SAP S/4HANAの価値を享受する SAP S/4HANAにおけるEmbedded Analyticsの活用 第2回:Embedded Analyticsの活用の始め方②

作成者:内藤 崇投稿日:2022年2月16日

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SAP S/4HANAにおけるEmbedded Analyticsの活用の始め方と題しまして、2回に渡りSAP S/4HANAの分析機能の一部分であるSAP S/4HANA Embedded Analyticsの解説、およびその活用についてお伝えしていきます。

前回は、SAP S/4HANA Embedded Analyticsの開発コンセプトやユーザエクスペリエンス、SAP S/4HANA 分析/レポート系ソリューションの全体像、SAP S/4HANA におけるレポートの位置づけ、といったソリューション概要を説明致しました。

今回は、CDS/VDMの説明を中心に、Fiori以外のツールを用いたEmbedded Analyticsの活用方法に関してもご説明致します。

【再掲】SAP S/4HANA 分析/レポート系ソリューションの全体像

前回のブログでもご紹介をしましたが、こちらの図はSAP S/4HANAのデータをリアルタイムで分析するための標準機能として組み込まれているSAP S/4HANA Embedded Analyticsのソリューションの全体像です。

SAP S/4HANA Embedded Analyticsのデータソースに関しては、SAP S/4HANAのテーブルに対して作成されたビュー(CDS/VDMビュー)を介して直接分析を行います。またFiori以外に、SAP BusinessObjectsやSAP Analytics CloudなどのUIとCDS Viewを接続して利用する事も可能です。

※BPC for SAP S/4HANAはSAP S/4HANA内の計画機能であり、内部でEmbedded BW機能を使用していますが、定義上、 Embedded Analyticsに含まれません。ただし、分析用アプリも提供されており、SAP S/4HANAのデータのレポーティングが可能です。

参考文献: Blog: Total shape of S/4HANA Analytics

ABAP Core Data Services (CDS)

CDS Viewとは、SQLを基に、より高度なデータモデルの定義を可能にしたABAP Core Data Servicesという技術を使用して作成されたViewを指します。

ABAPという名前が付く様に、CDS ViewはABAPスタックのオブジェクトで、CDSを実装し有効化すると、自動的にHANA DB層にSQL Viewが生成されます。そのため、ユーザーは意識をしてHANA DB層にアクセスする必要はありません。

各種アプリケーションの実行時には、CDS Viewを通じてHANA DB層で処理が実行されるため、プッシュダウンを実現しパフォーマンスの最適化・生産性の向上が行われています。

CDS View自体はSAP独自の技術ですが、ODataサービスとしても使用可能です。つまりオープンなプロトコルとして外部に公開し、SAP製品以外の他社ツールを用いてもSAP S/4HANAのデータを活用する事もできます。またBWクエリと同じ様に利用する事(Transient Providerと呼びます)が可能で、この技術を用いてCDS Viewをデータソースにして、弊社のBI製品であるSAP Analytics CloudやSAP Business Objects、AO(Analysis for Microsoft Office)を用いての分析が可能となります。この他、外部BW用データソース、ABAPプログラムでの利用(SELECT from <CDS View>)等、様々なシナリオで容易に利用可能になっています。

Annotation

CDS Viewは基本SQLの様な構文でロジックを記述しますが、他のSQL製品との大きな違いとして、”@”から始まる制御ロジックが存在し、ビュー内に画面定義など一般的なViewでは実現できない定義を含めることが可能です。このようなCDS Viewの性質・挙動を設定することのできる制御ロジックのことを”Annotation”と呼びます。

Annotationの例として“データ抽出可能”、“OData公開”、“Fiori UI画面設定”、“Analytical Query設定”等があり、フロントエンドツールや接続用途に応じて使い分けをします。

Annotationを駆使する事により、CDS Viewの性質・挙動を設定することが可能となり、前回のブログや、前段で紹介したSAP Fioriをはじめとするフロントエンドツールでの分析が実現可能となります。

