ウェアラブルデバイスが加速する近未来のエンタープライズモビリティ

作成者:井口 和弘 投稿日:2014年1月23日

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Manager using digital tablet in warehouseこんにちは、SAPジャパンの井口です。スマートフォンやタブレットPCなど、オフィス外でも利用できるさまざまなモバイルデバイスが、私たちの生活やビジネスの隅々にまで深く浸透してきています。この潮流はますます加速し、最近では“携帯する”と言うより“身につける”と表現すべきデバイスが数多く生まれてきています。

今回は「スマートグラスによるハンドフリーな倉庫業務」のコンセプトビデオを例に、これらウェアラブルデバイス(Wearable Device)と呼ばれる新たなモバイルデバイスがもたらす、エンタープライズモビリティの可能性についてご紹介したいと思います。

オフィス外の業務における「ハンズフリー」の意義

倉庫業務や設備・お客様先での保守作業など、オフィス外の現場で業務を遂行する担当者にとって、情報を活用しながら同時に両手が使えるということは非常に大きなメリットです。常に危険や瞬時の対応が要求されるこれらの業務において、手を使ったデバイス操作は大きな負担となるからです。このようなハンズフリー要件を実現するデバイスとしては、スマートウォッチ、スマートグラス、最近話題になったスマートかつら(ちょっと方向は異なりますが)などがあります。

なかでもスマートグラスは、その適用範囲が広く、大きな期待が高まっているデバイスの1つと言えます。今回ご紹介するコンセプトビデオは、パーソナルディスプレイ機器メーカーであるVuzix社が開発したスマートグラスを倉庫業務に適用したもので、「両手を自由に使いながら、モバイルデバイス(ウェアラブルデバイス)のメリットを享受できると、これだけ業務が楽に、安全に、そして効率的になる」ということを示す格好の例になるかと思います。

作業効率の向上:業務内容のガイダンスとチェック

では、実際にビデオの中で紹介されているシーンを見ていくことにしましょう。スマートグラスを装着した作業員がフォークリフトに乗って、倉庫内を移動します。メガネ型のデバイスであるため、通常通り両手を使って安全にフォークリフトを操作することができます。

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ウェアラブルデバイス(スマートグラス)を装着した作業員の視界

移動中、スマートグラスによって作業員の視野の中には業務を支援する各種の情報が表示されます。下記の写真のように、視野の中には通路番号や棚番号が表示され、右の上段にはこれからピッキングする品物のリストが、またその下には該当する荷物の置かれた棚への道順が表示されています。これらの情報は、倉庫システムからダイレクトにスマートグラスにもたらされ、作業員側で情報確認をするような操作は不要となっています。

目的の棚に到着して品物を手に取った瞬間、作業員が装着するスマートグラスのカメラが箱に貼付されたバーコードを自動的に読み取り、ピッキングした品物が正しいか確認します。間違った品物をピッキングしてしまうリスクや、指示通りの品物であるかを目視で確認する手間を最小化することができます。

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スマートグラスがバーコードを自動的に読み取って品物を確認

安全性の確保:プロアクティブなリスク検出とサポートコミュニケーション

通常業務の支援に加え、物理的な機器(たとえばフォークリフト)を使用する倉庫業務では、メンテナンスも欠かせません。スマートグラスはバックエンドのSAP Predictive Analysisと連携しており、プロアクティブなリスク検出にも効果を発揮します。たとえば、フォークリフトに取り付けられたセンサーが誤作動を検知すると、予防メンテナンスツールが異常箇所と故障予防のためのチェックを行うよう警告を発します。

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誤作動の検出とメンテナンスエリアへの移動指示

メンテナンスエリアで修理が必要と分かった場合、その場でオペレーターから具体的な修理方法を聞きながら作業できます。スマートグラスは修理センターともバックエンドで連携しているため、このようなインタラクティブなやり取りが可能で、両手で修理対応をしながらサポートを受けることができます。

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スマートグラスの画面を通じてサポート担当に修理方法を確認

ウェアラブルデバイスと連携したリアルタイムデータプラットフォーム

スマートグラス側(利用者側)の視点からそのメリットを見てきましたが、重要となるのは、ウェアラブルデバイスがバックエンドの企業システムと連携し、シームレスなリアルタイム環境を構成している点です。このようなリアルタイム環境を実現するのが、SAPの提唱する最新の「リアルタイムデータプラットフォーム」なのです。

機器のデータ収集から蓄積、予見分析、そして対応まで一連のワークフローをシームレスに支えるプラットフォームの存在が、スマートグラス単体では成し得なかった生産性向上、安全性確保に寄与し、飛躍的な進歩をもたらします。言い換えれば、リアルタイムデータプラットフォームによってシームレスに繋がったバックエンドシステムからフロントエンドのスマートグラス(ウェアラブルデバイス)に至る仕組みの中を、これまでには考えられなかったスピードで大量の情報が行き交い、企業の最前線で働く作業担当者の業務のスピードと品質を向上させるのです。

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SAP が提供するリアルタイムデータプラットフォーム

「ウェアラブルデバイスが加速する近未来のエンタープライズモビリティ」ということで、コンセプトビデオの内容をご紹介しましたが、いかがでしたか? 冒頭でもご説明したとおり、あくまでこのビデオは「近未来の倉庫業務」を想定したコンセプトビデオで、現実にこのような業務が実施されているわけではありません(現在、これらの機能の実現に向けたプロジェクトでは、プロトタイプの開発が行われている段階です)。しかし、エンタープライズモビリティの潮流は、現在その流れを加速しており、ウェアラブルデバイスとSAPのリアルタイムデータプラットフォームによるリアルタイムエンタープライズの実現は、もう手の届く段階に来ていると言っても過言ではないでしょう。

常に危険や瞬時の対応が要求されるオフィス外のビジネス現場において、両手を自由に使いながら、バックエンドの企業システムが持つデータやノウハウを利用したリアルタイムでのシステム活用が実現できる世界が、まさに到来しようとしています。今回のコンセプトビデオが現実のものになり、導入事例として皆様にご紹介できる日もそう遠くないでしょう。

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