あまりに基本的な、ビッグデータの誤解とシンプルなルール (前編)


日本のビッグデータ元年はいつだ?

275535_l_srgb_s_glここ数年で「ビッグデータ」という単語をよく目にするようになりました。「分析力を武器にする会社を目指したい」「海外はもっと進んでいるらしい」「今年がビッグデータ元年だ」というように、ビッグデータはさまざまな表現で語られています。ビッグデータを有効利用するためのテクノロジーやインフラが整ってきた背景もあり、ビッグデータへの期待感がますます強まっているためでしょう。

海外(主に米国)の取り組み事例を見ると、規模の大きさやデータ活用の驚くべき工夫がみられるものも多くあります。ウォルマートは1時間あたり1.5ペタバイトのデータを集め、顧客ごとのプロモーションや仕入れ、配送方法を最適化しました。VISAカードは何千万件のカードトランザクションから、不正使用のシグナル検知の仕組みを実装しているそうです。Amazonも全顧客の購買傾向を分析し、自分に興味がありそうな商品をおすすめしてくれます。Amazonの売上の実に35%はこのおすすめによるものです(2011年)。Googleが400万人以上に使われているGmailを維持できるのも、同社の広告マッチング技術がインフラを維持する以上の収益をあげていることの証でしょう。

ビッグデータが活用されるのは、企業領域だけではありません。2012年の米国大統領選挙の結果予想では、政治の専門家が予想を外す中、統計家のネイト・シルバー氏が全米50州における選挙結果を完璧に的中させたことが注目を集めました。また、ドイツの名門サッカーチーム、TSG 1899 ホッフェンハイムは、センサーを両足、ボール、体、ポールなどの目標物に取り付けてトレーニングを実施。SAP HANAを使ってすべてをデータ化・可視化してトレーニングに役立てています。

では、日本ではどうでしょう。総務省の情報通信白書(平成25年版)では、ビッグデータを十分に活用した場合、年間7兆7700億円の経済効果が見込めるといいます。非常に大きな数字ですが、ほとんどの人にはまだ実感が湧いていないのではないでしょうか。 一方で、ほとんどのIT担当者にとって、実際に自分が行っている業務は過去とそれほど大きく違うわけではないことにギャップを感じるでしょう。何かがそんなに劇的に変わっているのでしょうか?クラウド活用も増えましたが、依然としてレガシーシステムが占めるポーションが大きく、サーバーメンテナンスやハードウェアの保守業務がなくなったわけではありません。この延長線上で、ある日出社してみたら、いきなりビッグデータが活用できるようになっていたりする未来があり得るのでしょうか。 残念ですが、それはあり得ません。ビッグデータの有効活用はある日突然できるようになるものではないのです。

ビッグデータは会社全体に変革を迫るような大きなイノベーションです。上から下まで巻き込んで、IT部門だけの話ではなく、マーケティング、営業、オペレーション、サプライチェーン、法務、人事などすべての部門が関わり、社としての変化能力が験されるトピックです。

次に、ビッグデータに対する3つの誤解を紹介します。

ビッグデータをめぐるよくある誤解

とにかく大量のデータを使えば成果が得られる
ビッグデータでは、とにかく大量のデータを使うということがクローズアップされがちで、それ以外の部分への注意が散漫になる傾向があります。しかし、本気でビッグデータに取り組もうと考えれば、そもそもそれが企業の競争優位性の確立や維持にどのように寄与するのか、顧客や取引先に与える影響はどうか、既存のシステムやオペレーションにどのような変容を迫るものか、法務上のリスクをどのように最小化するか、データを活用する組織体制や人材要件・リクルーティング・評価方法・キャリアプランニング、データ活用の進展のためのチェンジマネージメントはどのように行うか、など、論点は複雑多岐にわたります。決して魔法の杖のように、それ単一ですべてを解決する解ではないのです。テクノロジー上の選択肢が増える中で、IT担当としては常に情報感度を高くし、多くの技術についての理解が求められています。

ビッグデータ = HadoopMapReduce
Hadoopや、MapReduce環境はビッグデータ活用の際に選択肢に挙がるものですが、それは技術選択と実装における論点であり、全体の論点の一部に過ぎません。また、技術論の中であったとしても、Hadoop や MapReduce環境がすべての課題に対して最適な選択肢という訳でもありません。むしろ、単一のテクノロジーではなく、複数のテクノロジーの組み合わせをする方が現実的でコストも安いケースが多々あります。

当面は自社には直接関係のないトピック
ビッグデータを前にして、大きな役割を担うIT部門。しかし、ビッグデータの情報収集をしても、自社にどう生かしていけばいいのか悩むこともあるでしょう。「具体的な課題を整理し、ソリューションをデザインしてチャレンジしたい気持ちはある。けれども、出てくる話は海外のすごい事例や、自社のデータアーキテクチャーや既存のデータセットから極端に離れたものが多い。自社への適用は困難だ。」といったところでしょうか。この点に、いかに誤解が多いか、本当はどんな多様なユースケースがあるかは、【IDCレポート】ビッグデータのトレンドと課題、そしてテクノロジーの役割に詳しく書かれています。

これらの誤解は、ビジネスサイドとテクノロジーサイドとのコミュニケーションの不十分さに起因するものです。先述の通り、ビッグデータは全社をあげた総力戦で取り組むものであり、データリテラシーやIT専門知識がないメンバーも巻き込まなければなりません。はたして貴社のIT部門は、ビッグデータとは何で、どう取り組んだら良いのか、分かりやすく説明する準備ができているでしょうか。

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