JTグループがSAP Aribaで実現した年間20万件を超える調達業務の標準化、業務の自動化・効率化、グループ全体のコンプライアンスの強化

作成者:SAP Japan イベント投稿日:2022年9月9日

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3年ぶりのリアルイベントとして、7月12日にグランドプリンスホテル新高輪で開催されたSAP Sapphire Tokyoの事例セッションの中でも、とりわけ大きな注目を集めたのがSAP Aribaを活用した調達・購買業務の改革事例でした。本ブログでは、JTグループにおける間接材購買のシェアードサービスを一手に担う株式会社JTビジネスコムが、SAP Aribaを活用して年間で20万件を超える調達業務を標準化、業務の自動化・効率化を実現し、JTグループ全体のコンプライアンスを強化した最新事例についてご紹介します。

株式会社JTビジネスコム 調達グループ シニアマネージャー 安中 隆倫 氏

株式会社JTビジネスコム 調達グループ
シニアマネージャー 安中 隆倫 氏

JTグループ全体の間接材購買を担う一元的なシェアードサービスの展開

専売公社からたばこ事業を引き継いで1985年に設立されたJTグループの事業は現在、全体の約9割を占めるたばこ事業と、医薬事業、加工食品事業で構成され、従業員は連結で5万5,000人超、2021年度の売上収益は2兆3,248億円に上っています。
株式会社JTビジネスコムは、JTグループの人事、財務経理、調達領域のシェアードサービス会社として2017年に設立され、その中でグループ全体の間接材購買の機能を担っているのが、今回のセッションで登壇した安中隆倫氏がシニアマネージャーを務める調達グループです。
「調達グループの主な役割は、JTの各事業部とグループ各社から間接材の購入申請を受けて、見積の取得、価格の交渉、発注、請求処理などを代行することにあります。海外の事業所には独自のソーシング機能とオペレーション機能がありますので、現状において私たち調達グループは国内の間接材調達業務のみをカバーしています」(安中氏)
調達グループの主なミッションとしては、徹底したコンプライアンスに基づく調達業務の遂行、調達仕入れコストとオペレーションコストの削減、間接材の調達業務の集中化、そしてグループ全体における各種法令遵守のサポートが挙げられます。そのための活動として、2019年に導入したSAP Aribaを活用した調達業務の代行と、より広範なシェアードサービスの提供に取り組んでいます。
調達グループでは現在、JTグループの製品原材料となる直接材を除く、すべての間接材の調達を扱っています。市場代替性の高い一般材やサービスからスタートし、その後は事業と関連性の高い専門材やサービス、マーケティングマテリアル、さらには航空券やホテルの契約、IT関連、R&D関連といった領域においても、主管部門と連携しながらシェアードサービスの提供範囲を拡大してきました。
その結果、SAP Aribaを介した現在の処理件数は明細ベースで年間約20万2,000件となっています。

JTBC調達グループ概要

SAP Aribaのクラウド環境上で属人化した購買プロセスを標準化

「JTビジネスコムが設立され、調達グループとして今まで提供していたサービスレベルでは対応できないことが確実に予想される状況になっていたこと、JTグループの購買システムが保守期限を迎える時期だったこともあり、調達購買業務の円滑化、業務の集約化のための基盤の再構築は、まさに待ったなしの状況でした」と安中氏は振り返ります。
これを機にJTでは、JTのIT部門からの提案で複数のオンプレミスシステムで構成される従来のアーキテクチャから、クラウド上で一元的な管理が可能なシステムへのリプレースを決定。同時に、属人化した業務の標準化を進めることで、QCDが最適化された業務環境の構築を目指しました。
結果、JTは調達購買業務を支える新たな基盤としてSAP Aribaの導入を決定。その主な目的は「コンプライアンスの強化」「業務の自動化・効率化」「システムの最適化」の3つにあったといいます。
まず「コンプライアンスの強化」では、調達に関連するすべての情報をシステムに取り込み、ワークフロー管理によるエビデンスの確保、アラート・モニタリング機能による処理ミス・漏れの防止を徹底。次に「業務の自動化・効率化」では、調達購買業務におけるペーパーレス化、管理証憑の電子化、取引先とのWeb連携によって処理を効率化。そして「システムの最適化」では、分散していたシステムをクラウドに移行することで、常にアップデートされた環境の中で操作性、ユーザビリティの向上を目指しました。
同社では現在、SAP Aribaのバイヤー機能の中からGuided Buying、Buying & Invoicingの購入申請、カタログ/見積依頼、発注/検収、請求、またサプライヤー機能として、Ariba Networkの見積回答、受注、請求の機能などをJTのIT部門と密に連携しながら利用/運用しています。
「当初の計画では、さらに多くの機能を導入する予定でしたが、カットオーバーまでにすべてを間に合わせることができず、一部の機能は先送りとなりました。その1つである契約管理の機能は、今期中の導入を目指しています」(安中氏)
こうした経緯も踏まえて、安中氏は新たな調達購買システムの導入においては、「一定の準備期間とリソースの確保」「早い段階でも関係者の巻き込み」が成功の鍵となることを強調しました。

