生産アロケーション
  • 車一台一台ごとのオーダーステータスのトラッキング
  • 納期遅延などの不測の事態発生時のエラー通知
  • メーカーオプションごとの変更期限内であればエンドユーザーからの仕様変更受付が可能

C2Cによるオーダーモニタリングの高度化

  • エンドユーザーの注文から納車まで一台一台のオーダースタータスのリアルタイムトラッキング
  • 販社からポルシェ本社への確定注文、工場内での生産進捗、ラインオフ後の輸送ステータスの可視化
  • 予定に対する遅延の発生に対して、関係者へのタイムリーな通知によるリカバリー処理サポート
  • 販売店とエンドユーザーとのやりとりの生産性向上
  • エンドユーザーのポルシェブランドへのエンゲージメント向上

今でこそ珍しくはないマスカスタマイゼーションですが、当時のポルシェは以前からエンドユーザーから要望の強かった自分の好みのクルマの提供と納車までの進捗可視化にチャレンジしました。豊富なメーカーオプションを用意し、それらの中からエンドユーザーが好みの装備をチョイスして、Only oneな仕様のクルマを提供し、注文後のエンドユーザーが心待ちしている納車イベントまでのステータスを可視化することで、競合他社との圧倒的な差別化を図り、ビジネスを大きく成長させることに成功し、ドイツ単体のみならず、グローバルでの収益を拡大しました。

それを支援したのがMHPのコンサルテーションだったのです。

その後、親会社での成功事例やそれまで積み重ねてきた経験・ノウハウを活かして、ポルシェグループ以外、ドイツ国外も含めた自動車メーカー、部品サプライヤ、販売会社、ディストリビューター、インポーター、ディーラーへのコンサルティングサービスの提供を始めました。以来、著名な300社以上の経営・事業・IT課題の解決策を提示して、自動車産業各社のイノベーションに貢献してきています。

業界横断の変革へのチャレンジ

世界的なSDG’s意識の高まり、各社のESG経営へのシフト。フリートマネジメント、ロードマネジメント、バッテリーライフサイクルマネジメントなどのESG経営に貢献する施策について、MHP社は、個社ごとの取り組みには限界があることを指摘します。自動車産業のバリューチェーンに関係するさまざまな業界の企業とエンドユーザーが一体となって取り組むことにより、目指す姿が実現します。MHP社は、コンセプトやビジョンを描くだけでなく、各社やユーザーがつながるビジネスネットワーク上で稼働するアプリケーション開発とそのシステムを各社に提案・導入支援することで、今の経営者やユーザーが求めるサステナビリティ社会への貢献に踏み出す検討の促進を支援しています。各施策実現に要求される情報基盤を例に挙げると、それは誰でもいつでもどこからでも必要な情報にアクセスすることができて、データボリュームや情報活用の利用頻度に応じたレスポンスを担保できるスケーラブルなクラウド環境が成功要因のひとつだと指摘します。

MHP社は、2021年3月のドイツ連邦経済エネルギー省およびドイツ自動車工業会(VDA)主催のイベントの場で発表されたCATENA-Xにも参画して、さらなる高い視座からのSDG’sやESG経営に貢献できるコンサルティングを実践しています。

CATENA-X

“安全で標準化されたデータ交換のためのアライアンス”として発足したCATENA-Xは、2022年には中小企業から大企業まで1,000社の参加を目指して、先端テクノロジーとビジネスネットワークによる全体的なシステムの上で実現する具体的な10のテーマの企画検討をしています。

  • ハードウェアおよびソフトウェアのトレーサビリティの実現
  • サステナビリティ(CO2フットプリント、社会的基準への準拠)
  • サーキュラーエコノミー(CO2フットプリントの最小化)
  • 品質管理(リアルタイムかつ協同の品質管理)
  • 需要&キャパシティ管理(供給力の確保)
  • ビジネスパートナデータベース(マスタデータサービス)
  • データモデル中心の開発と運用のサポート(デジタルツイン)
  • モジュラープロダクション
  • Manufacturing as a Service
  • リアルタイム制御とシミュレーション

今後に向けて

MHP社は単なるポルシェの多角化事業の中の一社ではなく、将来、未来に世の中に求められるビジネスモデルを経営とITの両面からのコンサルティング、プロジェクト遂行を経ての具現化を支援しています。企業単体の事業では解決困難な、世界的な課題解決に通じる社会貢献活動での貢献は、結果としてポルシェブランドの市場価値向上に繋がっています。MHP社の原動力の要は人材です。彼らがITの力を持っていることで価値を作り出し、自立型のワークスタイルを可能とし、そのうえで社会に貢献していることに対して、誇りとやりがいを感じて日々挑戦をしている様子が想像できます。創業から25年間で成し遂げたキーポイントは、リスクを取り、言われたことだけをやるのではなくやらねばならぬことを自主自立して実践してきたからだと思います。

競争力を高めながら社会貢献にもつながる、MHP社のような事業会社が多くの業界で生まれてくることを願い、またご支援できるように、私も研鑽を重ねていきたいと考えています。

※本稿は公開情報に基づき筆者が構成したもので、MHP社のレビューを受けたものではありません。

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