化学企業のグローバル経営管理の第一歩~ITを活用した管理指標の統一と可視化~
作成者:SAP編集部 投稿日:2013年10月25日
連載の第3回目は「グローバル経営指標管理」をテーマにお話させていただきます。わが国の化学企業がグローバルでビジネスを展開し、確実に利益を生み出すには、国や拠点を超えた世界共通の経営マネージメントと、その基盤となる共通言語=グローバル経営指標が不可欠です。今回は、その実現のヒントについてご紹介したいと思います。
まずは、こちらのビデオをご覧ください。化学業界に起こっている変化/要求に対し、SAPのテクノロジーがどのように対応するか、2分で簡潔に解説します。
複雑化する経営環境下、グローバルな経営管理が求められている
例えば、10年前に比べ、日本の化学会社の現地法人の数は飛躍的に増えているはずです。これは、弊社の既存のお客様による海外展開に関するご相談の数が増えていることからもうかがえます。
これまでの販売拠点から生産拠点に業容が拡大されると、人・物・金・情報がより複雑に動くようになります。アジア、ヨーロッパ、アメリカという大きな視点と同時に、国ごとに違う目標と戦略を組み立てて実行する必要があります。たとえば、市場価格や品質、デリバリーに対する要求が異なります。化学会社の中でも規模の大きい自動車業界や電気電子業界のお客様は、日本本社で集中契約をし、現地でデリバリーを要求してきます。
安価な汎用品の原材料は現地で調達できたとしても、高付加価値の自社ノウハウが詰まった原材料は日本の自社工場や日本のサプライヤーから購入して輸出し、現地で製造して、第三国に輸出されます。このように、現地でのサプライチェーンも日本や海外の他拠点と連携しなければならなくなりました。多くの企業がシンガポールなどにアジア統括拠点を設けるようになったのもここ数年の動きといえます。
グローバル経営管理の第一歩は、経営情報の可視化と標準化
日系企業は欧米企業に比べるとまだ海外製造拠点の数が少なく、輸出型のビジネスが多いといえます。現地法人は輸入品を在庫して販売するわけですが、最終的にこのビジネスがグループ全体で本当に儲かっているかを分析することは容易なことではありません。なぜならば、日本で原料調達・生産、輸出するまでの利益とコストは見えていたとしても、フレイト、通関手数料、保管料、在庫数量、最終価格、リベート、現地法人のマージンなどは本社からはブラックボックス化してしまいます。
一拠点で調達・生産・販売が独立完結している場合でも、現地から月次レポートだけでは、その事態を細かく素早く把握することは容易ではありません。
これまでの経営は、日本は日本で、現地は現地で利益最大化をめざす、というスタイルが主流でした。これからは、国を越え、法人を越えて、事業部をまたがり、どのビジネスにおいてどこで費用が発生して、全体として適正な利益が確保されているのかをみる必要があります。
ここで問題となるのが、費用項目の定義や計上の仕方が同じかどうかです。化学会社の場合、山田化学(仮名)のA事業部から供給された化学製品を、関連子会社のB事業部が原料として使用し、最終製品を製造し、物流子会社を通して輸出し、現地法人のABC company (仮名)が在庫し再梱包して最終顧客に届けます。
現物が今どこにどれだけあるのかを把握するだけでも大変ですが、棚卸資産計上の手順、費用項目・減価償却の仕方などが同じ基準で行われていないと、正しい足し算引き算ができないし、他のビジネスや同事業を行う他拠点と比較した分析もできません。いわゆる管理会計のための統一勘定の必要性がここにあるわけです。
従来の財務諸表にとどまらない、あらゆる情報から世界を把握する
一般的に、財務諸表に関する項目はグループ・グローバル経営において重要な指標として注目されますが、研究開発の効率性、人材育成、設備稼働率、労働安全、廃棄物・排出物、納期順守率、クレーム処理スピード、などに代表される日々のオペレーション上の重要項目がグローバルでモニターされアクションがとられているケースは多くありません。
企業のグループ全体の戦略に基づき、ROEやROAなどの数値目標が決まってから、コスト、利益、在庫、資産などに分解し、それぞれを各事業部の各国の販売・製造拠点にまで目標値を落とし込み、性格の異なる、出所の異なる膨大なデータを日々モニターする仕組みは、夢の仕組みなのでしょうか?
いえ、実は欧米の大手化学企業の多くはもう10年以上前から実践しています。
最先端のIT を活用して、世界を制する経営指標管理を目指す
現代ではテクノロジーの進歩のおかげで10年前、15年前では想像もできなかた低コストとパフォーマンスで、世界中のデータを集め、自動処理し、分析し、検索することが可能になりました。この進歩を享受するのはいわゆる情報システム部の方だけではなく、営業や物流など日々お客様と接し、あらたなビジネスを作り出す人々に、これまでよりはるかに簡単に情報武装させてあげることができるようになったのです。
私たちSAPの最新テクノロジーと、世界規模のビジネスの経験値を活用して、世界市場で利益を生み出すための共通言語を共有していきましょう。
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