3. SAP Aribaシステム導入背景

RPAとの親和性などのメリットを活用してサプライヤー、バイヤー双方の業務を効率化

ではSAP Aribaの導入によって、JTグループにはどのような改善効果がもたらされたのでしょうか。この点について、安中氏は請求処理の効率化を真っ先に挙げます。
「SAP Aribaの大きなメリットの1つである請求処理の電子化が進み、トランザクションベースですでに全体の92%が自動的に処理されるようになっています。サプライヤー側からSAP Ariba上で請求登録を行っていただくことで、これまで調達グループが紙の請求書を見ながら行っていた手作業のシステム入力を大幅に削減することができました。またGuided Buyingのトップページからユーザーにクイックに情報を発信できるほか、タイル内に操作ガイドやFAQ、チャットボットへの導線を埋め込むなど、ユーザビリティのさらなる向上にも取り組んでいます」
バイヤー業務の領域においても、カタログを積極的に活用することで、購入の頻度が高い間接材は調達グループを介さず発注できるプロセスを適用して、ロングテール商品を中心に発注の効率化を進めています。これにより、すでにカタログ購買率は件数ベースで全体の約57%に達しています。
加えて安中氏は、SAP AribaとRPAの親和性の高さに着目し、購買申請のインポートや代理請求登録といった一部のプロセスについては、すでにRPAを活用して効率化を図っていると説明します。
コンプライアンス強化の点においては、SAP Aribaによって業務プロセスや承認ワークフローが標準化されたほか、レポート機能や、JTのIT部門と導入したプロセスマイニングツールを活用して不正が起きていないかのモニタリングを毎月実施できている点は、従来との大きな違いだといいます。
SAP Aribaの今後の活用について、安中氏は「コスト削減については、すでにSAP Aribaのコラボレーションの機能を活用して、見積り比較を実施するプロセスが一定程度仕組み化されていますが、今後も上流工程から要請部門と協業しながら、SAP Aribaのソーシング機能を活用したさらなる効率化が実現できないかを検討しているところです。いずれも試行錯誤を繰り返しながらトライしている状況ですが、システムがカバーする業務範囲は広いだけに、将来的に向けた大きなポテンシャルを感じています」と期待を語ります。

4. SAP Ariba導入による効率化・ガバナンス強化

グループ全体で成功体験を共有し調達購買の改革を継続的に推進

最後に安中氏は、本セッションに参加した企業が自らの企業グループにSAP Aribaを導入するケースも想定して、JTグループの新たな調達購買シェアードサービスがグループ各社・各部署にもたらすメリットについて整理してくれました。
「まず要請部門では、それまでバラバラだった購買申請や承認のプロセスが標準化され、すべてをシステム上で完結できるようになります。これらのプロセスが検収も含めてすべて電子化されるメリットもあります。
また、見積の取得、発注、請求処理、支払依頼といったすべての業務を調達グループが代行することで、それまで要請部門で発生していた調達購買に関する多くの工数を、より重要な業務へシフトできるようになります。さらに、調達購買に関連する証憑類は電子データとしてシステム内で一元管理されるため、これまで請求書や会計情報からしか追跡できなかった購買実績も容易に可視化されます。
これに加えて、調達グループが購買プロセスの上流工程から関与することで、価格の妥当性の検証も可能になります。これにより、各部署は品質を検討、調達グループはコスト交渉を中心に行うといった役割が明確化し、最適購買につながります。
こうしたメリットをグループ内で共有しながら、SAP Aribaのグループ全体への浸透に向けた取り込みを現在も進めています。この中で新たなメリットや成功体験をユーザー側で実感してもらうことで、変化が次々と起きることを肌で感じています」を語り、セッションを終えました。

5. 調達購買シェアードサービス展開事例

>>そのほかのSAP Sapphire Tokyoレポートはこちら

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