サステナビリティに向けた実践手引き8~ZERO WASTE1 as Exemplar~

作成者:福岡 浩二 投稿日:2022年7月26日

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今回から、SAPが掲げる3つのうち2つ目の主要施策「ZERO Waste」について触れてみたいと思います。
まず、改めて施策の全体絵図を再掲しておきます。

このテーマで密接に関わるのが「循環型経済」という概念です。だいぶ普及した感もあるので、基礎解説は最小限にとどめて、SAPでの取り組み(Exemplar)を中心にお届けします。

循環型経済でよく知られているのはエレン・マッカーサー財団による下記の3原則です。(出所

  • 自然のシステムを再生(Regenerate natural systems)
  • 製品と原材料を捨てずに使い続ける(Keep products and materials in use)
  • ゴミ・汚染を出さない設計(Design out waste and pollution)

事業活動に沿って砕いて言えば、
あらゆるプロセスで循環の仕組みを組み込む
ということで、消費し終わった後だけ考えるリサイクルとは異なります。

それを現す全体のイメージ図が下記になります。

上記のうち特に、責任ある「調達」「消費」に絞って自社事例を紹介します。

 

SAP社内での取り組み

SAPは 以前よりグローバル環境ポリシーを策定し、2022年5月にその改訂版を公開しています。
こちらから閲覧できますが、テーマごとの目標だけ抜粋します。

ZERO Wasteのなかでも、今国際的に問題になっている「プラスチック問題」への対応として、「使い捨てプラスチックをなくす」活動は長年取り組んできました。

基本的に自社での購買はSAP Aribaを通じて行っていますが、そのシステムの段階で使い捨てプラスチック品目をできる限り取り扱わないように制御しています。

システム以外でも、Sustainability部門が調達・マーケティング部門の責任者と横断的に協調して、社内購買・販促活動、社外イベントでのプラスチック利用を抑制する宣言を行って、幅広くこの課題意識の醸成と実践に励んでいます。

例えば、米国で行ったイベントでは、飲料ボトル用のタグを配布してリフィル回数やそれによる貢献度合いをアプリで可視化する事で、社員だけでなく来場者への気づきを与えるチャレンジを行いました。

2022年7月に行ったSAP Japan 主催「SAP Sapphire Tokyo」というイベントでも、紙での配布物やプラスチック容器を利用しない方針を参加者にも呼び掛けて実践しました。
当初はもしかしたら不満の声もあるかなと思ったのですが、否定的なコメントは私個人は全く聞くことはありませんでした。
むしろその決断に対して褒めていただくことがあり、日本社会としてもこういった考え方は受容されているかもしれません。

イベントという非日常以外に、日々における活動のケースも2つほど紹介しておきます。

まず、これはドイツ本社での試みですが、2017年に本社敷地内でバイオマス発電所を建てました。社内食堂での残り物など、日々の企業活動で発生する廃棄物を捨てずに自社発電の燃料として活用しています。(カーボンニュートラルの取り組みの例としてこちらのBlogでも部分紹介)

ドイツ本社内にあるバイオマス発電所正面図

 

もう1つが、グローバルの社員同士が不要になったものを公開して授受できる社内Web/アプリサービスです。下記がその画面イメージです。(分かりやすく日本語の例)

自身がユーザ体験して気づいたのですが、こういった活動は単に無駄なWasteを減らすだけでなく、社員間のエンゲージメントやいわゆるWell-Being(心身・社会関係ともに満たされた状態)にもつながります。

省エネや廃棄物抑制といった削減的な活動は、どうしても抑制的になり個々の従業員へ負荷をかけてしまいます。
ただ、この取り組み例は、むしろ従来なかった価値を創成する取り組みともみることができます。ぜひ少しでも関心をもった方は、自社でも試してフィードバックをいただけると嬉しいです。

今回紹介したなかで、最後の個所は結構重要な論点かもしれません。

「循環型経済」の先には「循環型社会」があり、そこではヒトとヒトがより繋がって価値を紡いでいくことが本質にあるのではないかと思います。
そしてデジタルの力で、今後もさらに簡単にコネクト・自律処理することができるため、この温かみのある社会の到来は高まると予想されます。

 

次回は、パートナーやお客様も巻き込んだEnablerの事例を中心に紹介していきたいと思います。

 


以前の記事はこちら

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