財務業務改革が企業の基礎体力を向上させる

作成者:SAP編集部投稿日:2014年2月5日

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Modern skyscrapers in downtown Los Angeles, USA世界水準の企業とそれ以外の企業との差は何か。一つに財務部門の効率性と生産性を指摘することができます。事実、世界水準の企業とそれ以外の企業における財務部門のコストと生産性のギャップは50%程度存在する、との調査結果がHackett Groupにより公開されています(「ファイナンスエグゼクティブインサイト」2013年1月)

さらにこの調査報告では、その生産性の差は、テクノロジーの活用に優れているかどうかに大きく依存しているとの結果が出ています。極端な例かもしれませんが、現金支払業務にERPプラットフォームやデジタル化、ワークフロー管理ソリューションなどのテクノロジーを使っているかどうかで、請求1件あたりの処理コストが倍以上異なるそうです(世界水準の企業においては、1件あたり2.23ドルですが、それ以外の企業においては5.17ドル)。

予算削減下で求められる大幅なパフォーマンスの向上

多くの企業において、財務をはじめとする間接部門は、業容や景気の動向に関わらず常にコスト削減と生産性向上の圧力を受けています。財務部門について見ると、過去3年間大幅な人員や予算削減の中で、年率4~6%の生産性向上が課題となってきました。その一方で、財務関連業務の難易度は高まりつつあります。原材料コスト、為替レート、需要変動、価格政策など、企業業績に影響を与える要因の不安定性が増しているからです。また、グローバル化の進展により、各ローカル市場での対応を含め、複雑さが非常に高まっています。

したがって、財務部門に対する生産性向上の要求はこの先も厳しくなることはあっても緩むことはありません。特に世界水準のレベルを目指す企業にとって、最重要課題の一つであることは間違いありません。

手間の削減、スケールメリットの追求、サービス提供モデル変革

このような課題に対するアプローチは、基本的に①手間の削減、②スケールメリットの追求、③サービス提供モデルの変革という概ね3つの手法によりなされます。

まず1つ目ですが、単純作業に関しては、トランザクションを自動化したり、外部からの問い合わせ対応などをセルフサービス化させるということで手間を削減することができます。財務部門スタッフの手を直接煩わせることをできるだけ少なくすることです。

2つ目は、財務部門が行っている業務の一部を専門特化したサービス提供部門に移管することにより、効率を上げる方法です。このサービス提供部門は、グローバルビジネスサービス(GBS)部門と呼ばれ、従来のシェアードサービスにおけるサービス範囲を大幅に拡張したものです。前述の単純作業などは限界費用が低いため、GBS部門に移管・業務集約することにより、スケールメリットを得ることが可能になります。

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3つ目は、財務部門が提供すべき付加価値やサービス提供モデルを再定義・変革し、コスト削減だけでなく生産性を向上させることです。経営戦略や投資の実行・管理などに関し、的確な財務データや見通し、その要因などをタイムリーに提供することができれば、企業全体の生産性底上げにつながります。そのためには、戦略指標抽出などに関わる業務プロセスの構築や見直しをグローバルで進めることが肝要です。

パフォーマンスを計測・管理していますか?

273919_h_srgb_s_gl手法としては既に述べたとおりですが、その際に大切なことはパフォーマンスを具体的に計測・管理することです。当たり前と思われるかもしれませんが、必ずしも十分実行されていないケースが少なくなさそうです。そればかりか、この計測・管理を行っている企業とそうでない企業にはやはり明確なパフォーマンスの差が表れています。

例えば、定期的な外部ベンチマークを行っているかという点では、世界水準企業の92%が実施していますが、そうでない企業では55%程度にとどまっています。バランススコアカード/戦略マップの実施有無に至っては、世界水準企業の92%に対し、それ以外は28%と大きな広がりとなっています。ちなみに、世界水準企業とそれ以外の企業における売上に占める総財務コストの割合でみると、世界水準企業が0.61%、それ以外が1.16%となっています。倍近い開きがあり、パフォーマンスに対する姿勢の違いが如実に現れていると言えるでしょう。

テクノロジーを使い倒す

総財務コストのギャップは、これまで述べてきたパフォーマンス向上アプローチの差異に基づくと考えられます。少なくとも、自動化やセルフサービス化など、手間の削減にかかわる部分においては、テクノロジー活用の差が大きく影響します。冒頭で述べた現金支払い業務(特に買掛金処理)では、幅広い技術が活用でき、それらを単純に活用しているか否かだけで大きな差がついていると見られます。

世界水準の企業においては、請求書1件あたりの平均処理コストが2.23ドルですが、それ以外の企業においては5.17ドルです。世界水準の企業では常勤従業員一人あたりの請求書処理件数が22,000件に対し、それ以外では12,000件です。それほど複雑でなく自動化余地の大きい財務サブプロセスについては、既存のビジネスソフトやERPなどで入手できることも多いので、活用の検討を進めることが重要です。

一方で、財務プロセス全体のパフォーマンスを上げるためには、場当たり的な対応ではなく、プロセスの再構築とデータの標準化などが必要となるので、経営陣のコミットを含むトータルな体制が必要となります。ただ、その場合でも最終的にはテクノロジーを活用し、プロセス全体の効率を上げられるような思想が重要となります。

以上、財務部門におけるパフォーマンス向上が企業のレベルを維持・向上するのに重要ということがわかりました。そのためには、テクノロジーの活用がカギとなります。いわば、テクノロジーをどこまで使い倒せるか、ということでしょう。そして演繹的ではありますが、テクノロジー活用のレベルが高いことと、財務のパフォーマンスの高さには相関関係があります。

いずれにせよ何らかの、テクノロジーへの投資が必然となってきます。従来の発想で、テクノロジーへの投資というと、かなり長期間で大きな投資をしなければならないというイメージをお持ちの方もいるでしょう。しかし現在、既存のシステムに追加する形で、比較的短期間に効果が発揮できるソリューションもあります。

その上で、予算、計画、予測、アナリティクス、レポート、コンプライアンス管理などの知識志向プロセスに対するテクノロジー投資の優先順位を上げていくことが、高い競争力の源泉として重要です。このような形で財務業務改革を行えれば、企業の基礎体力が高まっていくことは確実です。

参考:【ファイナンスエグゼクティブインサイト】財務変革を次のレベルに引き上げる

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