サステナビリティに向けた実践手引き7~ZERO EMISSION3 as Enabler~

作成者:福岡 浩二 投稿日:2022年7月20日

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今回は、前回触れたSAP Product Footprint Management(PFM)以外のZero Emission関連製品を紹介します。

PFMはZero Emissionを主な目的とする製品ですが、今回はもともと別の用途で提供され、CO2 Emission、特に課題を抱えるSCOPE3領域を可視化する機能を有したものを紹介します。

先に今回紹介する製品名を並べておきます。

1.SAP Business Network for Logistics
2.SAP E-Mobility
3.SAP Concur


1.SAP Business Network for Logistics(旧 SAP Logistics Business Network ,material traceability option)

SAP Business Network for Logistics の主な役割として、サプライチェーンをつなげるネットワーク構造を可視化する製品です。
下記にその全体イメージと、今回の提供する機能を位置づけています。

今回は、その1optionであるmaterial traceablityに当たります。これは、複数の企業で物流でひきわたされる品目情報を横断的に管理する役割です。下記にそのイメージをのせておきます。

この管理できる属性の1つに、新しくCO2排出量が追加されました。APIを経由して社外の輸送経路で発生する情報を収集・可視化する事が出来ます。下記が実装イメージ図です。

グローバルでのサプライチェーンリスクが今企業で大きな課題となっていますが、単にモノの供給だけでなく、そこで発生するCO2排出量も併せた複眼的な判断にご利用いただくことができます。


2.SAP E-Mobility

このシリーズでもこちらの自社取り組み事例として紹介しましたが、もともと社内用途から発展したものです。
昨年末に公式に社外に対して発表し、本Blog内でも当時こちらで分かりやすく紹介しています。

シンプルに言うと、EVを利用する環境において必要な情報をリアルタイムに可視化する機能です。必要な情報とは、例えば運転をしている側がEV充電ステーションの場所や現在のバッテリ利用状況などを簡単に見ることができ、快適なEVライフを実現できます。

利用者視点での画面例をご紹介しておきます。

A monitor displaying a dashboard of SAP E-Mobility

 

もう1つの視点は、このようなEV向けサービスを提供するサービスプロバイダーの視点です。

SAPは社用車をグローバルでEV化する選択をしましたが(下記記事参照)、今後他の企業でも続く可能性もあります。

 独SAPは全世界で社用車をEVシフト 企業の「まとめ買い」に商機(日経ビジネス 2022.7.15)

同じく、レンタカー企業でもEVを採用する企業も出てきており、もう1つの視点としては事業機会とみることもできます。

例えば、欧州を中心に電力関連の決済サービスを提供するelexon社では、E-Mobilityを採用してEVチャージをサービスとして提供する事業を展開しています。
下記に、その動画が紹介されているので引用しておきます。

ここでelexonが評価したポイントで重要な論点は、単なるチャージングの見える化でなく、Financial Systemとの統合です。

エネルギー(電気)をChargeするということは課金を伴います。また、もし仕事としてEVを利用するのであれば「Travel&Expense(出張経費)」に相当します。

つまり、基幹システムにあたるSAP S/4HANAの課金システムや、SAP Concurが提供する出張精算システムと連携することで、EVの利用に伴う企業としてのデータ連携処理コストの軽減と、タイムリーに知りたい切り口で可視化する事ができ、意思決定をより豊かにすることができます。

下記の全体のソリューション関連図を載せておきます。


3.SAP Concur

先ほどのソリューション連携にも登場しましたが、SAP Concurは出張精算システムが主な役割です。初めての方は下記サイトをお勧めします。

企業の出張に伴うCO2排出量も、GHG Protocol SCOPE3としてカウントされます。
SAPも一時期従業員の移動に伴うTravelが最大の排出量だったこともあります。特に、非製造業では近い課題をもっているところは多いのではないでしょうか?

日本国内での移動に伴う排出量は、環境省がある程度輸送手段に応じた計算式を定めています。ただ、個々の従業員の出張や経費精算1つ1つに対して、それとにらめっこしながら手動で計算していては相当なコストとオペレーションリスクを招きます。

SAP Concurでは、環境省の計算式を組みこみ、移動距離に応じてCO2排出量を自動的に計算して可視化する機能を提供しています。

その結果を、例えば下図のように集計して企業全体・部門での問題点を発見・改善につなげます。

また、事後結果集計による改善だけでなく、SAP Concurによる申請段階で環境に配慮した情報を見せて、個々の意識変容を促すこともできます。

2022年8月2日11:00 – 12:00に、本機能を含めたWebinar「サステナビリティの現実的な始め方」がおこなわれます。もしご関心を持った方は、下記バナークリックで申し込みできますので、ぜひ参加してみてください。Concurセミナー「サステナビリティの現実的な始め方」

今回は注目されているSCOPE3に当たる3つの製品に絞りましたが、そのほかにも存在します。

ぜひ関心を持った方は問い合わせしてみてください。


以前の記事はこちら

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