SAP University Alliances―全世界の教育機関との連携による、国の垣根を越えたデジタル人材の育成

作成者:SAP編集部投稿日:2022年3月11日

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SAP社員に聞く、 ニッポンの未来へ向けた取り組みと想い#8 SAP University Alliances―全世界の教育機関との連携による、国の垣根を越えたデジタル人材の育成

ニッポンの「未来」を現実にするために、SAPジャパンの社員が取り組んでいるさまざまな変革プロジェクトをご紹介する本連載。8回目の今回は「SAP University Alliances」をご紹介します。SAP University Alliancesは、未来のデジタル社会を支える人材育成を目的として、世界各国の教育機関を対象にSAPが多彩なコンテンツやサービスなどを提供するプログラムです。本ブログでは、この活動のコンセプトや最新の取り組みについて、トランスフォーメーションオフィス SAPユニバーシティアライアンスリード ジャパンの阿部理央さんに話を聞きました。
(聞き手:SAP編集部)

SAPユニバーシティアライアンスリード ジャパン 阿部理央

SAPユニバーシティアライアンスリード ジャパン 阿部 理央

世界117カ国、3,800以上の教育機関のデジタル人材の育成をサポート

まず、SAP University Alliancesの概要と、これまでの活動の経緯についてお聞かせください。

阿部 SAP University Alliancesの原点は、SAPが1980年代からグローバルで推進してきたCSR活動にあります。当初の活動内容は、大学の先生や学生の皆さんがSAPのソリューションについて学んだり、研究目的で利用するためのライセンスを無償で提供したりするといったシンプルなものでした。

その後、デジタル人材の育成に対するより幅広い貢献を目指してSAPの支援体制も拡大し、現在はSAPと大学の2者間にとどまらず、世界で44万社以上のお客様と2万5,000社以上のSAPパートナーも参加するエコシステムの中で運営される、戦略的なイニシアティブの1つとして位置付けられるようになりました。

SAP University Alliancesのプログラムには、現時点で世界117カ国の3,800*以上の教育機関が加盟しており、ここには約20の日本の大学も含まれます。日本の教育機関については、これまでERPの専門知識を英語で学ぶという点が1つのハードルとなっていましたが、最近は英語を基本とした授業を行いたいという声も多く寄せられていることや、一部日本語化されたコンテンツがあるほか、ERP以外のカリキュラムも増えていますので、日本の加盟校は今後さらに増えていくものと考えられます。

*SAP University Alliancesでは加盟契約が大学の学部単位となるため、「3,800以上」には同一大学の複数学部が含まれている場合があります。

ソフトウェアなどのライセンスは、具体的にどのような仕組みで提供されていますか。

阿部 ソフトウェアなどのライセンス提供は、「ユニバーシティコンピテンスセンター(UCC)」とローカルのサポートを行う「アカデミックコンピテンスセンター(ACC)」という機関を通じて行われます。これはプログラムに加盟する大学が起ち上げた非営利のホスティングサービスセンターです。加盟校からシステム利用の希望があった場合、SAPはその大学とコンピテンスセンターの双方にライセンスを付与します。ソフトウェアを使用する大学はコンピテンスセンターと契約を結び、ホスティングサービスの料金を支払えば、自由にシステムを利用できる仕組みです。

コンピテンスセンターはUCCとACCを合わせて世界に現在11カ所ありますが、日本はアジア パシフィック ジャパン(以下、APJ)リージョンに属していますので、オーストラリアのヴィクトリア大学のセンターに接続することになります。もっとも最近はクラウドソリューションも増えているため、SAPが提供するトライアル環境を使う場合はホスティングサービスの料金は不要で、完全に無料でSAPソリューションを大学教育で利用することができます

SAP University Alliances(UA) Programによる大学へのサポート

SAPの知識やスキル向上を支援する教員向けの多彩なカリキュラム

具体的には、どのようなカリキュラムが提供されているのですか。

阿部 大学を通じて学生にSAPソリューションを学ぶ機会を提供することが、SAP University Alliancesの基本的なスキームです。そのため、SAPでは先生方の知識やスキルの向上に力を入れており、初めてSAPに触れる先生方向けの無償トレーニング「TTT(Train the Trainer)Workshop」や、大学の講義や研究、ゼミなどでそのまま使えるさまざまなカリキュラムを提供しています。

先生向けのポータルサイトも用意されていて、ここからカリキュラムをダウンロードできるほか、他国の加盟大学の先生方とも交流できるようになっています。カリキュラムの主な内容はエクササイズやケーススタディで、編集可能なWordやPPTファイルで提供されますので、先生方は指導の内容に合わせて自由にカスタマイズできます。最近では、最新ソリューションに関連するコンテンツも随時追加されるようになっています。

SAP University Alliancesの支援対象となる教育機関は、大学のみなのでしょうか。

阿部 当初は大学と大学院だけが対象でしたが、現在は日本であれば高等専門学校や高校、中学校の学生も対象に、デジタルスキルの開発支援に力を入れていくことを目指しています。SAP University Alliancesは、このブログでも紹介されたInspired Labなどと同様に、SAPソリューションを販売することが目的ではなく、デザインシンキングをはじめとするSAPのノウハウの提供を通じて、教育機関とのアライアンスを構築していくことが重要なミッションです。そのため、支援対象は今後も拡大していきたいと考えています。

