ERPに溜まったデータを可視化して“経営に貢献するIT”を実現するには?-第3回(最終回)


こんにちは。SAPジャパンの八木です。「ERPに溜まったデータを可視化して“経営に貢献するIT”を実現するには」というテーマで始めた本連載も今回が最終回です。

前回までの内容はこちら
ERPに溜まったデータを可視化して“経営に貢献するIT”を実現するには?-第2回
ERPに溜まったデータを可視化して“経営に貢献するIT”を実現するには?-第1回

前回までは、ERPに溜まったデータの可視化プロジェクトを進める上での目的明確化のステップ、フィナンシャルシート(以下:F/S)を意識したビジネスプロセスにおける具体的なKPIの例について、さらに可視化する領域ごとの要件特性についてご紹介させていただきました。今回は、可視化ツールの特性およびSAP Solution Managerの活用について、ご紹介させていただこうと思います。

可視化ツールの特性

第2回で記載した“可視化要件”に対応するためのツールは市場に多く出回っていますが、2種類のタイプが存在しています。1つはERPなどのデータソースに対してデータを定期的に抽出して表現するBI系ツール。もう1つはビジネスプロセスにおける伝票登録やステータス更新のたびにそのログ情報を外部ツールに送って可視化を実現するBAM(Business Activity Monitoring)系ツールです。両者とも分析も監視も一通りできるとうたっているものが多いですが、“分析のために生まれたBI系ツール”と“監視のために生まれたBAM系ツール”ではルーツが違うため、その機能の充足レベルには未だ差があり、状況に合わせた使い分けが求められます。

BI系ツールは歴史も古く、昨今ではETLなど開発の効率性や自由度を上げる分野の機能拡張が進んでいると同時に、事前定義型されたKPI(キューブやデータ抽出の標準シナリオ含む)などのパッケージ化も進んでいます。下記はBI系ツールにおいてデータを表示するまでのデータの流れと開発ポイントをまとめた図です。

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BI 系ツールのデータの流れと開発ポイント

BI系ツールはデータ抽出、データ貯蓄、データ出力という3ステップの流れがあります。抽出・貯蓄・表示において要件の固有性が高いものは開発せざるを得ないですが、固有性が低いものは事前定義されたKPIや標準のフレームワークをうまく活用することで実装コストを削減するように進めたいところです。ベンダーによっては複数製品を連携することでこの3ステップを実現するというソリューションもありますが、3ステップの流れの中で製品をまたぐものはその都度I/F開発(カスタマイズで済むものからコーディングが必要なものまで)から逃れられないことを心に留めておく必要があります。

BAM系ツールは、ビジネスプロセスで起こるイベント(伝票作成やステータス更新など)に対し、伝票明細や荷役単位、ロットなど様々な粒度で必要に応じてBAM製品にログ出力(注記1)するという仕組みのため、イベントの予実管理、アラート機能や追跡機能が充実している一方で、ログ出力ポイントをどこにすべきかの設計が導入成果を決める大事なポイントになります。

注記1 この場合のログ出力とは、「伝票9999のステータスを○○に更新した」程度のアクションログを指しています。

ここまでの情報(第2回を含む)をまとめますと、以下のようになります。

  • F/S領域はBI系ツールで効率的な開発を目指す
  • ビジネスプロセス領域は、BI系ツールで出来る限り事前定義KPIなどを有効活用する
  • コアビジネスプロセス領域は、BAM系ツールなどを交えUI、アラート要求にも配慮する

SAP Solution Managerの活用方法

SAP Solution Managerは、Business Process Operations(以下、BPO)の機能によってビジネスプロセスの迅速な可視化を実現します。具体的には第2回(可視化要件の特性)で述べた、分析内容および実装内容の固有性が低い標準的なビジネスプロセス領域における課題を、低コストで可視化をすることに適しています。

BPOはERPの代表的なビジネスプロセス (SD/MM/PP/FI) に対してBPOが考える3つの観点、「スループット」「バックログ」「リードタイム」を網羅した1,000を超える事前定義されたKPIがすでに準備されています。スループットとは情報量(伝票数)の多さ、バックログとはプロセスにおける滞留、たとえば納期遅延や伝票のステータスブロックなどを意味し、リードタイムとはプロセス間のスピードを示します。具体的に受注から売掛金回収までのビジネスプロセスにおける代表的なKPIは下記のとおりです。

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受注から売掛金回収までのビジネスプロセスにおける代表的なKPI

プロセスごとにスループットを増やすべきか減らすべきか、リードタイムは短い方がいいか長い方がよいかを意識しながらアクションをとっていくことがF/Sの改善につながります(買掛金の支払いリードタイムは長くし受注スループットは増加させるべきだが、返品スループットは減少させるべき、など)。また、BPOは業務ユーザーが利用することを想定しているためInternet ExploreのUIを用いてダッシュボードから詳細分析、詳細分析から一覧画面、さらには個別伝票のジャンプまでを標準の仕組みの中で実現します(本稿最下部のデモ動画を参照ください)。これにより単なる傾向の把握だけでなく、具体的な対処につなげることが可能となります。

一般的なBI製品において必要な開発(ソースシステムからのデータ抽出I/Fの開発、データ格納キューブの開発、キューブから表示までのクエリー開発)は、BPOの技術フレームワークが吸収しているため、KPIを選んで有効化すれば即グラフ表示が可能になります。

すでにBAM系製品を導入されているお客様に関しても、F/Sとビジネスプロセスの連携の架け橋として併用していただくことで、これまで以上にトップの掲げる目標の実現に向けて邁進しやすい環境が整います。業務改善のための可視化基盤を迅速に実現するツールとして本製品のご利用をご検討していただけますと幸いです。

全3回にわたって「ERPに溜まったデータを可視化して“経営に貢献するIT”を実現するには」というテーマで連載させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

詳細の情報及び有償サービスに関するお問い合わせは下記になります。お気軽にお問い合わせ下さい。

SAP Solution Manager BPO 機能紹介(デモ動画含む)はこちら

機能概要資料 : http://service.sap.com/~sapidb/011000358700000786612013J
デモ動画 : http://service.sap.com/~sapidb/011000358700000787182013J

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