製造現場の実行管理、工場の可視化を実現するMES
作成者:朝井 由記 投稿日:2014年4月1日
唯一生き残るのは、変化できる者である
「最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である」。これは何も生物学的な示唆に富むだけでなく、IT業界という変化の激しい業界で生きている我々にもまた深い示唆を与えてくれています。
顧客を変える、SAPが変える
読者の皆様こんにちは、SAPジャパンの朝井と申します。SAPにおいて主にManufacturing Execution System:製造実行システム(以下:MES)などの製造現場管理系のソフトウェア(以下、MFG)を担当しております。世界最大の業務アプリケーションベンダーとして世界中のさまざまなお客様の業務改革をサポートしてきたSAPもまた例外ではなく、変化の激しいIT業界で成長を遂げ、お客様のさらなる成長をサポートすべく自らの変革に余念がありません。SAPというとみなさまERPの会社というイメージが圧倒的に強いと思いますが、CRM(顧客管理)やSCM(サプライチェーン管理)、そしてMFGと、お客様の業務現場をサポートするソフトウェアも多く、私が担当するMESも世界中で多くのお客様の製造現場の管理・実行をサポートさせていただいております。
SAPの更なる進化
お客様やパートナー企業のみなさまにソリューションのご紹介をさせていただくとよく「SAPにもMESがあったのだ」と驚かれることがあります。しかし、ERPをリリースした当時と比べると状況が大きく変わっています。グローバル化の進展に伴う工場の多拠点展開や顧客要求の多様化、技術革新への対応のための製造現場における要件の高度化や複雑化が挙げられます。そのようなお客様をサポートすべく2008年にMESベンダーであったアメリカのVisiprise社を買収し、SAP Manufacturing Executionという名で世界中のお客様の製造現場の管理・実行をサポートさせていただいております。
MESを導入することによるメリット
では実際にMESを導入すると具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
弊社のお客様の事例を見てみますと、
- 迅速かつ詳細なトレーサビリティの確立
- 製造現場の可視化と問題への迅速対応
- 歩留やサービスレベルなどの各種指標の改善
- SAP ERPとのシンプルかつ迅速な連携
など、さまざまなメリットを享受されています。これは裏を返せばやはり、
- グローバル化に伴う工場の多拠点展開により情報収集が難しくなっている
- 各拠点のシステムがバラバラであるなど、本社や地域の基幹システムとの連携がうまく取れない
- 顧客の要求が高度化してきている
といった、お客様の課題の現れだと考えられます。
このような状況においては、もちろん現場の要件に対応できるMESを選択することも大切ですが、各国におけるサポートや現場設備や基幹システムとの連携も、MESパッケージを選択する際の重要なポイントになると考えられます。
次の動画は、実際に弊社のMFG系製品をご利用いただいているウジミナス様の事例です。製造現場との連携によりリアルタイムでの工場の可視化を実現し、発生する製造現場の課題に対し迅速に対応できる体制を築いています。
今後このブログ連載では、製造現場の実行管理、工場の可視化をテーマとしてお届けしていきます。次回は基幹システムであるERPとの比較・棲み分けからERPとMESのそれぞれの役割を考えていきたいと思います。