「事業の多角化」や「市場環境の変化」に対応したAOKIホールディングスの新たな会計基盤


こんにちは、SAPジャパン経営管理ソリューション担当の高橋です。国内経済の景気回復の兆しがようやく見えてきたところですが、中長期的には各社各様のビジネス課題を抱えていることと思います。例えば成熟市場でリーダーシップを取られている企業では、いつまでもその地位に甘んじているわけに行かないため、新たな企業価値の創造と継続的成長のため、事業の多角化に踏み出されるケースもあると思います

今回は、2013年12月06日にSAPジャパンの本社セミナールームで開催された「UNDER ARMOUR と AOKIホールディングスに学ぶ、柔軟かつ高精度な予算策定・業績管理の仕組み」より、そんな多角化経営を推進されている企業、株式会社AOKIホールディングス 経営管理室の久保様の事例セッション内容をベースに、多角化経営を推進することによる経営管理上の課題と、その解決策についてご紹介します。

多角化経営の弊害:各社の独立システムのためにグループ経営情報の把握に費やす多くの時間と手間

Businesswomen walking on bridgeAOKIホールディングスは、言わずと知れたベストスタイリングストア「AOKI」とニュータイプスーツストア「ORIHICA」を展開する株式会社AOKIの持株会社です。さらに、ファッション事業以外に、「アニヴェルセル」のブランドで有名なブライダル事業、カラオケやカフェ運営などを行うエンターテイメント事業の「VALIC」を展開されており、「生命美の創造の実現」という事業コンセプトのもと、これら複数事業のシナジーによって、安定したビジネス基盤を実現されています。

一方で、多角化経営を行うことによる、課題を抱えていらっしゃいました。同じ思想のもとで一体経営される事業群ではありますが、業態や業容は全く異なり、各社がそれぞれに最適と思われる異なる会計システムを構築していたため、グループ経営に必要な情報を集めるには、各社の管理部門が各自のシステムからデータを抽出、加えて各部門から定性・定量情報を集めながら加工・調整し、さらに本社部門がそれらを集計・加工して、ようやくグループ全体の経営情報が見えてくる。そのため、管理会計用の定期レポートの作成には多大な工数を費やしますし、定期レポート以外に経営層から「この数字が欲しい」と言われた場合、収集・報告までに時間がかかるだけでなく、場合によっては、適切な情報が出せない場合もありました。

しかし経営判断に必要な情報が見えなければ、グループ経営の舵取りはできませんので、現場は人海戦術でできる限りのレポートを作成します。その結果、つぎはぎのデータは一部で不整合が起きたり、裏付けとなる根拠が曖昧となるので、経営者はそれらを加味した上で、判断を下すしかありません。

AOKIホールディングスでは、これらの問題を解消し、今後のさらなる店舗拡大や将来的なグローバル化の可能性を見据えた「変化に強い仕組み」として新しい会計システムの構築を決断。SAPジャパン、コベルコシステムと共に、システム構築プロジェクトをスタートされました。

管理会計における課題:経営判断が可能となる情報には各事業の「色」に対応する必要あり

AOKIホールディングスでは、新システム導入にあたり、どんな事業であっても標準的な仕組みで統一的に管理すべきである「制度会計(財務会計)領域」と、各事業の色によって見たいデータの種類や粒度、括り方や頻度といったKPI(Key Performance Indicator) が異なる「管理会計」領域を区別され、それぞれのシステムに求められる「統制力」と「柔軟性」を共生させるために、採用するパッケージシステムを分けることを選択されました。(もちろん連携はさせます。)

事業別の色とは、例えば小売業では天候やイベントに売上が左右される為、週次で営業利益を算出し、その数値を基に次週の売上目標の設定・販管費のコントロールを行っています。このように、管理会計をきちんと経営に活かそうとすると、財務データだけでなく非財務データも必要になりますし、実績だけでなく計画や見込みとの対比も重要になります。さらに、経営者がタイムリーにこれらの情報にアクセス可能である必要があり、売上や営業利益といった経営判断に必要な数値を把握するにあたり、制度会計と合わせて月次の締め作業を待っていたのでは、判断のタイミングとして遅すぎるのです。

AOKIホールディングスにおいては、1つの管理会計システムでグループ全体のデータを一元的に収集・管理しながら、見せ方として各事業の要望に対応できる柔軟性が重要だったといいます。また、このシステムやデータが「使われる仕組み」となるよう、現場が使い易いインターフェースを備えていることも重要なポイントでした。

同社では、日常的に各種分析を含めてEXCELを多用したオペレーションが行われているため、現場はEXCEL機能にはすでに習熟したノウハウを持っていましたので、複数事業管理に対応可能な柔軟性、店舗拡張などの企業成長に応じた拡張容易性に加え、EXCELをデータの入出力を行うフロントエンドツールとして使用可能であるSAP Business Planning and Consolidation (以下、SAP BPC)が新管理会計システムとして採用されています。

SAP BPCによるデータ収集の自動化/一元化とタイムリーな経営情報へのアクセスの実現

AOKIホールディングスでは、SAP BPCをベースとした「新会計システム」の構築により、データ抽出から加工まで一貫した流れをシステムで実現でき、プロセスの多くを自動化、事業会社〜ホールディングス間での情報の流れがシームレスに繋がり、人が介在することによる遅延や品質の劣化などがなくなったと言います。

またデータが一元化されることにより、何度も繰り返されていた経営戦略部門と各部門間でのやりとりが効率化。経営戦略部門は作業負荷が大きく軽減されたことで、本来注力すべき戦略立案や計画立案に、より多くの時間を割り当てることが可能になりました。

経営情報の活用による攻めの効果はこれからですが、守りの導入効果としては、すでに以下に示すような具体的な定量効果を上げて頂きました。

  • 月次レポートや計画策定作業工数の削減 20~30%
  • データ連結時の確認・調整などの作業工数の削減 20~30%
  • 経費管理担当者1人当たりの管理店舗数 10%増加

※AOKIホールディングス様の新会計システム導入事例(SAP ERP+SAP BPC)は、こちらもご参照ください。

国内経済が回復傾向にあるとはいえ、事業の多角化や海外需要の取込み、それに伴うグループ企業や管理拠点の増大など、企業存続のためには不可避と思われるこのような潮流がある中、グループ全体の経営情報の把握や活用は、競合との競争力の源ともなりうる重要課題となっています。SAPはそれらの課題を解決する手段をご提供していますので、経営管理における課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

次回は、AOKIホールディングスも導入されたSAPの予算編成・業績管理ツールSAP Business Planning and Consolidationの具体的な機能や活用方法についてご紹介します。

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