Virtual Data Model(VDM)

Virtual Data Model(VDM)とは、CDS Viewで作成された業務オブジェクトが事前定義されたテンプレートです。ゼロからCDS Viewを作成するより、VDMを使用する事で開発を効率化する余地があります。

VDMはSAP S/4HANAの標準テーブルがデータソースとなっているので、SAP S/4HANAに入力された販売データや入出庫データなどのトランザクションデータを、リアルタイムで分析に活用することが可能です。

例)「G/L Account Balance Cube」というVDMでは、ACDOCAという会計のUniversal Journalテーブルをもとに、勘定残高を計算しており、勘定残高を含んだ多次元分析が可能です。これを利用すれば、勘定残高算出ロジックをゼロから作る必要がなくなります。

下記の図は、会計領域のSAP Fioriの事前定義された分析用アプリ、そのソースとなるVDMと標準テーブルとの関係性を示した図です。緑色の箱は、SAP Fioriの”事前定義された分析用アプリ、青色系の箱はVDMを指しますが、”F0996A:残高試算表”や”在庫品目金額 – 明細”、”原価センタ実績”等の様に、SAP Fioriの事前定義された分析用アプリやVDMは、ビジネスシナリオ毎に纏められている事がわかります。これらを有効化することで、即座にSAP S/4HANAのデータをリアルタイムに分析することが可能となります。

SAP S/4HANAでは10,000以上のVDMが提供されていますが、その内、再利用されることを前提に提供されているもの、及び、リリースされている(バージョンアップ時の変更の影響が、重大でないことが保証されている)ものは限られます。リリースされていないVDMは公式にはサポート対象外です。お客様の責任での仕様となります。

下記に参考文献を挙げさせて頂きます。こちらは技術的で情報量が多いものとなりますが、今後のSAP S/4HANAの更なる活用につながる内容になっております。

Analytics in S/4HANA – real shape of embedded analytics and beyond embedded analytics

Predefined Virtual Data Model as example for understanding difference of CDS View type

How to find a predefined Virtual Data Model in S/4HANA

Analytics on Universal Journal, the heart of SAP S/4HANA

How to deal with “Not released” predefined VDM in S/4HANA

 

開発環境

CDS Viewを参照・開発・変更するためには、使用するPCにEclipseベースのABAP Development ToolかSAP HANA Studioをインストールする必要があります。

ABAP Development Tool/SAP HANA Studioは、SAP Support Portal内のソフトウェアダウンロードから入手可能です。

References: https://support.sap.com/ja/index.html

まとめ

本ブログではCDS/VDMの説明を中心に、Fiori以外のツールを用いたEmbedded Analyticsの活用方法に関してもご説明致しました。

前回・今回と2回にわたりSAP S/4HANA Embedded Analyticsの解説、およびその活用についてお伝えしていきましたが、SAP S/4HANA Embedded Analytics は、S/4HANA内データの直接分析を可能とし、リアルタイムに高い生産性 (データの冗長性がない)を保ったまま分析ができるソリューションである事を理解して頂けたかと思います。また、土台となるDBはSAP HANAとなるので、大量データを高速で分析する事が可能です。

SAP S/4HANA Embedded Analyticsを利活用することで、分析業務にかかるTCO削減にも繋がりますので、ビジネス価値向上に寄与できるソリューションだと考えております

 

SAPからは、SAP Analytics Cloud 、SAP S/4HANA Embedded Analytics、CDSビュー、SAP Business Objects BI等の分析ソリューションや製品群とその関係性、SAP BWや、SAP HANAの複合アーキテクチャー等、分析基盤構築に関する基本情報のご説明、製品の最新情報と今後のロードマップを踏まえたワークショップの実施、お客様毎に最適なシステムランドスケープ・分析基盤の検討を御支援するサービスを御提供しています。

 

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