SAP HR Connect Autumn 2021:NECグループにおけるカルチャー変革の取り組み ~社員の力を最大限に引き出す改革~

作成者:SAP SuccessFactors編集部投稿日:2021年12月20日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年11月25日、「SAP HR Connect Autumn 2021」がオンラインで開催されました。本稿では当日行われた3つのセッションのうち、日本電気株式会社人材組織開発部長 佐藤 千佳 様による「NEC グループにおけるカルチャー変革の取り組み~社員の力を最大限に引き出す改革」をご紹介します。

☆オンデマンドで当日のセッションをご覧いただけます☆

SAP HR Connect Autumn 2021 オンデマンドサイトはこちら

同社は2018年に収益構造の改革・成長の実現・実行力の改革の3つを柱とする「2020中期経営計画」を発表しました。前回の中期経営計画がわずか1年で撤回となった反省を踏まえ、今回は実行力の改革にフォーカスを置き、社員の力を最大限引き出すためのプロジェクトとして再出発されました。本講演では、その具体的な取り組みをご紹介いただきました。


日本電気株式会社
人材組織開発部長 佐藤 千佳 様


冒頭、佐藤様はNECグループが起こしたカルチャー変革の背景を紹介。2020中期経営計画を推進させる目的で2018年4月にカルチャー変革本部を設立し、社内環境改善に向けて人事制度の改革・働き方の改革・コミュニケーション改革の3つの柱を打ち立てました。これらの柱をもとに、NECグループの社員へ向けた「2020中期経営計画ダイアログセッション」を半年かけて開催。NEC社長自ら国内外の社員に中期計画の必要性を説き、社員からの質問に答えるなど、積極的なコミュニケーションを図ることから変革をスタートさせました。

Project RISE

NECグループでは、社員とのコミュニケーションを強化するため、2018年に「Project RISE」が始まりました。そして、社員の声をもとに変革のキードライバーを6つにまとめています(図①)。

<図①:Project RISE「変革のキードライバー」>

「上記の中でも一番成し遂げたかったのが『社員の主体性と創造性を引き出すしくみ』の変革です。この変革に向かってProject RISEが始まりました。」と佐藤様は語ります。

行動基準を明確化する「Code of Values」の策定

先述のProject RISEにおける最初の成果物が「Code of Values(行動基準)」です。
佐藤様はCode of Valuesの目的について「社員が目指すべき行動基準をわかりやすく伝え、自ら考えて行動できる人材作り」と語ります(図②)。

<図②:NECグループ社員が心がける5つのCode of Values>

社員が理解しやすいように柔らかい表現を用いる、明確な基準を設けることで社員の行動意欲を掻き立てる、といった策定上の工夫を紹介しました。

人事制度改革

<図③:フェアな評価のためのナインブロック>

Code of Valuesを浸透させるべく、NECグループは「人事制度改革」にも取り組んでいます。この改革は利益・成果だけではなく、成果を出した過程も重視。従業員に対するフェアな評価・フィードバックをおこない、従業員のモチベーション・意識の向上につなげています(図③)。

■役員体制の改革

NECグループでは役員体制の改革も進めています。「事業規模・機能にふさわしい役員の配置」や「同じ役員による責任・役割の重複化の排除」など、役員のポジションを明確化し経営力向上を図っています(図④)。

<図④:フェアな評価のためのナインブロック>

佐藤様は、「役員体制の改革が意思決定のスピードアップ、オーナーシップ向上による経営力の強化につながる」と語ります。
また役員の契約体系に関して、雇用契約から1年単位で評価が決まる「委任契約」へ契約体制を変更。どのような行動・成果を残したかを年ごとに評価することで、役員の意識変革にも取り組んでいます。

■コミュニケーション改革

NECグループの変革の柱となったのが「コミュニケーション改革」です。佐藤様は「今回の変革の中で、非常に大きなインパクトをもたらしたのではないか」と語ります。メッセージを受け取る社員にどう響くかを意識しながら、さまざまなチャネルを用いてコミュニケーションの工夫に取り組んでいます。

<図⑤:Webや冊子を用いた情報公開>

佐藤様は、その具体例として「Project RISEのWebページを使ったスピーディな情報公開」や「Code of Valuesの5つの事例に関する冊子の作成」などを挙げました(図⑤)。

パルスサーベイによる定期的な変革実感値の測定

こうした変革の成果を把握するため、NECグループでは年4回の「パルスサーベイ」を実施しています。1回目のバルスサーベイの参加率は26%でしたが、2021年9月には82%まで上昇。参加率上昇に関して佐藤様は「サーベイをもとに社員の声や施策の反映を実感できたことが、参加率上昇の要因ではないか」と分析します。
パルスサーベイの中で「Code of Valuesの実践度」「NECの業務効率化の進捗」「事業部内の風通しのよさ」といった重要指標の実感値はいずれも上昇。中でも重要視する「Code of Values実践度」は33%UPと、浸透が進んでいます。

