先が読める企業は「予測分析」を行っている


Businesspeople in a Cafe Discussing ReportSAPジャパンの瀬尾です。以前ご紹介したSAP Predictive Analysisに関する記事の中で、F1レースの名門として知られるマクラーレンの事例をご紹介しました。F1レースでは、最高時速300キロを超える極限状況の中で、車のエンジンをはじめとするあらゆる部品が正常かつ的確に作動することが要求され、それらがわずかでも変調をきたすと勝利はおぼつかなくなります。マクラーレンでは、120個にも及ぶセンサーを車体に取り付け、データ収集・分析を数秒の誤差なくリアルタイムに行い、「どのタイミングでピットインし部品交換やチューニングをするのが最善か?」といったベストモデルを予測分析しています。この予測分析に従うことで車体を最善の状態に保つことができ、現在ではほぼ90%の確率で勝敗を見通すことができます。

このように、リアルタイムに膨大なデータを収集・活用・分析し、将来予測や意思決定を実施することは、企業経営においても先進的な取り組みとしてあらゆる業種で始まっています。実際は、まだ先進的な企業が先行している感はありますが、今後の企業競争力を上げていくためには、より積極的に取り組まなければならないトピックと認識され始めています。

予測分析導入は8社に1

とは言うものの、予測分析は難しく、お金もかかるし専門知識や高度なスキルが必要で、導入するにはまだまだ及び腰という会社が多いのが現状です。2600社以上を対象にVentana Research社が実施したアナリティクスに関する調査では、ビジネスに活用した分析技術のうち、予測分析は第10位で、8社に1社程度にすぎないという結果でした。

では今後、予測分析を導入しようと考えている企業は、どのように検討していったらいいのでしょうか。それを、導入済み企業におけるベンチマーク調査からひも解いてみたいと思います。

マーケティングやセールス部門などでの活用が主眼

予測分析を導入済みの企業においては、その3分の2が活用に満足しているということです(満足している:45%、大変満足している:21%)。また、4分の3が予測分析の結果を信頼に足るものと見ており、導入効果がかなり高いものであると言えます。代表的な活用部門としては、マーケティング(65%)およびセールス(59%)がトップ2となっており、収益を生み出す直接的な領域で成果を出していることが、予測分析の有用度を高めていると考えられます。

使用されているデータで見ると、顧客情報(69%)、マーケティング情報(67%)、製品情報(55%)、営業情報(54%)、財務情報(51%)が全体のトップ5となっており、これらに加えソーシャルメディアデータの活用(40%)というのが多数派です。

具体的な活用イメージとしては、ショッピングサイトでリアルタイムに表示される、レコメンデーションをイメージするのがわかりやすいかと思います。お客様の購入履歴や閲覧行動を分析しておすすめ商品を提示しますが、さらに季節・天候などの外的要因、ソーシャルメディアデータなどを加え、リアルタイムに予測精度を上げていくというものです。もちろん取り扱い製品、対象顧客、事業形態や商圏情報などにより異なってはいきますが、経験値も増えていることから、マーケティングやセールスでの活用から入っていくことが間違いないと思われます。

導入・運用に関わるリソース(人など)の手当てが必要

予測分析ツールは、以前に比べれば簡略化・簡素化されてきており、その理論や原則を理解しなくても導入・活用することは可能となっています。実際、調査回答企業の半数では高度な専門知識を持ったユーザーはいないということです。しかしながら、予測分析の活用がうまくできている企業とできていない企業の比較で見ると、「人」に関わる部分での充足度が明暗を分けているという結果も出ています。つまり、予測分析を扱うに十分なスキルや運用面での「人」が足りていない企業では、予測分析の活用度も低いのです。

やはり、予測分析の設計・導入を行うにあたっては、ある程度のスキルを持った担当者を据えることが今の段階では望ましいと考察されます。あるいは、そのためのトレーニングやサポートを外部から受けられるかといったパートナー選択も重要となります。

予測モデルと利用データは迅速かつマメにメンテナンスすること

予測分析は生き物であり、常に現実社会を見ていないとゾンビのようになってしまうようです。予測分析に用いる分析モデルは普遍的なものではなく、時間の経過とともに変わっていくものです。調査結果によると、モデルの更新頻度が毎日かそれ以上という企業での満足度が最も高く、全体の24%に上っているということです。また、業務データのリアルタイムでのスコアリングの重要性も指摘されています。やはり満足度という観点から見ると、リアルタイムでのスコアリングを行っている企業での満足度は高く88%に上る一方、行っていない企業では50%以下ということです。

このようなオペレーションのためのリソースを意識的に割くことも、予測分析を有効にする重要なポイントです。

予測分析をトータルな情報アーキテクチャーに組み込もう

現時点では、予測分析はスタンドアロンに近い形で運用されていることが多いようです。それは、導入部門の割合として、業務部門が65%、IT部門が49%という調査結果からうかがい知ることができます。つまり、現業部門が独自に導入しているケースが多いということです。今後は、より多くのBIとの連携や、モデルやデータ更新をルーティン化するためにもトータルな情報アーキテクチャーの中に組み込み、システマチックな運用をしていくことが、予測分析の活用度を上げることに役立つと考えられます。

いずれにせよ、予測分析に対する期待は非常に高まっており、今後数年で企業への導入がますます進むと考えられます。取り組み対象としては、まずは、取り組みやすい分野としてマーケティングとセールス分野が多く見られます。また、ある程度のスキル(とくに自社のビジネスモデルを理解する能力)を持った担当者を設置するなど、「人」に対する投資は重要で、予測モデルとデータ更新体制とあわせて、リアルなビジネスを理解する能力をもった人材配置が望まれます。その上でトータルな情報基盤としての情報系プラットフォームに組み込んでいくことが最初のアプローチになるでしょう。

参考:【ベンチマーク調査】予測分析-将来に対する可視性の向上によるパフォーマンス改善

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