第7回:人材育成の為の目標管理とは
作成者:森 太郎 投稿日:2013年8月28日
みなさんこんにちは、サクセスファクターズジャパンの森です。来る9月10日に当社主催で「Success Connet Tokyo 2013」というタレントマネージメントセミナーの開催を予定しており、最近はそのイベントの運営に追われ執筆にかなり間が空いてしまいました。
当日は、三菱商事様、楽天様、バンダイナムコスタジオ様、クリスピークリームドーナツ様、ニコン様など日本の導入事例を中心に弊社のソリューションをご紹介する予定ですので、後日このブログでもセミナー当日の内容をご報告したいと思います。
今回はタレントマネージメントの根幹でもある「目標管理」について書いてみたいと思います。
■誤った各社の目標管理制度
現在の日本の評価制度は、年功序列から成果主義に移行しつつあり、各社が人事考課制度を取り入れています。しかし、各社の目標管理の取り組みとして、①業績を上げることに目標が置かれるあまり売上至上主義や結果重視の管理に陥ったり、②組織の関与や行動プロセス、スキル評価への配慮がなされなかったり、③個人の主体性や自己統制が欠けており、運用に行き詰っているなどの課題が散見されます。
目標管理を、MBO(Management by Objectives)と理解して、“目標の管理”だけを行うマネージメントをしてしまってはいないでしょうか。
■目標管理の本質は“目標による管理”である
我々業界人も、目標管理を“MBO”と称しているため、目標管理は“目標を管理する”ことと誤認されがちですが、正しくは、“目標による管理”つまり“Management By Objectives and Self Control =MBO-S”なのです。
もともと目標管理は、ピーター・F・ドラッカーによって提唱された組織マネージメントの手法の1つで、彼の著書『The Practice of Management』に登場する「Management By Objectives and Self Control」が元の考え方となっています。
キーワードは、まさに「Management(経営)」「Objectives(目標)」「Self-Control(自律統制)」で、個々人に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理するマネージメントの手法です。
MBO-Sは本質的には「全社目標の現場への落とし込み」「仕事に対する自主的な取り組み」「目標設定・評価を通じたモチベーションの向上」「個人の成長」がエッセンスなのですが、各社実際の目標管理制度は、成果主義的な業績評価システムとしてのみ運用されていることが多く、評価するオペレーションを実施するだけの形骸化的作業となっているのではないでしょうか。
■本質的な目標管理のポイント
- 具体的 : 明確に記述され定義されている
- 測定可能: 量で測れること,あるいは後から検証可能である
- 達成可能: 現実的で,達成にはさらに努力を要するものであること
- 現実的 : 現在の知識で達成できる
- 期限付 : 現実的で周知の必要性に基づいた期日が定められている
■まとめ
- 目標設定は、会社の経営目標に向かって社員が一体となって活動すること・アライメントすること
- 単に目標を立てて、中間・期末の評価ではなく、日々の進捗、週次や月次でのレビューが目標ベースで実施することが重要
- 単に評価し、考課・査定で終わるのではなく、延ばさないといけないスキルを今後どのように成長させるのか個人のモチベーション向上と人材育成につなげないといけない
- できる限りシンプルで納得性のある目標設定の運用にするべき。
(日本の人事コンサルタントが個社別に複雑な運用ロジックをひねり出し、その結果複雑な計算式の入ったExcelを配布・回収・集計しないといけないケースが散見)
皆さん“目標による管理”の本質を理解した上で、日本の文化や各社の社風にあうように工夫して推進してみてはいかがでしょうか?
次回は、日本市場でも取組みが加速している「Succession (後継者計画)」について書いてみたいと思います。
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