IFPを使ったSAP S/4HANA Finance統合財務計画

作成者:松尾 俊秀投稿日:2022年3月24日

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ビジネスを取り巻く環境の変化は非常に速く、予算策定・編成といった業務に対してもより一層の柔軟性が求められています。また同時に、それらを管理するためのシステムにもより一層の効率化、高度化が求められているのではないでしょうか。
今回は、SAPとしての最新かつ今後の注力対象製品である、SAP Analytics Cloud(以下SAC)において、会計領域の予算計画テンプレートとして用意されている、Integrated Financial Planning:統合財務計画(以下IFP)をご紹介します。

Integrated Financial Planning (IFP) とは

SACには、ご契約いただいたお客様が効率的に利用をスタートして頂けるよう、業種別、業務別といった形でのビジネスコンテンツが多数用意されています。IFPはそのビジネスコンテンツのうちの1つで、オペレーショナルな財務予算計画を起点に、個社のBS、PLの予算計画立案やシミュレーションを行うための、予算計画入力画面・各種計算機能を含むテンプレートです。

IFPには、原価センタ計画、販売および収益性計画や、財務諸表計画などのコンテンツが含まれており、現在も機能が拡張されています。さらに、SAP S/4HANAなど他のSAP製品との親和性が高く、原価見積や要員計画など、統合財務計画に関連するデータをSACへ取り込む機能を有しています。
IFPは、従来のECCの計画の領域を包含し、会計業務領域における予算計画業務を包括的にカバーしており、今後もコンテンツが更に進化していくことが期待されます。

IFPとして用意されているビジネスコンテンツをそのままお使い頂く他、ご要件に応じたカスタマイズも可能であり、柔軟かつ効率的な予算計画業務を実現することができます。

IFPの全体像とコンテンツのご紹介

IFP全体概要

IFP全体概要

IFP各機能の関連図

IFPの各機能の全体関連図

IFPは、企業全体の予算計画統合プロセスにおいて、原価および活動計画、製品原価計画、販売および収益性計画、資本経費計画、財務諸表計画といった領域をカバーしています。IFPは、関連するSAP S/4HANAのデータを取り込みながら、各業務領域で立てたオペレーショナルな予算計画を連動させ、BS、PL、キャッシュフロー計画へと繋げていく流れを実現します。

原価および活動計画

原価センタ計画の各機能と関連図

部門別経費計画、いわゆる原価センタ別の費用計画を作成します。費目別予算の入力だけでなく、活動数量を使った活動単価(予定賃率)の計算や、予算配賦にも対応しています。
ここで立てた計画は、後続の製品原価計画や財務諸表計画へと連携することができます。
(SAP Help Portal:SAP Analytics Cloud での原価センタ計画

製品原価計画

製品原価計画の各機能と関連図

SAP S/4HANAで処理・作成された原価見積情報を読み込んだうえで、原材料価格や間接費の変動を加味しながら製造原価を計算・シミュレートすることができます。ここで立てた計画は、販売および収益性計画へと連携することができます。
End-to-Endでの計画統合プロセス中での実行のみならず、例えば期中において、原価見積の部品表の構成などと整合を取った形で、原材料価格や間接費の増減による製品原価への影響をクイックにシミュレーションすることも可能です。
(SAP Help Portal:SAP Analytics Cloud の製品原価計画

販売および収益性計画

販売および収益性計画の各機能と関連図

販売価格や数量の計画、製品原価計画をもとに、ボトムアップ形式で収益性計画を立てることができます。
以前の計画との比較をしながら、立案された予算計画を調整し、トップダウン形式での収益および利益計画として使用することなどもできます。
(SAP Help Portal:SAP Analytics Cloud での販売および収益性計画

資本経費計画

資本経費計画の各機能と関連図

建物や土地の取得などを含めた設備投資計画や、そこから派生する償却費計画の計算を行うことができます。ここで立てた計画は、財務諸表計画へと連携することができます。
(SAP Help Portal:SAP Analytics Cloud での資本経費計画

財務諸表計画

財務諸表計画の各機能と関連図

原価センタ計画、資本経費計画、収益性計画と、ボトムアップで統合されてきた予算計画データ、あるいは過去の実績データ等を用いて、会社全体のBS、PL、キャッシュフロー計画を作成することができます。
(SAP Help Portal:SAP Analytics Cloud での財務諸表計画

シミュレーションコックピット

シミュレーションコックピット画面

売上シミュレーション画面

統合された予算計画を踏まえたうえで、販売数量、原材料価格、費用などが変わったと仮定し、各計画領域の整合が取れた形で再計算しシミュレーションを行う機能を備えています。各種想定を置いてシミュレーションを行った結果は、シミュレーションバージョンとして保存しておくこともできます。
例えば、原価センタ経費の調整に伴い、関連する製品原価計画、損益計算書計画などが芋づる式にどう変更されるか、画面上で柔軟に確認することができます。
(SAP Help Portal:SAP Analytics Cloud の財務計画向けシミュレーションコックピット

シミュレーションコックピットの関連図:青い箇所は費用計画の変更時に連動する部分

 

新機能:Group Reportingとの統合

Group Reportingとの統合

Group Reportingで計画データに対して連結処理を行った後、予算連結の結果をSACに取り込み、計画データの一元管理を行うことができるようになりました。
加えて、Group Reportingを使用していない会社の計画データは、SACのビジネスコンテンツである“グループレポート計画”を使用する事で、直接SAC上で連結用の計画値を入力・管理することができるようになっています。

新機能:SAP SuccessFactorsとの統合

SAP SuccessFactorsとの統合

SAP SuccessFactorsで入力された要員計画をSACへ取り込み、IFPの原価センタ計画で使用することができるようになりました。

新機能:SAP Integrated Business Planning(以下SAP IBP)との統合

SAP IBPとの統合

SAP IBP で立案された需要計画の数量をSACに取り込み、IFPの収益性計画で使用することができるようになりました。また、IFPで調整した金額情報をSAP IBP に戻すこともできます。

おわりに

今回は、SAP Analytics Cloudにおける財務計画用のテンプレートである、Integrated Financial Planningを使用した統合財務計画についてご紹介しました。
従来、SAP ERPにおいても計画統合の考え方ならびに関連する機能が存在しておりましたが、IFPは計画統合に対する新しい形として、今後も更なる機能拡張を行いつつ、より早く柔軟な予算計画業務を実現します。

このブログエントリをきっかけに、SACならびにIFPをご検討頂き、より高度かつ柔軟な予算立案、編成業務にお役立て頂ければたいへん幸甚です。
Help PortalのFAQには、カスタマ固有ロジックの詳細な実装方法を解説したブログ(英語)のリンクも含まれていますので、より詳しい技術情報を知りたい方はご一読ください。

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