SAP S/4HANAのアップグレード基礎知識【前編】:ファンクショナルアップグレードとテクニカルアップグレード

作成者:野上田 亮 投稿日:2022年10月6日

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SAP S/4HANAのアップグレードに関する基本情報をご紹介するブログシリーズの前編になります。なお、本ブログの内容は2022年10月の技術情報に基づくものであり、将来変更となる可能性があります。

前編 ファンクショナルアップグレードとテクニカルアップグレード

後編 SAP S/4HANAアップグレードの事前影響分析

SAP S/4HANAのアップグレードの意義

SAP S/4HANAは2015年にリリースされて以来、毎年メジャーリリースアップを提供してきており、各リリースごとにFioriアプリやAI/機械学習を活用したインテリジェント機能等、様々な機能が追加提供されています。また、インテリジェント・サステナブルエンタープライズの中核として、最新のSAP S/4HANAにアップグレードすることにより、CO2排出量測定等の新たな企業環境への適応やAI/機械学習等の新技術の活用が可能となります。保守期限切れの対応のみならず、SAP S/4HANAを最大限活用するためにアップグレードを実施するにあたって正しいアップグレード手法を理解していただくことが重要です。

SAP S/4HANAのリリース計画

SAP S/4HANA 2023以降のリリース方針およびメンテナンス方針が変更となっております。詳細は以下をご覧ください。
New SAP S/4HANA Release and Maintenance Strategy to Deliver Greater Innovation and Flexibility

SAP Maintenance Strategy

SAP S/4HANA(オンプレミスまたはプライベートクラウド)は、メジャーリリースとフィーチャーパッケージスタック(FPS)/サポートパッケージスタック(SPS)からなります。SAP S/4HANA のメジャーリリース後は、機能パッケージスタック (FPS)により機能追加と修正、 サポートパッケージスタック (SPS) により修正が提供されます。

正式な出荷実績及び予定は、PAM(Product Availability Matrix) およびSupport package stack maintenance scheduleにて随時更新されます。

テクニカルアップグレードとファンクショナルアップグレード

SAP S/4HANAをアップグレードするためのアプローチとして大きくテクニカルアップグレードとファンクショナルアップグレードの二つのアプローチがあります。

テクニカルアップグレード:バージョンアップに最低限必要な対応のみを行なうアプローチでより短期間・低コストで最新のSAP S/4HANAにアップグレードすることができます。

ファンクショナルアップグレード:テクニカルアップグレードに加えて、最新機能の有効化やSAP S/4HANA外で使用していたモジュールをSAP S/4HANA内に取り込むといった追加の作業を同時に行なうアプローチです。

ファンクショナルアップグレードで追加で活用する機能の例は以下の通りです。

ファンクショナルアップグレードはテクニカルアップグレードに比べて、長期間および高コストとなりますが、より大きなビジネス効果を得ることも可能です。また、テクニカルアップグレード後に最新リリースとなったSAP S/4HANAを活用して、継続的に改善を行なっていくというアプローチもあります。

アップグレードプロジェクトのアプローチ

SAP S/4HANAのアップグレードは確立された手順・ツールがあるのでプロジェクトの計画は立てやすいものとなります。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • プロジェクト準備段階で各種ツールを活用し、アップグレードによる影響分析や機能拡張の可能性を検討します。(各種ツールについては本ブログの後編でご紹介します)
  • 新機能の活用等は評価フェーズの変更要件定義で検討します。サンドボックスのアップグレードを行ない、具体的課題を抽出・分析して対応方針を決定します。
  • 開発環境から順次アップグレードし、開発環境上で修正を実施し、検証環境でテストを実施します。
  • アップグレードプロジェクト期間は現行運用環境のメンテナンスは凍結が必要となります。それを避けるためにアップグレードプロジェクト用のランドスケープ(サンドボックス、開発環境、検証環境)と現行運用環境のランドスケープ(開発環境、検証環境、本番環境)を分けることという手段もあります。その場合には現行運用環境とアップグレードプロジェクト用の環境の二重メンテナンスが必要になります。
  • アップグレード前後の作業手順の確認やダウンタイムの最終計測・調整のため、リハーサルを実施します。
  • アップグレードにおけるダウンタイムを短縮する手段もあります。詳細はこちらのブログをご覧ください。

アップグレードプロジェクトのタスクとスケジュールのイメージは下記のようになります。

アップグレードプロジェクトの計画立案には以下の情報源が有効です。(ただし、英語版のみ)

SAP ActivateにおけるSAP S/4HANAのアップグレードのRoadmap Viewer
Upgrading SAP S/4HANA – How, Why, and Best Practices

まとめ

SAP S/4HANAのアップグレードの概要と二つのアプローチについてご説明しました。 次回はアップグレードプロジェクトを計画する上で非常に有用である事前分析ツールについてご説明します。

後続のブログ投稿
後編 SAP S/4HANAアップグレードの事前影響分析

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