SAP E-Mobility による持続可能なモビリティ社会の実現

作成者:田積 まどか 投稿日:2021年12月2日

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電気自動車への移行と充電スタンドの充実

カーボンニュートラルの実現を目指す社会を語る上でガソリン車から電気自動車(以下、 EV )への移行は重要な施策ですが、世界的にもまだまだ充電スタンドは不足しており EV の急速な普及を妨げる要因となっています。経済産業省は 2021 年 11 月 26 日、電気自動車の購入や充電・水素充てんインフラの整備の補助金を引き上げることを発表しました。この日政府が閣議決定した 2021 年度補正予算案も充電・水素充てんインフラの整備への補助金が盛り込まれ補助額を引き上げるとともに、条件も緩和されることになります。
充電スタンド情報を共有するサイト GoGoEV によると、2021 年 11 月 29 日時点で国内の充電スタンド登録拠点数はテスラを含み 21,733 箇所あります。米国では 28,000 箇所、欧州では 20,000 箇所の公共充電スタンドが設置されていることを見ると海外と比べて日本は遜色ない数の拠点を持っていますが、給油に比べて充電時間が必要であることなどを考慮するとまだまだ足りていない状況です。

充電スタンドおよび EV化のための SAP E-Mobility

充電スタンドおよびEV化を推進するためにSAPはまず社用車の電気自動車化を支援するソリューションに注目し2021年9月にクラウド型のSAP E-Mobilityソリューションを発表しました。第一弾として社用車の充電の最適化と充電状況の管理、ドライバーが自宅や公共充電スタンドで充電した時の経費を経費清算アプリケーションに連携するソリューションの提供を開始しました。
自社施設で社用EVを充電する場合には電力料金の安い時間帯に充電するというような充電スタンド側の制御も可能にしています。

社有車駐車場に設置した全ての充電スタンドの状態を充電スタンドダッシュボードを使っていつでも確認することができ、充電設備の運用管理という面でも不具合のあるスタンドは迅速に把握することで修理することができます。充電スタンドの施設管理者は利用可能な充電スタンドの最新情報を常に把握することができ、車両運営者側も同様に、包括的なユーザー管理とロケーション管理が可能になります。
SAP E-Mobilityソリューションは、Open Charge Point Protocol 1.6規格を採用しており新しい充電設備を追加する場合でもハードウェアに依存せず、導入を容易にしています。新しい充電スタンドをネットワークに簡単に組み込むことができ、標準的な通信プロトコルを使って充電スタンドの監視や請求を行うことができるので充電スタンドの運営者や企業にとって、わずかな労力で最大限の柔軟性を提供します。

ドライバーが自宅や公共の充電ステーションを利用し経費清算する場合にはドライバーが経費清算システムとしてSAP Concurを利用していれば、それと連携します。また接続されている会計システムに必要な充電データ(充電量、場所、日付、時間、車両)を提供し、コストセンターの割り当てを行ったり、車両所有者の払い戻しをすることができます。これにより経費清算の自動化効率化を図ります。

将来的には充電ポイントに関わるすべてのビジネスプロセスを制御・管理する基盤となり充電ステーションの運営者、企業、電気自動車の所有者といったバリューチェーンに沿って、これまで存在していた複雑なプロセスが大幅に簡素化されることを目指すとともにEVを蓄電池として捉えたエネルギーの最適化に寄与することも視野に入れたソリューションとなっています。

SAP E-Mobility紹介ビデオ

 

SAP 自身が取り組むサステイナブルな電源の最適化

SAP本社内の発電施設

SAP本社内の発電施設

SAP は電源の最適化とサステイナブルいう点では以前よりさまざまなことに取り組んできました。
2014年からドイツ本社ではデータセンター、充電スタンド、ビルは全て再生可能エネルギーを使用しています。本社敷地内にはバイオマスと天然ガスの発電所を持ち 2017 年から稼働しています。またビルの屋上にはパネルを設置し太陽光発電をしています。これらによって発電された電力は電力会社の電気料金が高い時間帯にはオフィスで優先的に使い、余った電力は社用 EV に蓄電するという実証実験も行ってきました。SAP E-Mobility ソリューションはこれらの知見をもとにフランスの研究所で社内利用を開始し約 2 年の検証と開発を繰り返し製品として発表されました。

このように自社のサステイナブルな取り組みからアイディアを広げソリューションとし、そこに企業向けの課金や経費清算に連携するというところが SAP らしいところなのかもしれません。

私たちはついついデータの一元管理や業務の効率化、標準化などを念頭に置くのが企業活動として当たり前だと考え、サステイナブルな活動や CSR 活動などとは切り離して考えがちですが、企業活動は全てがつながっていると思わされるなんだか温かいソリューションです。

 

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