三菱電機と協働する「Industry 4.Now HUB TOKYO」ショーケースが示す製造業の未来

作成者:SAP Japan Customer Award 事務局投稿日:2022年2月18日

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SAP Japan Customer Award 2021 三菱電機株式会社様

三菱電機 専務執行役FAシステム事業本部長 宮田芳和氏(右)と
SAPジャパン 代表取締役社長 鈴木洋史(左)

日本の大手総合電機メーカーとして、家電製品から産業機器、宇宙システム、社会インフラなど幅広い領域を手掛ける三菱電機株式会社(以下、三菱電機)。同社では2003年からファクトリーオートメーション(FA)とITをつなぐ連携技術を最大限活用する「e-F@ctory」コンセプトを立ち上げ、ノウハウと実績を積み上げてきました。同社とe-F@ctory AllianceパートナーであるSAPジャパンは、2020年9月に設立したIndustry 4.Now HUB TOKYO(インダストリー・フォードットナウ・ハブ・トウキョウ)でショーケースを設置。協働ロボットにより最新技術を駆使したIoT化の姿を具現化しています。SAP Japan Customer Award 2021で「Japan Industry 4.0部門」を受賞した同社に、日本の製造業が目指すべきIndustry 4.0の姿を伺いました。


三菱電機とSAPが協働することでOT/IT連携を実現

製造現場では環境問題や高齢化、グローバル競争の進展などに伴い、デジタルと脱炭素という二つの大きな変化に直面しています。こうしたなか、製造のインテリジェント化の動きが急加速しています。三菱電機では、IoT化によるビッグデータの活用でスマート工場を実現する「e-F@ctory」に 2003年から取り組んできました。現在、e-F@ctory関連機器の納入件数は35,000件超に上っています。また、同社のシーケンサについては過去10年、推定で1,100万台が工場で稼働しています。こうした豊富な納入実績や稼働台数を通じて得られたお客様とのつながりが、同社の強みになっています。同社専務執行役FAシステム事業本部長の宮田芳和氏は、日本の製造業のトレンドについて次のように語ります。

「製造現場に求められているのは、デジタル技術を活用したものづくりの高度化だけでなく、ERP/MESなどのITシステムとのつながりによるサプライチェーンやエンジニアリングチェーンとの連携です。さらに、経営データの可視化や一元化によるスピーディーな経営判断をグローバルレベルで実施することが重要視されています」

こうしたなかで、同社とSAPの協働が実現。つまり、両社の協働によってOT(Operation Technology)とITのつながる世界を実現させたのです。

「お客様からSAPと連携してほしいという声を多くいただいていたのも協働のきっかけです。SAPはITのリーダーとして、グローバルな顧客資産と豊富な経験を持っており、協働するのは自然な流れでした」(宮田氏)

三菱電機とSAPの協働

三菱電機とSAPの協働


 

デジタルを体感してもらい、共創を促進するためにショーケースを設置

SAPは、2020年9月に企業のインダストリー4.0化戦略の具現化を支援するグローバル組織「Industry 4.Now HUB TOKYO」を設立。三菱電機はIndustry 4.Now HUB TOKYOにおいて、協働ロボットにより最新技術を駆使したIoT化の姿を具現化したショーケースを設置しています。ショーケース設置にはどのような目的があるのでしょうか。

三菱電機株式会社専務執行役FAシステム事業本部長 宮田芳和氏

三菱電機 宮田芳和氏

「目的は二つです。一つ目はお客様にデジタルを“体感”していただく場をつくるため。多くの企業では前例が豊富でないこともあり、デジタルの効果に疑問を持っているケースが多い。そのため、実際に稼働している現場を見ていただくほうがデジタルへの理解が進みやすい。二つ目は“ありたい姿”を共創していくため。現在、東アジア諸国での製造業のレベルは格段に上がっており、大きな危機感を持っています。こうしたなかで、企業の垣根を越えたオール・ジャパンとして、エンドユーザー、装置メーカー、SI、ベンダーが力をあわせて、“より良い生産ライン”をつくっていくことで、世界に日本のものづくりの素晴らしさを展開していきたいという想いがあります。現在の社会課題やデジタル課題は一社単独で解決することは難しい。だからこそ、さまざまな企業とオープン・コラボレーションを実施することが重要と考えています」(宮田氏)

Industry 4.Now HUB
SAPが日本とドイツ、米国の計3拠点(2022年2月現在)に設置するグローバル組織。Industry 4.Now HUBではPoC(概念実証)だけでなく、その先のプロジェクトも含めたインダストリー4.0化戦略の具現化を、各拠点のエキスパートが国を越えて支援を行います。

 

わずか2時間でOTとITが“つながってしまった”

