海外の中堅成長企業のデータ活用アプローチから学ぶ

作成者:原納 悠投稿日:2022年1月21日

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全世界の商取引の77%が何らかのSAPシステムを経由して行われています。日本ではしばしば「SAP製品は大企業向け」と言われることから、この数字も大企業関連の商取引から発生した数字だと思っていらっしゃる方が多いかもしれません。

しかし世界に目を向けると、先進国、新興国に関わらず、企業の規模を問わず、弊社製品をお使いいただいています。実は世界では弊社のお客様の8割は従業員数1,000人未満の企業です。そのお客様を、私たちは「中堅成長企業」とお呼びしています。

2020年5月現在の従業員1,000人未満のお客様に関するデータを一覧したものが以下になります。以下に記載されているSMEは「Small and Medium-sized enterprises」の略で、中堅成長企業と同義です。

海外の同僚と話をすると、海外の中堅成長企業のお客様が我々にご期待いただいていることは、日本のお客様のご期待とは少し違いがあるように感じることがあります。そこで、海外の中堅成長企業のお客様にご満足いただいているところを日本でも活用できないか考察してみました。

 


 

弊社は、SAP製品の導入をご検討中のお客様のコア業務のパフォーマンスを測定し、業界平均値、業界トップ25%の平均値、業界ボトム25%の平均値との対比により、評価することを可能にする「SAPベンチマーキングプログラム」を提供しています。2004年からコンテンツおよびサービスの開発を行い、2021年時点では、国内外を問わず15,000社以上の既存のお客様の匿名でのデータ提供により、財務、サプライチェーン、製造、調達といった12の業務、35業界の、630を超えるKPIベンチマークデータを揃えています。

このプログラムを活用するお客様は、自社の業務オペレーションのデータを母集団データと比較することで、業界における現状の自社のポジションを数値で確認することができます。

このプログラムは、ウェブサービスとしてSAP Value Lifecycle Managerとして提供され、世界中のどなたでも下記リンクから利用が可能です。

SAP Value Lifecycle Manager (ondemand.com)

 

私はSAPジャパンでバリューエンジニア(Value Engineer)として業務を行っています。

バリューエンジニアの業務は、SAP Value Lifecycle Manager上の匿名企業の業務データや、SAP製品導入によってもたらされるKPI改善値等を、お客様の経営戦略策定にお役立ていただくことです。前述の通り、日本だけでなく世界各国にバリューエンジニアが配置されており、積極的な意見や情報の交換を通して、お客様にさらなる価値を提供することに努めています。

海外のバリューエンジニア達によると、彼らが担当する中堅成長企業のお客様は、

  • ご自身でSAP Value Lifecycle Managerにアクセスし、SAPの営業担当者と協力しながら定期的にベンチマーキングを実施することで、業界における自社のポジションを定量的に確認
  • 自社の経営戦略に基づき、経営陣を起点としてトップダウンで目標とするKPIの値を設定
  • 具体的な施策を実現するための手段として、業務改革やデジタルアプリケーションの構築を検討

さらにIDCの調査結果によれば、デジタルアプリケーションを導入した世界の中堅中小企業の73%が、期待通りもしくは期待以上の成果を得たと回答し、このプログラムが有効であることが推察されます(ご参考:世界の中小企業に潜在するデジタル変革への可能性 – SAP Japan プレスルーム )

なぜ海外の中堅成長企業にSAP Value Lifecycle Managerが支持され活用していただけているのでしょうか。

海外のバリューエンジニアと情報交換したところ、海外の中堅成長企業は、未来の大企業として、経営陣が現状を把握したうえで適切な目標を設定し、自国以外への積極的な展開を志向していることが特徴として挙げられました。

さらに成長戦略を策定するにあたり、お客様が2つの課題を抱えているという意見でした。

  • 他国展開時にすぐ業務ができる体系を持つ「ボーダーレス企業」となるには、自社の業務体系を世界各国で適用できるよう標準化を実現すべき
  • 成長に伴い社員や部署が増えても、経営陣が経営状況を把握し、目標設定可能な状態にしておくべき

これらの課題解決にあたりSAPベンチマーキングプログラムが貢献しており、特に貢献できる点として、活用されているお客様から主に3つのフィードバックをいただきました。

  • SAPは全世界15,000以上の会社様からデータを収集し、そのデータを分析、整理したうえで、630以上のグローバル標準KPIを揃えている。つまり、経営指標から業務オペレーションまで、経営陣から現場まで、グローバル標準つまり世界各国共通のKPIを知ることができ、各国で業務を進めるに当たって、他企業との比較を容易にする共通言語となる
  • SAPベンチマーキングプログラムでは、業界の模範となる企業のパフォーマンスと自社のパフォーマンスの違いを知ったうえでの目標を立てることが可能。数値を用いて現状把握ができるとともに、上位25%に位置する企業グループの値を参照できることで、自社の業務成熟度診断を行える
  • SAPベンチマーキングプログラムはウェブサービスとして提供されていることから、自社内外から容易にアクセスでき、上記目標の社内共有によって、効率的、効果的に分析が行え、全社でひとつの目標を目指すことで達成度が高まる
日本におけるベンチマーキングの活用

SAP Value Lifecycle Managerを通じたベンチマーキングは、我が国でももっと活用されていてもよさそうですが、残念ながら、海外と比較するとまだ普及していないのが現状です。日本にもボーダーレス化を目指す企業が多数おられる中で、です。

単純に2点のハードルがあるのかもしれません。

  • 我々バリューエンジニアや営業担当者からお客様への情報提供が不十分
  • SAP Value Lifecycle Managerが全て英語でのサービス提供であることからの抵抗感

この2点の解決策について、ひとつめの周知については、今後、弊社からのご紹介や営業担当者による直接的なご協力はもちろん、セミナー等を介した積極的な情報発信を実施していきます。

ふたつめの、言語の抵抗感については、ウェブブラウザの翻訳機能が発達し、それを活用することで許容範囲に収まるものと考えます。財務のKPIである「財務コスト:財務業務にかかる全てのコストの売上比率」と「年次決算処理日数:年次決算の数値を確定させるのに必要な日数」のオリジナルのアウトプット例と自動翻訳後の日本語を比較してみました。

GoogleChromeやEdgeのページ翻訳機能(右クリックし「日本語に翻訳」)を選択すると、

本来、「年次決算処理日数」と翻訳されるべき英語が「年次書籍を閉じる日数」となってしまっていますが、日本語対応表の準備等も行えば、ご理解いただけるレベルとなると考えています。

何よりも、上記が示す「財務領域のコストは平均的だが決算処理に時間を要している」という現状を踏まえ、目標をどの値とし、どう取り組むのかの議論に移るという本質に迫ることができること、そして、お客様に継続して使えるものであるという実感を持っていただくことが重要と考えています。

企業経営者の方々にとって重要なのはその組織の健全な成長とその継続であり、殊更に日本国内だけに限定してビジネスを行いたいと考えていらっしゃる方は多くないはずです。「中堅成長企業」とは、一足飛びに世界各国に拠点を置く、いわば「巨大グローバル企業」的イメージの前に、日本国内に留まらない市場や顧客の獲得、つまり国境を超えたビジネスを行う、いわば「ボーダーレス企業」を志向し拡大を目指す企業だと私たちは理解しています。

目指す市場でいかなるパフォーマンスを出していくことが組織の成長に繋がるのか、そのために何か必要なのかをお考えいただくための「型」として、SAPベンチマーキングプログラムがお役に立てれば幸いです。

 

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