保守・メンテナンスサービス業務を利益につなげる予見分析テクノロジー

作成者:瀬尾 直仁投稿日:2013年11月29日

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SAPジャパンの瀬尾です。これまでの予見分析の連載では、予見分析のテクノロジーがビジネスの現場だけでなく、世界中の人々の生活インフラにまで大きな変革をもたらしていることを、いくつかの導入事例とともにご紹介してきました。今回から2回にわたり、予見分析を単なる分析・予測だけにとどまらせず、ビジネスの利益を生み出すツールとして活用している先進事例と、SAPの最新テクノロジーについてご紹介していきたいと思います。

Mechanic working under car

保守・メンテナンスサービスをコストから利益の源泉に転換する新たな視点

テクノロジーの発達により、すでにセンサー技術は低価格化を始めています。そして、今まで以上にさまざまなものからセンサーデータを取得できるようになりました。データの増加にしたがって今後ますます重要になるのが、いかにしてデータから洞察を得るかです。今までのようなデータの収集から一歩進んで、複数のデータを組み合わせて意味のあるデータにすることも重要になってくるでしょう。

システムを止めることなく稼働させ続けることは、サービスレベルによる顧客満足度の向上につながり、結果として企業価値を高めることにもつながります。一方で、この“止まらない仕組みを維持し続ける=保守・メンテナンスサービス業務”は、企業にとってコストセンターと見なされることが多く、経営効率と利益の最大化という視点からは抑制の対象になりがちです。

そこで、予見分析によって利益を生む仕組み=プロフィットセンターを作ることに成功した事例をご紹介します。ショベルカーやブルドーザーなどの建設重機を世界各国に供給している国際的な重機メーカーです。こうした重機は一般的に納入されてから20~25年は使用され続けるため、メーカーもサービスパーツと呼ばれる交換・補修部品を、その期間にわたって生産・供給し続けなくてはなりません。とはいうものの、全世界に相当な台数を毎年納入しているため、サービスパーツの点数も膨大です。また故障は予期せず起こるので、迅速な供給のための在庫と物流システムも確保しておかなくてはなりません。この重機メーカーでは、予測できないがゆえに削減不可能だった保守サービスのコストを、予見分析テクノロジーによって積極的にコントロールしようと考えたのです。

相関分析でエンジントラブルなどの発生タイミングを高精度に予測

下図の例は「トラクターの信頼性分析と故障予防」です。SAPの予見分析ソリューションであるSAP Predictive Analysisソリューションを使って、どんなタイミングで故障のアラートが出るのかについての相関分析を行います。

下図の中のグラフ「Predictive Analyticsによる相関分析」では、エンジン温度や油圧、二酸化炭素の排出量をセンサーで計り、折れ線グラフ化しています。そしてこのグラフ上にエンジントラブルの発生タイミングなどをマッピングしていくと、「グラフの傾斜角度が何度以上になるとエンジントラブルが起きやすいのか?」がセンサー情報の連携からわかるようになるのです。このほかブレーキを踏んだ瞬間の慣性圧など、さまざまなセンサーのデータから得たパターンを複数組み合わせ、故障との相関関係を分析することで、それぞれのパーツの故障発生率を高精度で予測することが可能になり、結果保守在庫のプロアクティブなコントロールが実現するようになります。

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リアルタイム分析との併用でデータ解析から対応行動までを一気通貫に実現

この重機メーカーのショベルカーやブルドーザーには、テレマティクスの機器が組み込まれています。エンジンなどの各部品にはそれぞれセンサーが付けられ、ここから収集された稼動データは、約5~7分に1回の頻度でテレマティクス端末を経由して本社に送信されます。このリアルタイムデータをSAP Predictive Analysisソリューションを使って過去の相関関係分析の結果と掛け合わせることで、「どんな時にどの部品が故障するのか」を予測するとともに、その予測情報に基づいたアラートを伝達するなど、データ解析から予防対応までをシームレスかつ迅速に実行できるようになります。

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ところで、重機が使われる広大な建設現場では、いつでも電波状況がよいとは限りません。では、どうやってリアルタイムにデータを送信するのでしょう。実はこれらの重機には、SAP Sybase SQL Anywhereの機器への組み込みの利用用途で定評のあるデータベースが組み込まれており、通信できない場所でもセンサーからのデータをどんどん蓄積していきます。そして、他の車両が近づいてきた瞬間に、WiFiのようにデータを飛ばし合ってお互いに保管し、本社と通信できる電波の届く場所までたどり着くと、そこからデータを送信するのです。電波環境の厳しい場所でも、よりリアルタイムに近いデータ収集・解析を可能にするため工夫です。

予見分析がもたらす生産管理、リスク管理領域のイノベーション

今回の予見分析の事例では、単純にどの部品がいつ故障するかとか、どれだけサービスパーツを生産しておけばよいかだけではなく、より利益につながる新しいメリットも実現しています。

たとえば、利用現場でしばしばトラブルを起こす部品があった場合、使用現場ではなく生産工程で何か問題が起きていなかったのかをさかのぼって調べることで、生産管理や品質管理までが可能になります。その結果、製品そのものの見直しにつながったり、ある一定期間に出荷された部品にトラブルが潜んでいることがわかれば、当然予測されるクレームにどのようなケアが必要かを、規模感とともに事前に把握することができます。運用保守の現場から得たデータを予見分析のフィルターに通すことで、エンジニアリングやリスク管理といった、社内のあらゆる領域と業務フェーズに改善と最適化がもたらされるのです。

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この事例から保守サービスはもはやコストセンターではなく、SAP Predictive Analysisソリューションのような予見分析テクノロジーを活用することで、プロフィットセンターに育てていける可能性があることが言えると思います。次回は、さらに詳しい予見分析の導入事例をご紹介します。

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