複雑なモバイル導入を「モビリティキャンバス」という概念で整理する


Businessman using PDA on trainLTE、無線LANなどの高速無線ネットワークインフラが充実し、デバイスもスマホやタブレットが当たり前となった今日、もはやモバイルなしで過ごすことなどもうできないという方が多いでしょう。一個人としてはいつでもどこでも1日24時間、仕事も遊びもできてしまいます。しかしながら、企業体(=エンタープライズ)という枠組みになるとどうもそうは行かないのが実情です。理論的には、サプライヤー、パートナー、顧客と緊密に連携することにより、効率、生産性、意思決定スピード、顧客満足度を向上させられるはずなのですが、現実は、エンタープライズスケールでこれらの活動をきちんとしたレベルでサポートしようとすると、かなり大掛かりな投資やメンテナンスが必要となり、一筋縄にはいかないようです。なぜなら、モバイル技術の進歩が急速であること、デバイスの種類が多種多様であることから、中長期にわたるモビリティインフラのあり方を描くことが難しいからです。コスト管理と技術革新リスクを吸収しながらモビリティのメリットを享受するためには、強固かつ効果的で体系的なアプローチが必要なのです。

モバイル導入はチャレンジ満載

現在までのところ、エンタープライズモビリティは発展途上であるため、成功事例など参考になるものは少ないのです。では何が課題なのでしょうか。以下に代表的な課題を挙げてみます。

  • デバイスによるアクセスの制約:
    導入、設定、アプリインストールなどをあらゆる機種で実行するのは非常に手間がかかるため、デバイスを限定せざるを得ない
  • 複雑化する相互運用性:
    増加するモバイルデバイスに対し、プロバイダー、保守、サポート、ソリューションを適合させていく作業は複雑化する一方
  • 厄介なセキュリティ:
    モバイルデバイスにつきものの紛失や盗難、不正アクセスの危険が大きいため、データ脆弱性を克服するとともに、柔軟かつ強固な管理の仕組みが必要
  • 財務管理:
    デバイスごとに従業員が個別に通信契約を行い、立替精算などを行うと予算管理や可視性が損なわれる
  • ニーズの競合:
    部門や職位などの違いにより、それぞれ異なるユーザーニーズと優先順位が存在

「モビリティキャンバス」という概念

では、こういった複雑な課題を調整していくためには、どうしたらいいのでしょうか。従来のIT部門主導の一極集中型アプローチでは限界で、ネットワーク型あるいはエコシステム型アプローチが必要になります。なぜなら、モバイルサービスの環境では、サプライヤー、顧客、パートナーなど、それぞれのニーズやメリットをトータルに考えていかなければならないからです。そのためには、しっかりした基盤となる計画が必要となり、これが「モビリティキャンバス」という概念になります。

モビリティキャンバスは、以下3段階の考え方から成り立ちます。

  1. モビリティ戦略
    まずは自社の事業戦略からモビリティビジョンを作ることです。そもそも、何のためにモビリティを導入するのか、そのための重要課題は何で、何を解決しないといけないのか。モビリティ管理フレームワークに落とし込みます。
  2. ビジネスモデル/プロセスへの影響
    次に、モビリティがビジネスモデルやプロセスに与える影響を分析します。一つは、業務プロセスなどの観点からモバイル化の可能性を見出し、もうひとつはヒトの観点からモバイル化の可能性を見出します。これを組み合わせて使用例としてまとめます。
  3. 技術上の実現
    この結果を受けて、技術的なオプションの優先順位をつけていくことが最終的に求められます。
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図:モバイリティキャンバスの全体像

4つのCで「モビリティキャンバス」を実現

モビリティキャンバスにおける技術上の実現項目を検討するには、接続(connect)、開発(create)、制御(control)、利用(consume)という4つの視点から考えることが必要です。

  • 接続:
    ERPはじめ、必要なビジネス情報を引き出せる情報管理プラットフォームを作ること
  • 開発:
    短期間で小規模の開発を意識し、ビジネスプロセスの特定部分をサポートしたり、多種多様なデバイスへの全面展開を実現すること
  • 制御:
    個々のモバイル端末とアプリをそのライフサイクル全体にわたって管理及び保護すること
  • 利用:
    種類が多く常に変化する広範なデバイスを管理すること

このように「モビリティキャンバス」を策定することにより、エンタープライズモビリティを体系的に管理することができるようになります。これを企業環境に取り入れるためには、「信頼できるパートナーの選択」、「モバイル戦略の策定」、「モバイルシナリオの特定」、「ロードマップの作成」、「モビリティサービスオファリングの構築」というプロセスで行うことがおすすめです。これにより、運用におけるさまざまな問題を管理しながら、モバイルテクノロジーのメリットを最大限に実現し、生産性や即応性、顧客満足度の向上をもたらすことができるようになります。

参考:モバイル化を成功させる包括的なアプローチ

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