宇宙から見たビジネス#13:SDGsとの関係

作成者:福岡 浩二 投稿日:2023年3月10日

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宇宙に関連するビジネス情報をお届けするシリーズです。

まず、宇宙に関心のある方は既にご存じと思いますが、3月7日午前に、日本の基幹ロケットH3が種子島から打ちあげられました。
打ち上げ後の第1段と2段エンジンの分離まではほぼ予定通り進行していましたが、2段のエンジンが着火せず、残念ながらうまくいきませんでした。 成功は次回に持ち越しです。

投稿時点では、電気系統に問題があったという報道が流れてますが(出所)、原因が解明されたら、ぜひともその知見を次回の改善に努めてほしいです。

改めてH3ロケットの意義を伝えておくと、過去の投稿でも触れたとおり、ビジネスとしての価値を目指したものです。

すでに企業の規模を問わずロケット/衛星の開発競争がグローバルで進んでおり、派生的に新たな産業も期待されています。(分かりやすい例で言えば宇宙旅行やそれに伴う保険とか)

ただ、そういった企業に所属していなくても、宇宙は社会を構成する個々人にも関係してきます。。

今回は、その中で比較的日常でも使われるようになった、SDGs(持続可能な開発目標)を題材にそのつながりについて紹介します。

SDGsとは?

この言葉の定義を説明するまでもなくなりましたが、念のためさらっと説明しておきます。(参照元はこちら

2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,17のゴール(下図。リンク先は国連サイト)・169のターゲットから構成される国際的な目標です。

前身のMDGs(Millennium Development Goals)からのバージョンアップという見方も出来、その中でも大きな差分は「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている点です。

国家単位での進捗はこちらで毎年公開されており、日本は、投稿時点での最新版2022によると19位です。(大体順位は毎年この前後です)
全体順位を云々評価するよりは、それを構成する17のうち、各組織が注力する領域の進捗が重要ですが、なによりもこれによって世界共通で会話する土台が出来たのが意義深いと思います。

SAPでも、SDGs推進を掲げて、そのなかでいくつかを重要項目として推進しています。かつ、パートナーとしてそれを国際的に推進する活動にも従事しています。詳細に興味のある方はこちらをご参照ください。

今回は、これらSDGs17つのゴールのなかで、宇宙と関連するものを2つに絞って紹介します。(番号はSDGsゴールで決められたものに準拠しています)

5.ジェンダー平等を実現しよう

このゴールについては、アルテミス計画がそれを象徴する代表的な取り組み例です。

以前にもこちらでアルテミス計画の狙いについては紹介しましたが、ギリシア神話の女神からとったこの名前は、NASA(もっと言えば米国)が白人男性以外の有人着陸も目標に掲げています。

そしてもう少しこのゴールの解釈を広げると、「多様性の受け入れ」が宇宙領域でも取り組みが進んでいます。

例えばEUの宇宙機関ESAは、2022年に障がいを持つ方専用の枠を設けて実際に採用しました。1つだけそのニュースを紹介しておきます。

 初の身障者宇宙飛行士採用 パラ銅メダリスト―欧州宇宙機関(時事通信 2022/11/22)

宇宙への挑戦とそれに関連する取り組みでも、地上と同じような動きが起こっていると思ってください。

12.つくる責任つかう責任

これについては、「宇宙デブリ」と呼ばれるごみ問題が分かりやすいです。
地上では、個人・産業いずれからの排出でも清掃する仕組みがあり、不法投棄をすると罰せられます。
また、日本では製造物責任(PL)法に代表されるように、製造側がある程度消費においても責任を取るルールが整備されています。

ただ、宇宙空間については国境がなく清掃業者も限られ、そもそもその法律も整備されておらず、まさに今議論されて整備が進みつつある段階です。
以前にこちらで「宇宙デブリ」を中心に解説しましたので、詳細に興味を持った方は覗いてみてください。

今回はあえて2つに絞りましたが、解釈によっては、17個のゴールは全て宇宙開発及びそれに関係する活動に全て繋がってきます。

つまり「宇宙で直面する課題解決は、地球上での課題解決につながる」という言い方も出来ます。

今回とりあげた2つのケースでも、地上での考え方が宇宙空間にも適用された、ともみれます。
さらに後者は、まだ法律や倫理的規範すら未整備な領域であり、ここで国際的に議論された内容が地球上での問題(特にボーダー横断で起こる気候変動)に還元出来るかもしれません。

改めて、今起こっている新たな宇宙開発の取り組みは、SDGsの精神と同様に「誰一人取り残されない」活動ともいえると思います。


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