ハイテク業界のビジネストレンド【その②】――複雑化するビジネスモデルに対応するITの要件


こんにちは、SAPジャパンの柳浦です。「ハイテク業界の新たな潮流とインダストリーソリューション」をテーマに、ビジネストレンドをご紹介している本連載の2回目のキーワードは、「ソリューションビジネス」です。

従来の単なる「製品」販売から、市場の変化や各国の地域性に即応した付加価値をバンドルした「ソリューション」の販売へとビジネスのあり方そのものが変化している現実を踏まえ、そこで発生する課題について考えてみたいと思います。

ビジネスのグローバル化によって変貌する従来の販売モデル

Shanghai building「ソリューションビジネス」という意味合いから考えると、むしろ「ビジネストランスフォーメーション」としたほうがわかりやすいのかもしれません。電気・電子を中心としたハイテクの世界では今、製品の売り方=ビジネスモデルそのものが大きく変わりつつあり、グローバル競争が激化する中で、最先端の技術を搭載したハイテク製品といえども、製品単体の強みだけではもはや勝ち残ることができません。これは、グローバルで同時進行する競争の中で、日本企業も例外でないことは言うまでもありません。

こうしたソリューションビジネスへの転換を示す典型的な事例として、コピー機メーカーのビジネスモデルがあります。コピー機だけを販売する従来のモデルはすでに過去のものとなり、セキュリティソフトをバンドルしたり、保守サービスを組み合わせた包括的なメニューとして提供する、さらにはオフィス全体の最適化を支援するコンサルテーションまでも含めた提案が、最近ではあたり前になりつつあります。

ハイテク業界では、こうしたコピー機メーカー以外にも、従来の業態や分野にとらわれず、新規ビジネスを積極的に模索するケースが多く見られるようになっています。たとえば、プリンタやデジカメの要素技術をベースに医療機器分野にシフトする、あるいは家電系の技術を応用して自動車のハイテク化の波に乗るといった試みです。またB2CからB2Bに進出していくといった、まったく異分野に踏み出すケースも非常に多くなってきています。

とはいえ、こうした新規参入には既存の競合他社がいるだけに、製品単体の強みだけでは差別化につながりません。そこで、多くの企業は新しいサービスなどの付加価値をつけて、ソリューションとしての存在感を打ち出していくことに活路を見出そうとしているのです。

こうした「製品からソリューションへ」というビジネストランスフォーメーション=事業構造の変化を、ITという視点から見るとどうでしょうか。昔ながらの製品単体の販売であれば、この型番の製品をいくつ売りましたといった単純な管理で済むのですが、これがソリューションビジネスになると話はもっと複雑です。ソリューションとは、さまざまな製品やサービスの組み合わせのことです。この製品にはこのオプションがあって、このソフトウェアがバンドルされていて、さらにこのサービスを付加できるといった組み合わせが増えるにしたがって、ソリューションの裏側にあるロジック、いわゆるコンフィギュレーションは膨大になってきます。つまりソリューションビジネスでは、営業や販売などビジネスサイドの意向を反映すればするほど、バックエンド側にあるITもおのずと複雑化していきます。これにどのように対応していくかが重要な課題であり、同時にビジネスの成否を決める鍵にもなるのです。

複雑なソリューションセリングに対応する開発サービス、ツール群

では、こうしたビジネストランスフォーメーションからの要請に、ITはどのように応えていけばよいのでしょうか。SAPではすでに、ERPの中にコンフィギュレーションのカスタマイズを実装できるVariant Configurationという機能を提供していました。しかし、この機能を使いこなすには相応のERPの知識と熟練が要求され、誰でもすぐに活用できるものではありませんでした。

これを大きく変えたのが、カスタム開発サービスであるSAP Custom Developmentです。ビジネスロジックが複雑になると、これまでならインターフェース開発はアドオンで行っていたのですが、最近はこのサービスを使って準製品化して納品するケースが増えてきています。

さらにSAP Custom DevelopmentにSAPの販売支援ソリューションであるSAP Solution Sales Configurationを組み合わせれば、カスタム開発されたソリューションを標準化した上で、お客様が自社の製品として販売するといったビジネスも可能です。実際、ある大手の企業が自社のソリューションセリングに対応したコンフィギュレーションの仕組みが欲しいということで、SAP Custom Developmentで作って製品化されたものを導入した事例もあります。

こうしたカスタマイズのための優れたツールが使えるようになってきた結果、新たに複雑な営業活動=ソリューションセリングにチャレンジしていこうと考える会社にとっては、自社の指向に合致した仕組みを迅速かつ最適化された形で導入できる時代がやってきているのです。

さらに、こうした複雑なソリューションセリングのモデルが進化し、製品販売だけでなく運用・保守までをトータルに扱うようになると、ここにも今までなかったロジックが必要になります。製品の販売とは異なった保守サービスの利用に対する課金モデルのような仕組みです。このようにバックエンドのITがどんどん複雑になっていくことには懸念もあるでしょうが、この複雑化に対応できなければ勝ち残れない状況がある以上、こうした構造はどんどん深まっていくはずです。また私たちの立場からは、ユーザーの皆様に複雑さを感じさせないソリューションを積極的に提供することで、お客様のビジネスの要望に応えていくことも重要な使命だと考えています。

複雑な課金モデルなどもノンコーディングで実現

273964_l_srgb_s_glでは最後に、こうした課金モデルも含めた複雑なコンフィギュレーションの仕組みを実現して、グローバルで実績が評価されているSAPのソリューションをご紹介しましょう。海外ではすでにいくつもの導入事例が報告されているSAP Billing and Revenue Innovation Management(BRIM)と呼ばれるソリューションです。

BRIMは、「統合課金」「請求」「債権回収」の大きく3つのコンポーネントで構成されています。一言でいうと、一つ一つが細かく膨大な件数の課金計算の仕組みをパッケージしており、しかもノンコーティングベースで実現できることが特長です。こうした課金請求のスタイルは、これまで主に通信業界で行われていましたが、それが今B2Bの世界にも起こりつつあります。

もっとも、こうした複雑なソリューションセリング自体は、「一式売り」のような形態で日本にも古くから存在していたのですが、そのバックエンドのシステムは多くがブラックボックス化していて、些細な機能追加や変更にも時間とコストがかかっていました。しかし、これからの時代のソリューションビジネスをグローバルで展開していこうとするのであれば、こうした属人性をいかに排して柔軟なソリューションの組み合わせ提案ができるか、またいかに効率的に複雑な課金モデルに対応できるか、つまり複雑化するビジネスモデルにITがどのようにして迅速に追従していけるのかが大いに問われてくるでしょう。今回ご紹介したSAP Custom DevelopmentやSAP Solution Sales Configuration、そしてBRIMといった形で手軽に提供できるようになってきたことが、今私たちSAPが皆様にお届けできる最新の価値だと思っています。

次回のキーワードは、「柔軟な生産体制」です。グローバル市場のドラスティックに変化を吸収し、常に的確な生産、供給を実現するための新しい生産体制の考え方についてご紹介していきたいと思います。

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