中期経営計画の一環として、SAP Aribaをグループ展開するダイキン工業の購買業務革新

作成者:SAP Japan イベント投稿日:2022年9月8日

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3年ぶりのリアルイベントとして、7月12日にグランドプリンスホテル新高輪で開催されたSAP Sapphire Tokyoの事例セッションでは、SAP Aribaを活用した複数の最新事例が用意され、好評を博しました。本ブログでは、その中からダイキン工業株式会社が2016年から継続的に推進する購買業務変革の取り組みについてご紹介します。すでに決算の早期化という当初の目標を達成した同社のプロジェクトは、国内関連会社に向けたSAP Aribaの横展開のフェーズに入っており、グループの中期経営計画の中でさまざまな成果が生み出されつつあります。

「決算の早期化」に向けてスタートしたSAP Aribaを活用した購買業務の革新

ダイキン工業株式会社は「空調」「化学」「フィルタ」の3つを事業の柱として、空気で人々の健康で快適な生活に貢献するための多彩な製品とサービスを提供しています。現在は世界160カ国で事業を展開し、海外からの売上が全体の80%を超えるなど、まさに世界の空調・エアコン業界をリードするグローバルメーカーです。
そんな同社がSAP Aribaの導入に着手したのは2016年。その最大の目的は「決算業務の早期化」にありました。事業の性質上、間接材の調達が恒常的に発生する同社においては、月末に集中する請求処理業務の負荷、紙ベースの業務に伴う転記およびインプットの工数、さらに押印によって長くなりがちな決済・承認のリードタイムなど、いくつもの改善課題がありました。
「そこで手作業に依存していた従来のプロセスを刷新し、月次決算の効率化、早期化を支える新たなコアシステムとして、導入を決定したのがSAP Aribaでした。SAP Aribaの導入を通じて解決したい課題はいくつもありましたが、当初はあくまで『決算の早期化』を優先し、プロセスの変更は最小限にとどめながら、システムのスピード導入に注力しました」と話すのは、同社の総務部 間接材購買グループ長を務める川端秀和氏です。

ダイキン工業株式会社 総務部 間接材購買グループ長 川端 秀和 氏

ダイキン工業株式会社 総務部 間接材購買グループ長
川端 秀和 氏

SAP Aribaを活用した新たな購買プロセスの早期リリースと定着を図るため、同社は①単価契約、都度見積の購買プロセス(2018/10月稼働)、②契約請求、請求書払いの購買プロセス(2019/4月稼働)の2つのステップで導入を進め、予定通りのスケジュールでの稼働を実現することができました。
これにより、月次決算で必要な経費実績締め日の前倒しはもちろんのこと、承認決裁のワークフローの電子化(業務の標準化)、購買パターンの類型化による社内ルールの徹底(例外の排除)、複数の間接材購買システムの一元化といった成果が生まれ、コンプライアンスおよびガバナンスの大幅な強化が実現しています。
「システムの導入に際しては、費用対効果が重視されることが多いと思いますが、購買はお金を扱う業務だけに、当社では数値では表現できないコンプライアンスやガバナンスの強化といった点を重視して導入を進めることで、当初の目標を着実に達成することができています」(川端氏)

SAP Ariba の導入結果

目標の明確な優先順位付けなど早期導入を支えた3つの要因

「決算の早期化」という目標を予定されたスケジュールの中で達成できた成功要因として、川端氏は次の3つのポイントを挙げます。
1つめは、「導入プロジェクトチームの頑張り」です。クラウド上で標準化されたSAP Aribaのプロセスに自社の業務を合わせるためには、社内ルールの細かな調整を行っていく必要があり、ここではプロジェクトチームの尽力が大きな貢献を果たしました。
2つめは、「実現したい目標の優先順位付け」です。このプロジェクトではSAP Aribaのスピード導入を最優先し、従来のプロセスの抜本的な見直しは先送りすることにしました。「目標があいまいなままでは、プロジェクトは停滞するばかりです。最初にゴールを明確化して、それに向けてチームが一丸となって進んでいくことが大切です」と川端氏は強調します。
3つめは、「トップマネジメントの支援」です。同社では、トップが全社課題である「決算の早期化」におけるシステム導入の必要性をしっかりと理解していたことから、投資の決裁や導入後に運用を担うチームの組織化もスムーズに行うことができました。
加えて、2018から2019年にかけての導入スケジュールに遅延が発生しなかったことは、思わぬ成果にもつながりました。2020年初頭に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、同社の業務や働き方にかつてない変化をもたらしました。こうして状況においても「在宅勤務を余儀なくされる環境の中で、図らずも電子化されたワークフローの強みが最大限に生かされることになりました。また、マスクなど衛生用品の調達においても、SAP Aribaのメリットを実感することができました」と川端氏は振り返ります。

