調達購買領域のレベル診断サービス(SAP Aribaベンチマークプログラム)のご紹介
作成者:渡辺 祐一郎 投稿日:2022年9月30日
企業の間接材領域の支出管理および調達購買の改革は、日本企業が大きく遅れている分野と言われております。私たちは、SAP AribaというSaaSソリューションを柱として、日本企業様へ世界のベストプラクティス(最良の方法)の枠組みをご提供し、大きなビジネス成果を生み出すためのお手伝いをさせていただいております。
SAP Aribaは、多種多様な商材やサービス、そしてオペレーションプロセスを一気通貫でカバーできるソリューションであると同時に、自社の調達購買の実績を蓄積・可視化しながら変革を実行していくためのプラットフォームにもなっております。
定量的評価
変革を進めるためには、まずは組織としてのゴールを定める必要があります。そのゴール設定においては、”SMARTゴール”という考え方を押さえておく必要があります。ここでいうSMARTとは、下記の5つのポイントの頭文字となります。
S Specific:具体的である
M Measurable:測定可能である
A Attainable:達成可能である
R Relevant:適切である
T Time:期限が明確である
しかし、間接材の調達購買改革を進めるにあたって、ここで1つの壁にぶつかります。
対象となる取引商材やサービス形態の多様性が高く、そして各サプライヤー様との関係において成り立つ間接材支出領域において、具体的に、何を測定すればよいのか、さらには、何がどのくらいのパフォーマンスであれば妥当なのか、という観点が極めて難解であることです。
例えば、
- コンプライアンス遵守と言われるが、注文処理の全体の何パーセントが、事前に締結された契約やカタログを通して購買されるべきなのか
- 業務効率の向上を目指すとしても、サプライヤー様からの請求処理の何パーセントが、(SAP Business Networkのような)電子取引が実行されるべきなのか
- コスト削減と言われても、ソーシングプロジェクト1回当たりのコスト削減比率は、どの程度と想定できるものなのか
といったような疑問が、どんどん出てきてしまうのではないかと思います。
そんな時、SAP Aribaベンチマークプログラムの出番となります。
SAP Aribaは、多種多様な業界を跨いで世界中でご利用いただいているSaaSソリューションです。お客様のソリューション活用方法、そして調達購買業務に関する膨大なパフォーマンスやデータが、十分に匿名化されたデータレベルで蓄積され、それに加えて過去にSAPが実施してきた世界中のお客様への大規模調査からの情報も組み合わせ、最終的に「126種類の定量的な管理指標を定めて形式化したもの」が、このプログラムの核となるベンチマークデータとなっております。
SAP Aribaを既にご利用いただいているお客様には、追加費用なしで、ご自身の詳細パフォーマンスデータに加え、上記観点でのグローバルでの各種パフォーマンスの平均値、さらには、優れた企業の基準としての上位25%の閾値、反対に下位25%の閾値を的確な表やチャートを用いてビジュアル化した形で提供することができます。
また、必要に応じて、バイヤーの業界別のパフォーマンスも提供できますので、より精度高く、お客様が比較すべき対象・目標とすべき数値を入手いただけるサービスとなっております。
定性的評価
一方で、調達購買のビジネスプロセスの評価は、すべてが定式化された管理指標に落とし込めるわけではありません。SAP Aribaのベンチマークプログラムでは、調達購買のビジネスプロセスを30個の領域に分け、それぞれ客観的な観点で5段階の基準を定めました。それぞれの基準値に対して、お客様が自社の現状と照らし合わせることで、数値化が難しい領域においても、客観的な評価や現在地の把握および的確な目標設定を実施できるようになっております。
例えば、「取引サプライヤーのパフォーマンス情報を用いた改善活動」という評価領域では、サプライヤー毎のパフォーマンスを積極的に管理できているか?という切り口で、下記の5段階で評価ができます。
- レベル1:サプライヤーのパフォーマンスを管理するプロセスが無いか、極めて限定的な状態。
- レベル2:少数の戦略的または高価値サプライヤーのみに対してパフォーマンス管理しているが、実績を測定するプロセスは手動であり、オンライン(自動計測)ではない状態。
- レベル3:標準かつ自動化されたプロセスが取られており、さまざまな定量的および定性的指標でサプライヤーを監視および評価し、パフォーマンスについて定期的にサプライヤーに通知している状態。
- レベル4:複数のソースからデータを集計することによってサプライヤーを監視および評価するプロセスを完全に自動化している状態。またサプライヤーに評価書(スコアカード)を自動的に公開および共有して、SLAに対する実績をリアルタイムで通知している。さらにパフォーマンスを改善(是正措置)させるためのチームが存在している状態。
- レベル5:社内だけでなく、外部ソース(ソーシャルメディア、ブログ、ニュースフィード、価格指標、業界のベンチマークが統合された市場データなど)から収集されたデータや知見も加味した統合サプライヤー管理ダッシュボードを活用している。また、今後のパフォーマンス改善に向けての実施推奨事項を記載した評価書(スコアカード)をサプライヤーに自動的に公開および共有している状態。
このように、グローバルでの調達購買のベストプラクティスをベースとして、客観的な基準の下で、自社の現状を評価することで、広範で多面的な間接材調達購買のビジネスプロセスの中で、自社の強みや課題を簡単に可視化できるようになります。
まとめ
変革の余地が大きいと言われる間接材調達購買の領域において、適切な管理指標と目標の設定を行い、継続的に進捗管理をしながら変革を推進することは、大きな経営効果を生むための重要な要素です。SAP Aribaをご利用いただいている世界中のお客様の叡智から成るベンチマークプログラムを是非、ご利用ください。お客様の目標達成に向けて、大きく役立つものと信じております。
WHAT GETS MEASURED GETS DONE. (成果が測れるものは、必ず成し遂げることができる)