サプライチェーン改革を考える – 刮目すべきフレームワーク

作成者:前川 純投稿日:2022年6月8日

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倉庫内のスペースを最小限に、動線を極力排除して、効率的に作業を進める物流ロボット。24時間365日、文句を言わず業務が回っていく様は、ある意味目指したい物流DXの姿と言えると思います。

このように近年、徐々に多くの企業が物流または、サプライチェーンそのものの自動化を進めてきていますが、そのような自動化自体が目的になっていませんでしょうか?そのような中、基本に立ち返って、私たちはこれらデジタルサプライチェーン改革を実行するにあたって、刮目すべきサプライチェーンフレームワークである、”Congruent Triangle(以下の図を参照)”についてまとめました。

 

サプライチェーンマネージメントに必要な3つの要素

サプライチェーンにおいて、旧来の手法であろうと、デジタルであろうと、必要な3要素は効果性、効率性と費用管理となります。私たちはこのたった3つの要素を念頭に置くことで、現状を明らかにして、目指すべき将来像を描くことが出来ます。

 

サプライチェーンの効果性

サプライチェーンの効果性は、自社から見てお客様の方向に向ける性質のものとなります。製品販売において、お客様に製品を提供する機会を増やす事が挙げられます。例えば、従来お客様の発注に対して5日で納品していたものを、3日に短縮する事や、単純にお客様の発注処理時間を5分から1分にするなどと言う事になります。ここでは多くの場合、物流費用は効果に比例して上昇傾向となります。

 

サプライチェーンの効率性

多くの企業が効率性を求める事で、費用も下がる前提で取り組みますが、自社内の業務プロセスを主観とした改善活動がこれにあたります。例えば、活用する物流ロボットを1日24時間のフル稼働とする事で資産稼働率を上げる。製品の合理化を進めて、在庫回転率を上げるなどがそれにあたります。

 

サプライチェーンの費用

費用に関しては内にも外にも関連してきます。在庫保有費用や輸送費用を例として挙げます。お客様への製品提供機会を重視して、在庫数を増やす。この場合は売り上げと比例して費用も増加。そして、効果性の例でも上がった輸送サービスレベルの向上により、輸送費用が増加するなどもここに挙げられます。

 

サプライチェーンマネージメントにおける相互作用

このようにサプライチェーンマネージメントにおけるこれらの要素は互いに影響して、時に相互作用を生み出し、排他的な関係を生じさせ、中々納まりがよろしくない事を理解しておく必要があります。そのような意味で、これらの要素全てが、万時上手く作用する事はほぼ無いと考えて無理がありません。この関係性は、より高いレベルで考えた時に、どの要素を重んじる事で、自社サプライチェーンの差別化を図るかという判断につながります。つまるところ、どの要素をどのレベルで諦めるかについて、そのサプライチェーン戦略に依存する所が大きいです。そしてそれらのバランスについて描いたものがCongruent Triangleになります。

 

 

ゴーイングコンサーンとサステナビリティ

また、昨今では企業のゴーイングコンサーン、すなわち継続企業の前提としてサステナビリティが大きな課題となってきています。他方で、サステナビリティ―をサプライチェーンマネージメントのどのレベルから取り組むかについては、議論の余地が狭まっているのも事実と言えるのではないでしょうか?このように、サステナビリティについてはこれまで挙げたサプライチェーンの3要素+サプライチェーン戦略に加えて5つ目の三角として、全ての要素に影響を及ぼす重要課題となります。次の図を参照してください。

まとめ

最後に、サプライチェーンにおいて自動化の波は避けられず、物流ロボットのみならず、AI(人工知能)を導入して、業務プロセスをデジタルツイン化する事でデジタルトランスフォーメーションを推進する。このような傾向は今後も続く事が想定されます。
一方で、新たな技術導入が目的になって、サプライチェーン改革を進めている企業も多いかと思いますが、それで一体何が旧来のサプライチェーンと変わるでしょうか?
サプライチェーンのCongruent Triangleを現在と将来のサプライチェーン像を描き出すフレームワークとして活用してみては如何でしょうか?

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