ショーケースの立ち上げ後、経営層の来場が増えているといいます。この点について三菱電機Digital Manufacturingチーフ・アーキテクトの杉山素(はじめ)氏は「コロナ禍でデジタルへの興味、関心が増した印象です。海外工場への出張が難しいなかで、“デジタル基盤を作らないとやっていけない”と危機感を持っているようです」と話します。OTのリーディングカンパニーである三菱電機とITを司るSAP、両社が協働することでどのような“化学反応”が起きるのでしょうか。

「“お互いで設計図を作って、それぞれがセットしてつないでみましょう”ということになったんです。当初は両社のエンジニアが1か月のスケジュールで進める予定でしたが、なんと2時間後にはすべて動いてしまった。エンジニア自身も“つながってしまいました”と話すほど驚いていました。OTとITをつなげるためには膨大な時間を要すると思っていましたが、それは間違いだったようです」(杉山氏)

両社で実現したのはカスタムメイドの製造オペレーション。受注から製造までを自動で行うものです。顧客は色だけを指定して注文すると、クラウド上のERPに受注データが入力され、その受注データを受けてロボットが稼働。OTとITがつながることで、自動での稼働を実現しています。

「このような複雑な仕組みは、カスタムで作らないとできないものだと思っていました。しかし、OTとITがつながってしまえばわずか2時間でできてしまうんです。OTサイドだけで作れば、おそらく稼働までに数か月はかかってしまうものでしょう」(杉山氏)

今回の協働により、OTとITがつながることで、劇的な変化が期待できことが実証されました。杉山氏はこのような状況を目の当たりにして「現場を最適化し続けるのは三菱電機だけではとても難しい。だからこそ、オープンな場をつくり、さまざまなプレイヤーがアクセスしやすい状態をつくっていくことが重要です。東京の中心地にあるIndustry 4.Now HUB TOKYOが、イノベーションの起爆剤になるはず」と話します。

実際、ショーケースがもたらす効果はSAPとしても実感しています。SAP Labs Japan デジタルサプライチェーン部門長の鈴木章二は、次のように語ります。

「ファクトリーを含めた現場のオートメーションをコントロールする三菱電機様と、ITのビジネスプロセスをコントロールするSAPが協業し、それを具現化していることに高い価値があると考えています。2020年から三菱電機様にご一緒いただいて、ものづくりに特化したショーケースをつくりました。今年は非常に多くの方にご来場いただきましたが、その中の多くが経営層。お話ししてみると、事業を俯瞰して捉えなければならないという危機感を持っている方が多く、ショーケースをご覧いただくと『こんなことが既にできるようになっているのか』と驚かれる方が非常に多いです。こういった取り組みは非常に有益でもあり、お客様にとっても価値のあるショーケースになっていると考えています」

三菱電機 杉山素氏(右)とSAPジャパン 鈴木章二(左)

三菱電機 杉山素氏(右)とSAPジャパン 鈴木章二(左)


 

オープン・コラボレーションでイノベーションを創出

Industry 4.Now HUB TOKYO では、OTとITがつながることで生まれるイノベーションを具現化し、来場者にその姿を示しています。では、企業がOT/IT情報連携によるイノベーションを享受するためには、どうしたらよいのでしょうか。

「まず経営と各部門でIndustry 4.0の解釈を揃え、共通目標をつくります。その後、ゴールに向けたロードマップを描き、小さく始めて効果を出していきましょう。また、OTやITなど、オープンなパートナーシップを最大限活用して効果につなげることも重要になります。ROI経営が注目されていますが、基盤整備は目先のROIに捉われ過ぎてはいけないと思います。来年だけでなく5年先を、つまり将来を見越して計画的に始めることをおすすめしたい。今の技術進展は目を見張るものがあります。10年前に夢だったものが、今は簡単にできてしまうのですから、やるしかないでしょう」(杉山氏)

同社は、e-F@ctory Allianceに代表されるように、スマート工場実現のためのパートナーを1,050社以上有しています。今後、SAPとの協働が深化することで、三菱電機とSAPのエコシステムが相互につながる未来も見えてきています。協働によるイノベーション創出の展望について、宮田氏は次のように語ります。

「オープンコミュニティをたくさんつなげていくことで、さまざまなイノベーションが生まれる。電力プラントやビルなど、各方面に結びつきをつくっていき、お客様へ貢献したいですね。エコシステム同士がつながることで、共創の和を着々と大きくしていきたいと考えています」(宮田氏)

三菱電機が推進する協働の取り組みは、多彩なプレイヤーが加わることで、イノベーションの創出を加速していきます。そして、Industry 4.Now HUB TOKYOにおける同社とSAPが協働するショーケースも、世界に向けた新たなイノベーションを示し続けていく場へと進化を続けていきます。

SAPジャパンは、日本の製造業の未来を創る三菱電機との取り組みを、今後ともITを通して協働してまいります。

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