チェンジエージェント

<図⑥:チェンジエージェントの活動内容>

NECグループの中で、次世代のリーダーとなる人材育成を目的とした変革が「チェンジエージェント」です(図⑥)。この取り組みでは社長がメンバーを任命、副社長がメンターとして参加メンバーをサポートするなど、経営陣自ら率先して人材育成を進めています。
佐藤様は「次世代リーダー育成が進み、1期・2期メンバーの中には関係会社の役員になった人もいます。」と、確かな手応えを語ります。

働き方改革~Smart Work

NECグループでは、働き方改革「Smart Work」にも取り組んでいます。かつては福利厚生の改善が中心でしたが、2018年からは社員と会社の両方が成長できるようなコンセプトを打ち立てました。
Smart Workの中で「意識改革」「インフラの整備」「業務・プロセスのシンプル化」と3つのアクセラレーターを制定。同社では、これら3つを軸に働き方改革を進めています(図⑦)。

<図⑦:Smart Work「3つのアクセラレーター」>

「アクセラレーターでも特に難しいとされたのが意識改革です。」と佐藤様。かつては社員がさまざまな制度・インフラを活用して働き方の改善を望んでもそれに抵抗する雰囲気が強く、行動に踏み込めないことが多々ありました。しかし、少しずつ意識改革が浸透し、現在はインフラ整備も着々と進んでいます。
インフラ整備では、「働く時間」「働く場所」「働くスタイル」の3つが意識されています。労働時間を自由に決められるスーパーフレックスタイム制度や、職場以外でも業務が可能なテレワークなど、各自に合ったワークスタイルで働けるような環境整備が進んでいます。

数字で見る働き方改革の成果

佐藤様は、NECグループの働き方改革がどれほど実践されているかを数値化したデータを示しました(図⑧)。

<図⑧:働き方改革の数値化データ>

サーベイ結果によれば「スマートな働き方実践度」「業務効率化の進捗実感」が、倍以上アップしていることがわかります。

<図⑨:Project RISE実践による株価の変動>

また、働き方改革の成果は株価にも表れています(図⑨)。2018年4月1日時点での株価2,900円・時価総額8,130億円が、2021年3月31日時点では株価6,520円・時価総額1兆8,270円と上昇。佐藤様は「外からの認知による株価上昇も社員のやる気につながっている」と述べました。

NECが掲げる強い個人・強いチームを作るためのHR方針

NECグループでは、2019年に「強い個人・強いチームを作るためのHR方針」を掲げました(図⑩)。佐藤様はその目的を「新卒社員には挑戦意欲の強い人材が集まってきて欲しい。挑戦を続ける場としてNECを選び続けて欲しい」と語ります。
HR方針の具体的な内容として「挑戦機会」「成長機会」「フェアな評価」「ベストを尽くせる環境」と、社員が力を存分に発揮できる環境作りが意識されています。

<図⑩:強い個人・強いチームを作るためのHR方針>

また働きやすい環境を構築するだけではなく、多様な挑戦の機会・正当な報酬・QOLのサポートなど、環境以外でも社員に貢献する姿勢が伺えます。

最後に

<図⑪:18~20年、21年以降それぞれのHR改革フェーズ>

佐藤様はまとめとして、先ほどのHR方針の振り返りを行いながら2020年までのHR改革フェーズや2021年以降のフェーズについて紹介しました(図⑪)。
2020年までに取り組んだ「HR改革フェーズ1」を踏まえ、2021年以降の「HR改革フェーズ2」では、「社員の自主性や行動基準、文化の多様性に力を注いでいく」としています。
そして佐藤様は、「挑戦する人のNEC。この言葉をHRで取り組む人材組織開発部をはじめ、社員や経営陣に対してもいつも念頭に置きながら、これからもNEC変革の旅を続けていきたい」と結びました。

対談セッション

講演後、佐藤様とSAPジャパン人事・人材ソリューション事業本部長 稲垣利明による対談が行われました。

SAPジャパン人事・人材ソリューション事業本部長 稲垣 利明(左)
日本電気株式会社人材組織開発部長 佐藤 千佳 様(右)

稲垣は佐藤様の今回の講演テーマの中で、以下の6点を質問しました。

  1. Code of Valuesの評価者への徹底に関して取り組んだこと
  2. 従業員からの率直な意見を引き出すために工夫したこと
  3. 自主的なキャリア形成と事業視点での配属のバランスのとり方
  4. キャリア形成におけるAI技術に対する今後の期待
  5. 今回の変革の中心となった人物
  6. 今回の全社的なカルチャー変革で最も大きな推進力となったもの

佐藤様からは「社員からの意見に対して明確な回答を届けつつ、変化をオープンにしていく」「次のポジションを自分で獲得するには、自分が何をやりたいのかをきちんと考えることが重要」「NECグループを良くしていきたいという思いがあれば、制度やカルチャーがどうあるべきかが自然と揃ってくる」など、カルチャー変革のHR側からの視点について、示唆に富んだご回答をいただきました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連記事

SAPからのご案内

SAPジャパンブログ通信

ブログ記事の最新情報をメール配信しています。

以下のフォームより情報を入力し登録すると、メール配信が開始されます。

登録はこちら