ユーザー目線に立った新たな施策とSAP Aribaの国内関係会社への横展開

こうした成果の一方で、川端氏は「とはいえ初期段階のフェーズでは、ユーザー側に十分なメリットを感じてもらうだけの変化を生み出すことはできませんでした」と、現状においてプロジェクトは道半ばであることを強調します。そのため、現在はSAP Aribaを利用する現場のユーザーの目線に立って、次の3つの課題の解決に向けた取り組みを進めています。

購買機能集約・BPO活用

まず、「購買機能の集約」という課題です。SAP Aribaを導入する以前は、社内のいくつもの購買部門がそれぞれで調達業務を行っていました。そこでは、社内ルールはあっても解釈の違いで運用にバラつきが出るなど、どうしても非効率が否めませんでした。これを解決するために、現在は購買機能を1カ所に集約し、1つのプロセスで運用することを目指しています。
次に、購買コストの削減に向けた課題です。ここでのポイントは大きく2つあり、その1つが「パンチアウトカタログ」の活用です。パンチアウトカタログの機能は、SAP Aribaと外部のECサイトを連携し、ユーザーが直接仕入先のカタログを閲覧して手配できる仕組みです。この仕組みでは見積確認といった作業が不要となり、ユーザーの利便性が大きく向上すると同時に、ボリュームディスカウントによるコストメリットも期待できます。
2つめのポイントは、SAP Aribaで管理される支出実績をもとに、さらなるコスト削減の可能性を探ることです。導入から半年後、1年後の支出実績を分析し、取引先を評価・整理して、高い頻度で発注している取引先を優先的な調達先として設定する。また、支出額が大きな品目からコスト構造を分析して、サプライヤーとコスト交渉を行うなどの取り組みも進めています。
「カタログ利用の拡大によって、ユーザーには効率性を、部門には支出分析によるコストメリットを享受してもらうことが狙いです。今後は削減の余地のある品目からコストダウンに取り組み、ソーシングに反映するなど、継続して取り組みを進めていきます」(川端氏)

SAP Ariba の国内関係会社への拡大

最後の課題が、国内の関係会社へのSAP Aribaの横展開です。システムを導入した後も継続して進めてきたプロセスの標準化、効率化といった改革が定着し始めたことを踏まえて、現在は国内の関係会社への横展開という新たなフェーズに進むことができました。「SAP Aribaの導入プロジェクトは、Fusion25というダイキングループの5カ年の中期経営計画の中で進められています。ステップを分けて取り組まなければならないため一定の時間を要しますが、2023年度中にはすべての購買プロセスをSAP Aribaに移行することを目指しています」と川端氏は展望を語ります。
こうしたさまざまな取り組みが功を奏して、SAP Aribaの利用件数は年々増加しています。事業部によっては現在も独自の調達システムを運用しており、すべての間接財の調達がSAP Ariba上で行われているわけではありませんが、今後さらに利用が拡大していくことは間違いないと、川端氏は手応えを感じています。

購買業務のさらなる改革を目指して中長期的な視点に立った取り組みを継続

これまでの一連の成果を受けて、ダイキン工業では今後も購買業務改革の取り組みを継続していく考えです。その中で、川端氏はさらなる成果を導くために必要だと感じていることが3つあると話します。その1つめは、業務を再構築するに当たって、すべてをゼロベースから見直すことです。
「過去の経験や既存のルールに縛られていては、あるべき姿にはなかなか到達できません。社内ルールもゼロから見直し、標準化、共通化、自動化を徹底していくことが重要です」(川端氏)

更なる成果導出へのアプローチ

2つめは、中長期な視点で改革に取り組むことです。プロセスの再構築には時間がかかるため、長期的な視点で計画を立てて、しっかりとステップを踏みながら取り組んでいくことが重要です。
そして3つめは、プロセスの持続性(サステナビリティ)です。「購買プロセスは、いったん完成したらそれで終わりということではありません。現状をさらに改善していくためには、スタッフのレベルアップ、スキルアップも重要です」と川端氏は語ります。
今回のプロジェクトの実績を踏まえ、ダイキン工業では購買部門の組織強化や人材開発に取り組む必要性を強く感じているものの、その着手にはもう少し時間が必要だといいます。川端氏は「この点については、SAP Aribaの活用で先行する企業の皆さんの取り組みも参考にしながら、今後につなげていきたいと考えています」と抱負を語り、セッションを締めくくりました。

>>そのほかのSAP Sapphire Tokyoレポートはこちら

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