ハイテク業界のビジネストレンド【その①】――グローバル展開を後押しするテクノロジーとは

作成者:柳浦 健一郎投稿日:2013年8月14日

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読者の皆様、はじめまして。SAPジャパンの柳浦です。私はソリューション本部において、電気・電子を中心としたハイテク業界のお客様に向けてソリューションの提案を行っております。今回のブログでは「ハイテク業界の新たな潮流とインダストリーソリューション」をテーマに、ハイテク業界における最近のビジネストレンドと、そこにどのようなソリューションを適応させて、厳しい市場競争で勝ち残っていくかについて、お客様との日々のお付き合いを通じて私が感じていることをお話ししたいと思います。

「いかにITの展開スピードを加速するか」がグローバル化の大きな課題

Mature man using laptop in factory他の業界に比べて製品サイクルが短いハイテク業界では、市場の変化をいかに敏感に察知し、迅速な対応を行っていくかが非常に重要です。また、そのためには最新のテクノロジーによって市場のスピードに負けないシステムを構築していく、リアルタイムビジネスへの取り組みが求められます。そして、ここで重要なキーワードとなるのが「グローバル」「ソリューションビジネス」「柔軟な生産体制」の3つだと私は考えています。第1回の今回は、この中の「グローバル」というキーワードについて、いかにビジネスのスピード化を図り、リアルタイムかつオンデマンドな市場への対応を実現していくかを考えていきましょう。

最近は「グローバル化」という言葉を耳にしない日がないほど、このテーマは業種を超えた共通の経営課題となっています。ところが、欧米ではすでにこの言葉はごく当たり前のものとしてとらえられるようになっています。ひるがえってみれば、わが国におけるグローバル化はまだまだ発展途上であり、それゆえに人々は口々に「グローバル化」を叫んでいるのが実情なのです。

ビジネスがグローバル化すれば、当然ながらその拠点も海外のさまざまな場所に広く展開されます。しかし、それと並行して言葉も経済も文化も異なる環境にシステムを適用していくことは容易ではありません。人手もコストも、国内での展開とは比較にならないほどたいへんな労力です。このことがネックとなって、多くの日本企業は本格的なグローバル展開を半ば諦めていたところがあります。しかしこれでは、いつまでたってもITがビジネスに追いつけない。それどころか、ITがビジネスの足かせになる懸念さえあります。グローバル化を推進する日本の企業にとって「いかにITの展開スピードを加速していくか」は、事業の成否に関わる重要な命題の1つだということを、私たちは再認識する必要があります。

インメモリーデータベースの登場は、日本企業のシングルインスタンス化の好機

では、グローバル化のためにITの展開スピードを速めるための具体的な施策はあるのでしょうか。これに対する有効な解答が「シングルインスタンス化」です。各国に展開する複数の拠点を本社の経営方針に沿って機能させるためには、アーキテクチャーの面でも開発・運用の面でも、統一化された高品質なITシステムが不可欠です。

そのため、早くからグローバル化に取り組んできた欧米のハイテク企業では、ERPなどの基幹システムのシングルインスタンス化を積極的に進めてきました。著名な企業ではIBM、レックスマーク、サムスンなどが、すでにこの取り組みで大きな成果を上げています。なかでもサムスンは、世界中に散在していた115の独立したERPを、3年以上の時間をかけてシングルインスタンス化し、ビジネスのスピード化とITガバナンスの大幅な向上を実現しています。こうしたグローバル企業にとって、シングルインスタンス化は単に現在のシステムの運用効率を上げるためだけの手法ではありません。グローバル戦略の中でしばしば用いられるM&Aにおいても、システムを1つに統合するとことは極めて重要な要件なのです。

残念ながらこの分野でも、日本の企業はまだこれからというのが実情です。早くからERPなどの基幹システムの導入を熱心に進めてきた企業ほど、拠点ごとの個別最適化が進んでおり、その結果、ROIという面からも既存システムを手放すわけにはいかず、分散インスタンスのまま動くに動けないというジレンマがあるようです。

しかしここ数年は、ITガバナンスも含め、シングルインスタンス化に積極的に取り組む企業が、あちこちで見られるようになっています。この背景にあるのが、エンタープライズ分野におけるテクノロジーの急速な進歩です。SAP HANAに代表されるインメモリーデータベースは、その代表といえます。2013年7月10日に開催されたSAP Forum Tokyoで、グループ8社で運用されていた13のERPの統合に向けた取り組みを発表された旭化成様などは、その好例です。同社では「組織変更の迅速化と効率化」「基幹システムのトータルコスト削減」の2つをテーマに、2015年までに主要事業部門の会計、生産、購買をシングルインスタンスに統合し、SAP HANAを活用したグループ経営管理基盤の強化をする取り組みを、現在急ピッチで進めています。

こうした例からもわかるように、膨大なデータをリアルタイムで処理し、刻々と変化する市場やビジネスへの迅速な対応を可能にするインメモリーデータベースが登場した現在は、日本の企業がシングルインスタンス化に再チャレンジする絶好の機会といえます。

SAP Business ByDesignが中堅企業のグローバル化を力強くサポート

273910_l_srgb_s_glもう1つ、グローバル化におけるITの展開スピードを加速させる手段として、忘れてはならないのがクラウドです。クラウドは従来のオンプレミス型のシステムに比べ、圧倒的に導入・展開スピードが速いことが特長です。加えてビジネスの成長に合わせたスケールアウトや、構成の変更も非常にスピーディーかつ柔軟に行え、各国の拠点に合わせた運用の最適化と世界同一のガバナンスを両立させることも可能です。

また、コストの点でもクラウドは大きなアドバンテージを備えています。これまで一般にオンプレミスのERPは高価で運用も難しいとされ、本社にはSAP ERPを導入しても、海外の小さな拠点はそれぞれ安価なパッケージを入れて運用するというケースが少なくありませんでした。しかし、こうした運用はITガバナンス上好ましくないことはもちろん、システム間のプロセス、データ、マスターの連携などに多くの課題があり、運用面でもコスト面でもかえって負担を生む結果になりかねません。

こうした小規模の拠点を展開することの多い企業のお客様にぜひご紹介したいのが、クラウド型のERPスイート「SAP Business ByDesign」です。これは小規模から中規模企業のユーザーに最適化された包括的なビジネス管理ソリューションで、ERPの機能をはじめCRM、SFA、さらにリアルタイムのインメモリー分析やモバイル端末サポートまでをトータルに提供します。企業のシステムのグローバル化を図る上で、規模も機能も、コスト面でも自信をもってお勧めできるソリューションです。

さらにSAP Business ByDesignの良いところは、クラウドとオンプレミスの共存が図れる、いわゆる“ハイブリッド構成”が容易に実現できる点です。一般に基幹システムのグローバル化というと、これまではオンプレミスのシングルインスタンスという選択肢しかありませんでした。しかし、SAP Business ByDesignならば、「本社や規模の大きな拠点はオンプレミス、小さい拠点はクラウドと使い分けたい」という企業の声に応えることが可能です。SAP Business ByDesignには、そうしたハイブリッド構成を実現するため、拠点間のプロセスやマスターなどの連携シナリオがあらかじめ豊富に用意されており、企業が今後自社の基幹システムのグローバル化を進める上で、強力なそしてきわめて使い勝手の良いツールとなることは間違いありません。

次回は、2つ目のキーワード「ソリューションビジネス」についてお話ししたいと思います。従来の単なる「製品」販売から、市場の変化や世界各国の地域性に即応した「ソリューション」を売る時代への変化と、その対応のヒントについてご紹介していきます。

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