教員向けのカンファレンスなども、数多く実施されていると聞いています。

阿部 その1つが、7月に開催された「SAP Academic Conference APJC 2021 and Bootcamps」です。このカンファレンスは、すでにグローバルで10年以上前から実施しているもので、年に1回、リージョンごとに会場に選ばれた大学に参加者が集まります。APJでは、日本以外にも韓国、オーストラリア、インド、シンガポール、フィリピン、ベトナムなどの東南アジアの国々や、さらに中国も含めると約400名の大学の先生方が集まります。SAPの最新動向や各国の大学の取り組みについて共有されるConference DayとSAPの最新ソリューションを学ぶBootcampがセットで開催され、同じSAPを教える教員同士のネットワークを形成する場にもなっています。

2020年と2021年はコロナ禍の影響でバーチャル開催となりましたが、このカンファレンスの開催期間は日本の大学の講義期間と重なるため、先生方からは「バーチャル開催で参加しやすくなったので、2022年以降もバーチャルの部分を残してほしい」といったご要望もいただいています。

このカンファレンスでの日本の大学の注目度は高く、他国の大学との共同プロジェクトが生まれることもあります。たとえば、駒澤大学と台湾の国立中央大学の共同プロジェクトも、ここで知り合った先生方のネットワークからスタートしました。

各国の学生チーム対抗による競技会「ERPsim」が大盛況

最近の活動の中で、注目のトピックなどがあれば教えてください。

阿部 いくつかありますが、話題性といった点では2021年1~2月に開催された「ERPsim APJ Friendly 2020」が盛況でした。これは「ERPsim」というERPのシミュレーションゲームを使って、各国の学生チームがビジネスのシナリオを実行し、その成果を競うものです。「ERPsim」はSAPのソリューションをベースにカナダの会社が開発したもので、一定の機能制限はありますが、SAP S/4HANAの機能をほぼ実機と同様に体験できます。

「ERPsim APJ Friendly 2020」では、「水のボトルを仕入れて販売する」というシナリオで皆さんに競ってもらいました。自ら考え実行した販売施策をもとに、最も大きな利益を上げたチームが優勝です。参加者はAPJ全体で約40チームの200名。この回ではコロナ禍でバーチャル開催でしたが、オンラインでの大学対抗コンペということもあって、かなり盛り上がりました。1つ残念だったのは、12時~18時という開催時間が日本の大学の講義の時間帯と重なったことで、日本からの参加がなかったことです。

とはいえ、日本の先生方や学生の皆さんからは「次回はぜひ参加したい」という声も多いので、大いに期待しています(今年は4月に実施予定です)。特に先生からは、国内にいるとなかなかグローバルの空気を体感できないし、他国の学生が何をやっているかも見えにくいので、貴重な機会だという評価をいただいています。

ERP Sim概要

学生向けのプログラムでは、この他にどのようなものがありますか。

阿部 グローバルの企画として、たとえばシンガポールマネジメント大学ではSAP APJ Digital Labsと協力し、社会課題を解決するための新しいソリューションを考え、SAP製品を使ってプロトタイプを作成する「SAP Next-Genプロジェクト」を授業の中で実施しました。

「ERPsim APJ Friendly 2020」がSAP University Alliancesの主催であるのに対し、こちらは同大学が主催する企画に対してSAP がソフトウェアやクラウド環境の提供、さらには技術指導などの支援を提供しています。2021年からは日本の学生にも参加してほしいとの要請があり、情報経営イノベーション専門職大学(iU)という、2020年に開学したばかりの専門職大学から数名の学生と先生がトライアル参加されました。

この他にも、SAPのe-ラーニングプラットフォームである「SAP Learning Hub, SAP Next-Gen edition」の無償提供や、クラウドを使ったSAP認定取得費用の学生割引なども行っています

SAP Next-Genプロジェクト 学生たちによるプロジェクト活動&海外交流

大学などの教育機関とビジネスの世界をつなぐハブとしての役割

SAP University Alliancesの今後の活動について教えてください。

阿部 大学以外への展開としては、今後はビジネススクールとのリレーションをさらに深めていきたいと考えています。その1つとして1つとして、すでに2019年から早稲田大学ビジネススクール(以下、WBS)との共同プロジェクトがスタートしています。同大学は15年以上前からアカデミアのパートナーとしてSAPとお付き合いがあり、2014年からは経営システムにSAP ソリューションを採用いただくなどご縁が続いてきました。現在、WBSとSAP、さらにSAPのお客様を巻き込んでの共同研究を行っています。

最後に、大学をはじめとする教育機関の皆様にメッセージをお願いします。

阿部 大学は基礎研究を中心とした学術研究の場です。一方、SAP はアカデミア発の技術を応用して、その成果をソリューションという形でいかにして社会に還元するかに注力してきた組織です。この経験を生かして、大学で基礎研究に励んでいる先生方や学生の皆さんを社会やビジネスとつなぐ。同時に、そこで得られた新たな知見を社会やビジネスに対しても還元していく。このように、SAP University Alliancesが両者を結ぶハブのような役割を果たしていければと考えています。

また、最近は大学の先生方からリアルなビジネスの話をもっと聞きたいという声も多く聞かれます。こうして教育機関の皆さんが外部の世界とコンタクトしようとするときに、まずSAP University Alliancesに声をかけてみようと思っていただける存在になることを目指しています。

■関連リンク
連載 vol.6:Inspired.Lab―新規事業の創出による日本発のイノベーションを支える「伴走者」―
連載 vol.7:最新のデジタルの知見を活かし、Jリーグのマーケティング改革に貢献
→ 過去の連載はこちら

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