SAPシステムのデモ環境を、わずか数分でクラウド上に構築するには
作成者:立石 道生 投稿日:2013年10月1日
読者の皆様、はじめまして。SAPジャパン ビジネスソリューション統括本部の立石と申します。このブログでは、今回から2回に分けて「クラウド化に向けたSAPソリューション活用」というテーマで、SAP Cloud Appliance LibraryとSAP Landscape Virtualization Managementの各機能についてご紹介させていただこうと思います。最後までよろしくお願いします。
クラウド化に向かう今日のシステム環境
昨今、企業のシステム環境において、クラウド化に向けた動きが活発化しています。この背景には、大きく以下に示す3つの要因があると考えられます。
- ハードウェアコストの削減
- 導入までの時間短縮
- ビジネス変化への柔軟な対応
これまでのオンプレミス型システムでは、ハードウェア導入に伴う高額な初期投資、調達に要する時間と労力、また変化するビジネス環境やデータの増大に合わせたサーバー自体のスケールアップ、スケールアウトといったコストが、企業にとって大きな負担となっていました。
クラウドの大きな特長は、ハードウェアの初期投資が不要であることはもちろん、極端に言えば、契約が完了すれば、その数十分後には利用を開始することができるスピード感、また従量課金によって必要以上のスペックに費やされていた運用コストの大幅な削減などといった点が挙げられます。このようなさまざまなメリットを背景に、クラウド化の検討を開始する企業が年々増加しているのはよく知られているところです。
SAPのお客様においても、特に今年に入ってから、ERPのクラウド移行に関するお問い合わせが増えています。これはアマゾン ウェブ サービス(AWS)が、正式にSAPのサポート認定を受けたことも大きく影響しています。現時点では、オンプレミスとクラウドの両環境を使ったハイブリッド対応を考えるお客様が多いと想定されますが、クラウド化の潮流が今後ますます加速していくことは間違いありません。
SAPでは、このようなクラウドを活用した運用手法の変化に対応するため、SAP Cloud Appliance LibraryおよびSAP Landscape Virtualization という2つのソリューションを提供しています。この2つのソリューションの中で、今回はまずSAP Cloud Appliance Libraryについてご説明したいと思います。
SAP Cloud Appliance Library:SAP導入プロジェクトのリスクを大幅に低減
SAP Cloud Appliance Libraryは、クラウド上でSAPシステムのデモ環境やテスト環境を即座に構築できるオンデマンドソリューションです。ハードウェアの調達やセットアップに大きな時間を費やすことなく、わずか数分で環境を構築し、デモ、テスト、トレーニングまでも実施できる非常に便利な仕組みです。
私もコンサルタントという立場で、多くのSAP ERP導入プロジェクトを支援してきましたが、このようなプロジェクトでは、まず開発機のサイジングを行い、ハードウェアをベンダーに依頼、調達を行います。ハードウェアが到着したら、SAPシステムのインストールを行いますが、通常ならここまでで約2カ月程度の期間を要します。
SAPのインストールについては、膨大なマニュアルやノートを参照しながら作業を進める必要があります。これらの読み込みにも多くの時間が必要となりますし、慣れない方だと上手くいかないケースも想定されるため、SAP ERPの開発機を立ち上げるには多くの労力と時間がかかります。
この点、プロジェクトの開始段階でSAP Cloud Appliance Libraryを使用することで、簡単かつ迅速(まさに数分という時間で)にSAP環境を体験することができるようになります。これにより、開発プロジェクトで発生する多くのコスト、時間、そしてリスクを大幅に低減できることが、SAP Cloud Appliance Libraryの大きなメリットと言えます。
ご注意)SAP Cloud Appliance Libraryは、ライセンスを購入いただいた方だけが利用できます。また、本番環境ではお使いいただくことができません。
SAP Cloud Appliance Library利用までの手順
実際にSAP Cloud Appliance Libraryを利用するまでの手順については、ビデオによるデモが用意されています。下記のURLでデモをご覧いただくことができますが、ここでは、デモ画面のサンプルを見ながら、簡単に説明していきたいと思います。
SAP Cloud Appliance Libraryのビデオ *SCN(SAP Community Network)
1. SAP Storeにアクセスし、SAP Cloud Appliance Libraryを購入します。
2. SAP Storeにアクセスし、利用したいソリューション(例:SAP HANA)を購入します。
2.SAP Cloud Appliance Libraryにアクセスし、Cloud Providerのアカウントを作成します。
4.SAP Cloud Appliance Libraryにアクセスし、利用するソリューション(例:SAP HANA)のインスタンスを作成します。
5.SAP HANA StudioからSAP HANAへアクセスが可能となります。
6.SAP Cloud Appliance Libraryより各インスタンスのバックアップも簡単できます。
今回は、SAPソリューションのクラウド運用を支援する2つのソリューションのうち、主にSAP Cloud Appliance Libraryについてご説明しましたが、いかがだったでしょうか?
次回は、もう1つのソリューションであるSAP Landscape Virtualization Managementの各機能についてご紹介させていただこうと思います。
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